花燃ゆ 第三十二回「大逆転!」感想 創作エピの破壊力が最高潮。

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「花燃ゆ」にしては戦闘シーンもしっかりしていて、高良高杉もかっこよく、期待していたよりもずっと良かった功山寺決起。

しかし奥パートの創作が行き過ぎて「チャングムの誓い」並の妄想ドラマと化したため、微妙な回になってしまいました。

功山寺決起が全然描かれない不幸は覚悟していましたが、80点の史実パートと、-200点の妄想パートで、全体として-120点なんてことになるとは予想できませんでしたね…ほんとに「花燃ゆ」は恐ろしいよ!

ではドラマの流れを見てみましょう。もう高良高杉のかっこよかったところ以外はさらっといくよ、さらっと。

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長州を取り戻す!

●アバンはさらっと前回のまとめから。

前回のラストで元徳君が知らせた「高杉挙兵」を、伊之助は司獄の福川様から、美和は座敷牢に情報を知らせに来てくれた鞠さんから聞かされます。美和は高杉の家族、嫁の雅と生まれたばかりの赤ん坊のことを案じます。そこに現れた園山様は、美和に銀姫の側に戻るよういいつけます。

この辺は全然説明がないんですが、銀姫が美和を戻すよう都美姫を説得したっぽいような雰囲気。

●場面が変わり、挙兵の知らせから少し過去に戻ります。

雪景色の下関で、自ら兵を募って諸隊の本陣を廻る高杉晋作の姿が描かれます。警備兵が突き出した槍の穂先を手で軽く払い、拳銃を天にぶっ放し、「高杉晋作じゃ」「志しある者は功山寺に集結せよ」。いやもうここはかっこ良いったらなかった。ごちそうさまでした!

●まだまだ続くよ、高杉晋作、花の乱舞。OP後は大雪の中、功山寺の境内でたった一人、呼びかけに応えてくれる兵を待つ高杉。1分以上の溜めのあと、山門に武装した伊藤利助が現れ、

「私の志は立身出世です」
「わしと来ても出世はないぞ!」と返す高杉。

「義のない出世なら要りません。お供します」

そして「力士隊!」

前原一誠も駆けつけていました。いやもう凄く良かった。そう、集まった兵たちを前にして、首謀者である高杉が檄を飛ばすまでは。その激というのが、

萩は今、椋梨たち幕府への服従を強いる一部の者たちの意のままとなっている。共に戦おう。奴らの手から長州を取り戻す!!

で、うはー。でございました。

「八重の桜」で大好評だった、小泉孝太郎 as 一橋慶喜の「幕府をぶっこわす!」をもう一回ってとこでしょうか。いや、まあ単純に安倍首相の地元、長州ドラマだし、言わせたかったんでしょうけど、あの孝太郎くんほどのインパクトはどうしたって出せるもんじゃありません。

さらに言うなら「二度目は茶番」です

●出陣する馬上の高杉に、三条実美が「高杉!」と声をかけます。高杉は、振り向いてあの有名な台詞「これより長州男児の肝っ玉、お目にかけ申す」を言い放ちます。前回のラストで、なんで馬上で言うんだよ!!と私が切れたところですが、なるほどこういうシーンだったのをはしょったのか。

まあこれくらいならいいんじゃないでしょうかね。中2だし。でもここは、腰を低くして礼を取りながら不敵なことを言う高杉に燃えるとこなのにわかってないなーもう。

●奇兵隊は高杉蜂起の知らせを聞いてどよめきます。前々回くらいで高杉に「わしが戻るまで生きてろ」と言われた品川弥二郎が嬉しそうに感歎します。

●高杉の軍は下関で勝利し、三田尻では利助と高杉が「この船だってどうせ幕府に接収されるんじゃろ?。幕府にやるくらいならわしらにくれ」と相手を説得して軍艦三隻を接収します。

どうせ農民どもの決起、藩正規軍の敵じゃない、と高をくくる椋梨さまですが、念のため、父親の小忠太を呼び出して、嫁の雅を人質に出すように迫ります。しかし、高杉パパはさらっと「せがれとは既に縁を切り申した」とかわします。

雅、奥御殿に身を隠す

●その晋作嫁の雅は杉家に身を寄せているのですが、亀さんや寿さんが「ここにいてはあぶない」といくら説得しても「私は萩で晋さまを待ちます」と言って聞きません。まあまだ赤ちゃんも小さいし、そうそう動けないよね。

