花燃ゆ 第二十九回「女たちの園」感想 十福神の出る出る詐欺問題はこれでいいのか。

humi_catch

大奥編2回目です。

今回の目玉は乃木坂46のお嬢さんたちの出演でしょうか、視聴率も12%とまあまあよかったみたいですし、良かったですね(棒。
出る出る詐欺に近かったような気がしますけど。

それも含めて今回は唖然とする場面が多くて楽しめました。ここまでくるとエンターテインメント。残りの回も日本中を驚かせ続けてほしい。江で底かと思い、天地人で2番底来たと思ったんですが、さらに3番底が来るとは思いませんでした。

もう挫折しそうですが、ぐっと堪えて見てみましょう…

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肩たたきって辛いよね

●四カ国連合との講和は成立したものの、今度は幕府の長州征討とピンチの続く長州藩。相変わらず史実は池秀ナレでスルーですが、もう驚かない。

でももし今後も大河が続くなら、長州ものに近年中にリベンジしてほしいあ。会津には「獅子の時代」「八重の桜」という良作があり、薩摩にも古いけど「翔ぶが如く」があるのだから、長州でも桂小五郎主役のちゃんとした大河があるべきと思う私は、維新の三傑の中では気さくな性格のこごちゃんが一番好きです。

●ナレの後は、美和さんの職場、毛利家奥の朝の挨拶が描かれます。嫁と姑が一日も早く男を生め」「いずれそのうちと火花を散らし、舅と息子は空気。こういう光景は一般家庭にもあるある…みたいな感じでしょうかね。ははは。掃いて捨てたい。

●長州のピンチにあたって権勢が戻って来た椋梨様は、都美姫に山口から萩へのお城替えへの協力を依頼するのですが、美和さんはそのとばっちりを食らい、引っ越し先のお城には部屋が足りない、女中を何名か肩たたきしろと命じられてしまいます。

ドラマ中の説明が足りなかったので、わかりにくいんですけど、美和ちゃんが奥仕えに上がったのは山口城(山口政事堂)。これは敬親公が攘夷にあたって新しく築城した天守閣のない平城です。ここから元の萩城に戻るんですけど、江戸時代の大半、大名の家族は人質として江戸に住むことを義務づけられていたので、都美姫・銀姫のような藩主の正室・嫁の部屋は元々国元の城にはなかったんですね。

幕末の文久2年、藩主の家族が国元に帰ることが許されることになった。それで毛利一家も揃って長州に帰って来たんですが、国元のお城っていうのは江戸時代初期に戦争に備えて建てられたもので、質素で手狭なものでした。「花燃ゆ」では華麗さ重視のきれいなお屋敷になってますが、もっと質実剛健な無骨なものだったと思います。

そしてなんで城替えが重要事項になったのかといいますと、周防長門藩において、萩という地は、当時は僻地で、幕府が関ヶ原で西軍のトップであった毛利家を警戒して藩の中心地を置かせた土地でした。山口は防長を見渡せる要衝の地であったので、初期の幕府は山口に城を置く事を許可しなかったんです。そういう背景から、椋梨様は藩庁を萩に戻して幕府に恭順の意を示したいと考えるんですね。

こういう背景がちゃんと説明されていれば、朝の総降れなんていう篤姫とかぶったエピも、大名家族やそのお付きの人々に取ってはとても感慨深い毎日のイベントだったのかもしれませんし、萩への城替えも緊迫感のある内容だったと思いますが、まあそんなことを「花燃ゆ」に期待するのは間違い。wikipediaを移して来たことの方が面白いわ。

ちなみに敬親公は山口に新しい城を築城するにあたって、幕府には屋形の移築ですと偽ってたそうです。なかなかやりますね。

新たなる妖怪が登場して…

●美和さんは主人の銀姫にリストラ担当を言い渡されたことを報告します。銀姫は普段は毒々しいヤンママみたいな演技なんですけど、頭の回転が早い女性で、椋梨さまの城替えの目的、園山さまの美和への冷たさを見抜きます。

まあ実際、前回は命がけで衣装運びをさせ、今回は肩たたき役と、園山さまはまじでひどい

園山は美和には何をさせてもいいと思っていると見える。そんな役目なんてしなくていい」という銀姫に、美和さんは椋梨さまにかつて言われた「お前のできることは泣く事だけだ」という言葉がフラッシュバックし、その対抗心から役目を引き受けることを申し出ます。

銀姫は「勝手にしろ、ただし私の部屋からは人を減らさない、雇用は守る」と言いおいて去っていきます。まあ美和さんも、上司の配慮がわからんお人だからしょうがない。

●美和さんと、同じくリストラ係を言いつけられた鞠さんは、肩たたきの方針を話し合います。鞠さんは、時間もないし、仕事のできない、評価の低い女中からさくさく話をしましょう、とクールに言うんですが、美和さんは一人一人に事情を聞いて…と温情派。

そこに美和ちゃんのかつての上司、高橋由美子率いるお半下女中さんたちが総出でやって来て、私たちは自ら暇乞いなんて絶対にしませんから、と宣言します。実は、高橋由美子は、表使いの意地悪女・日の出に言い含められています。

●その日の出は、美和に国島という御蔵番のベテラン女性の存在を教えます。国島(白石加代子)は、職歴50年以上、都美姫、銀姫の嫁入り道具も含めて、奥の道具すべてを一人で管理しているという女性なんですが、なんですかこれは。「天守物語」の亀姫かなんか? 国島さまが過労で倒れるのは、時代が変わろうとしていることのメタファー