そこに美和から、奥に来て身を隠すよう、書状が届き、雅さんは銀姫の側女として子連れ奉公にあがります。

雅さんの赤ちゃんは銀姫にあやしてもらったり、お半下の女中陣にも大人気。「泣いてるだけなのにね」と女たちは和みます。

しかし、雅さんはどうやって赤ん坊をつれて奥とは言え、お城に入り込んだんだろうか。

というか、奥から赤ん坊の泣き声が聞こえたら、誰か一人くらい「そういえば高杉晋作には生まれたばかりの子がいたな」と気がつきそうな気がする。

功山寺決起の時、高杉雅が奥御殿に身を隠すって、歌舞伎並の創作ですよね。

美和さんは、奥から追い出されても当然の無礼を働きながら何故か許され、さらに反乱の首謀者の嫁を上司に匿わせたわけですが、こういうアホで考えなしの創作が許されるのは民放までだゴルァと詰め寄りたい。

●椋梨様は、敬親公から「鎮撫のための挙兵ならOK」と出陣の許可を得、さらに諸隊への兵糧の提供を禁じるという締め上げ作戦に出ます。しかしこれが逆に反発を招き、反乱勢力に兵糧を提供する領民を続出させてしまいます。

久々に登場した敏と、従兄弟の玉木彦介くんが、食べ物を分けてもらいにいった農家が林屋木久扇師匠で吹いたw 「幕府にばかりええ顔しおって!」と怒りの師匠がなけなしの芋や大根を分けてくれます。

●諸隊最大兵力の奇兵隊は、総督の山県狂介がようやく蜂起合流を決めます。

絵堂大田の襲撃で

●奇兵隊は絵堂に駐留していた藩正規軍に夜襲を仕掛けてこれに勝利。しかし藩軍のほうも反撃して来て、一進一退の攻防が続きます。こうなると後方支援のない反乱側は補給が心もとなくなり、本陣でリーダーが心配するのは飯の事ばかり、という事態に。

そこにどん!と米俵が届き、隊員たちが沸き立ちます。街道筋の庄屋からの心付け、と米を届けたのは高杉晋作でした。

長州藩が幕府に屈すれば、領民の暮らし向きはもっと苦しくなる。なんとか皆さん、勝ってください」という米提供の庄屋さんの言葉がすごい。3万の軍に取り囲まれて尚、領民の方が先が見えていたんだから、椋梨様、立場がありません。

●しかし、戦闘自体は悲惨です。絵堂大田の会戦では、杉家の兄弟の従兄弟、玉木彦介くんが重傷を負い、亡くなってしまいます。

雨の中、高杉率いる隊が、行軍中の正規軍を襲撃。十分に引きつけて…といいつつ、一人で軍に向かっていき、おもむろに発砲する高杉晋作。それを合図に乱戦となり…と、高良高杉のすごくかっこいい見せ場でしたが、陰惨な戦闘をしっかり描いていました。

戦闘後、戦死した者たちへの手向けと、三味線で小唄を捧げる高杉。

彦介くんが敏に残した最期の言葉は「萩に帰るのが楽しみじゃ。こんな怪我をして、父上にはまた怒鳴られてしまうんかのう…」でした。素直で誠実そうな、まだ年若い彦介くんが負傷の苦しみの中、衰弱死する。大河では定番、身近な人の悲惨な戦死エピソードですが、ここは花燃ゆにしては珍しく、逃げずに正面から描いていて良かったですね。

極妻か

●絵堂大田での敗戦を知らされた椋梨様はショックを受け、萩に残るすべての軍勢で街道の入り口を閉鎖します。

●奥では、都美姫が銀姫の側仕えの女中の中に高杉晋作の妻が混じっている事に気づき、銀姫を詰問します。奥にいる200人の女たちを危険にさらすつもりかとお怒りの都美姫に、高杉雅は「でしたら尚の事、私を城中に留め置いた方がよろしいと存じます。私を人質とすれば、夫高杉晋作は城に手を出しません」と啖呵を切って見せます。

雅の気迫に圧倒される都美姫。銀姫は、さすが高杉晋作の妻と雅を讃え、「おもしろい、これより雅をわたくしの人質とする」と宣言して場を治めます。都美姫には「この子を守るためでございます」とぴしゃり。

●夜、美和は銀姫と母となった人の強さについて語らいます。私に子があったら…と残念そうな美和。従兄弟の彦介くんが死んでしまい、玉木家が断絶してしまったこともあり、血を繋ぐ、子孫を残す大切さについても考えたようです。

銀姫「私はまだ母ではない。これからそのようになるためにいささか考えがある」。

銀姫と美和の最強タッグによって功山寺決起が成功するフラグが立ち始めましたよ…(悪寒)。

●杉家では、一人息子を亡くした玉木の叔父上が、寅次郎が彦介に送ったという文書を発掘し、読み出します。読み進むうちに嗚咽が堪えれられくなった玉木の叔父上と百合之介パパは「子に先立たれると、親はずーっとその子を思わねばならん」と子を失った父親の悲しみを共有します。ここはベタですが、ベタでいい。もう普通に泣ける。

●もう一人の父親・高杉小忠太は、野山獄の伊之助の前に現れ、奇兵隊の決起と活躍を知らせます。ついでに高須久子さんに、かつて晋作が世話になった事の礼も。

改革派でも恭順派でもない、どこか超然とした小忠太は、藩内のもう一つの派閥、穏健派のことを語ります。要するに沈黙しているけれども実は大多数な人々ですね。

●その穏健派は高杉晋作の前に現れて、殿様との仲介を申し出ます。「藩の安泰を願っているものたちの力を信じてくれ。なんとしても殿にお会いして、椋梨様たちを排除するから、どうか萩を攻撃しないでくれ」と頼むのは、なんと梅兄でした。

ここで原田さんが来るとは。でも適役だわ☆

穏健で誠実な梅兄の言葉に、高杉は頷きます。ちなみに梅兄さまは史実でも村塾の塾生たちから大変慕われていたそうです。

●しかし、会談の帰り道、椋梨側の刺客に襲われる梅兄さま!

こうして美和の働きで…

●いつもの奥の門前に寿さんが来て、その顛末を美和に知らせます。梅兄は幸い怪我ですんだものの、襲撃を知った高杉晋作が、もはや一刻の猶予もならんと激怒していることなど、寿さん、知りすぎ。そして奥の門で気軽にしゃべりすぎ。

そんな中おもむろに砲声が響きます。

高杉晋作は、椋梨さまによって封鎖された陸路ではなく、海を利用して萩に接近し、威嚇のための空砲を打ち始めたのです。

●慌てて銀姫の前に戻った美和。銀姫はショックを受けて産気づいてしまいます(だよね??)。

銀姫は、美和に「私はこの子を自分の手で育てたい。私に力を貸せ」と、はっきりとは言わないんですが、有耶無耶のうちに銀姫が美和を敬親公の元に差し向けたかのような演出がなされ、何故か都美姫と美和が殿のいる部屋の前で対決します。

美和は都美姫に兄梅太郎が仲介に動いている事を話し、殿にお目通りを願います。

都美姫もいい加減美和のでしゃばりに切れていいと思うし、実際切れてると思うんですが、奥にいる者は「権威」を守らなければならぬ、と諄々と美和を諭します。

「権威」とは下々が安心して身を委ねることができるもので、民を守るために必要なもので、その「権威」を守るために自分は命をかけている、奥に勤める者がそれを破る事はまかりならん、という都美姫はよっぽど全うなことを言ってると思いますが、悲しいかな、主人公補正によって押し切られてしまいます。

「戦で家族を失った者は、みんなもう誰にも死んで欲しくないと思っている。その強い思いがあるからこそ、新しく生まれてくる命を、この身に代えて守る事ができるのです(ドヤァ)」

何かと世継ぎの安全・安心を言われて筋を曲げなければならない都美姫がお気の毒でした。

●どうもこうして美和と銀姫の働きよって、椋梨さまたち恭順派は退けられちゃったらしい…というのが今回のストーリーみたいですよ…

同じようなトンデモ創作エピでも

というわけで、今回の見所は高良高杉の他、都美姫にトンデモ対決を望む、雅&美和でした。

しかし同じトンデモ対決であっても、私を人質にすれば夫はお城を攻撃しません、とのろけた雅さんと、さすが高杉晋作の妻!と即座に応じた銀姫とのやり取りの方がよっぽど面白かったです。

アホですが、アホだけに笑えて楽しめましたわ。

美和が殿と藩内穏健派を結びつけたっていうのは、創作の域を超えて捏造だよな。

珍しく真面目に歴史イベントに取り組んだのに、捏造創作エピがトンデモすぎてゴミになったという悲惨な回でしたが、これはこれで「花燃ゆ」の行き着く先が垣間見えた気がして、興味深い回ではありました。

もうここまで来ると笑って見られる。よかった。アデュー!

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