※姫路城の天守に住むという妖怪。真の城守。

●一方、表では、椋梨さまが無双状態で、攘夷を認めたり、京都に兵を送って死なせたりした周布さまを責め立てます。周布さまは藩議では今更幕府に謝ったってしょうがない、むしろ戦争だとうそぶくんですけど、自分が信じて押し進めて来た方針が敗退の連続で、大分心が削れており、酒に溺れています。

というか、今回でサヨナラなんで、わかりやすく影が薄くなっています。カメラも、周布さまを正面から映さなくなっています。

●敬親公は都美姫に「わしが責任を取らなきゃ行けない時がくるかもしれない。そうなっても毛利家を頼む」といざとなったときの事後を託します。これが本日のクライマックスのフラグになってます。

●その敬親公に、井上聞多(井上馨)が、幕府に謝るだけではもう絶対今後どうしようもないから、それだけは辞めてくださいと決死のプレゼンをします(したという回想が流れ、肝心のプレゼン内容ははしょり)。実際のところ、朝廷に朝敵認定してもらって、三方から大軍で取り囲んで威嚇するだけ、長州藩一藩をさくっと取り潰せないくらい幕府の弱体化は明確なわけで、そんな幕府が今後もながなが続いていくだろうとは敬親公も思っていません。

ただ現在、今後も幕府の支配が続くんだ、いや続いて欲しい、その支配下で毛利家の安泰をかなえたい、と思っている椋梨様が権勢を握るなど、藩内が派閥割れしていて対処が難しい。

重臣の一人、高杉パパはどっち付かずというか、息子があれなんで今は周布様に就いてたりしてるようで、伊之助に、椋梨様に気をつけろ、椋梨様はうちの息子と小田村どのをとりわけ目の敵にしているから、と忠告するのが、長州藩士たちの揺れを感じさせてちょっとおもしろかったですね。

サヨナラ、周布さま

●で、その椋梨様は、自分の思想に反対する井上聞多を何故かお庭番みたいな忍者に襲わせ(幕末になぜこんなトラッドな忍者が)、自分は心の折れそうな周布様の家を訪ねます。

ここまで来るとカメラは周布さまを正面から映さないだけでなく、影が深く落ちた背中しか映しません。道具のない質素で寂しい部屋、庭には赤い紅葉が不吉に舞い散って、歌舞伎の舞台のよう。わざわざ政敵を訪ねて来た椋梨様の姿も闇にまぎれるという過剰演出(おもしろいけど)。

そして椋梨様は「この訪問は、はなむけ、と思ってくださらんか」と、暗に自ら切腹して責任を取ってくれればあんたたちの最後の名誉くらいは守るけど? と匂わせて去っていきます。

入れ違いに伊之助があらわれて、周布様は最後に一献飲ませて、長州の今後を託します。託す相手が間違ってますが、このドラマの小田村伊之助は桂小五郎が合体してるからなあ…

周布様はこのすぐあとに自害された事が、後で寿により、美和に告げられます。

●寿姉様は「周布様は皆さんとご自分の名誉と誇りのために死んだ。お前も奥で大変になると思うけど、奥で生きると決めたんだから、挫けてはなりません」と気高く美和ちゃんを励まします。

死を賭しても守りたい誇りとは何か

●美和さんは周布様の切腹に大変なショックを受けます。改革派の周布様が自害したことで、意地悪女の日の出は「美和殿が自ら暇乞いをすれば、みんな言う事聞くと思いますよ」と明快に意地悪するように。

美和さんは八方ふさがりになり、以前協力を断られた国島様に改めて頭を下げ、お導きくださいと頼みます。「皆様が命をかけるほどの誇りがなんなのか知りたい」とまた出たよ、知りたい病が。そして今回の感情ダラ流しターンが(宮本脚本なのに)。

誇りなんてどうでもいい、役目を果たして奥での出世につなげたいという相方の鞠に対して、美和ちゃんは「私だって出世がしたい。いつか殿様の御前に出て、なんでみんなが死ななくちゃいけなかったのか聞きたいんです」と反論。

この台詞は何度か繰り返されてるけどほんとへたくそというか…

美和さんはかつて山口で殿と直接お話し、「見送るものの覚悟」みたいな話をされ、殿のカリスマに直に触れる事でものすごく納得させられていました。

あの殿だけが、自分の疑問に納得のいく答えを与えてくれるだろうという期待、夫や兄の名誉を回復させたい、藩のトップである殿にわかってもらえればみんな許される、とか、いろんな気持ちがないまぜになってるんでしょうけど、それをまとめて「何故夫が死ななければならなかったのか、殿に直接お聞きしたい」という台詞を繰り返させるへたくそさ、ね。

美和さんの出世へのモチベーションを表現するためというか、どっかで実際にこれをやるつもりなんだろうなあ。これまでそう思って奥勤めに命をかけていたけれど、出世した今ならわかります、みたいな感じで。ああ、もう井上真央さんの演技まで見えるよ。「私も自分の誇りのために生きます」「そうせい」みたいな台詞まで!

そう思うと、八重ちゃんがお殿様に言い放った「会津が朝敵ではない証明をするために死ぬ事は許されぬ。それがこの戦で死んだ人への殿様の義務だ」(意訳)という言葉と論理展開の鋭さ・厳しさと来たら…

●また盛大にずれましたが、美和さんと鞠さんのしょうもない言い合いを聞いていた国島様は、奥で生きていくという二人の覚悟を認め、リストラに協力してくれることになります。

国島様の策は、使われずに眠っている道具類を売り払い、リストラされる女中たちの手当に当てる、というものでした(まさか毛利家が手当金なしにリストラしようとしていたんかい!)。

国島様は近頃、心を込めて一つ一つ手入れをしている道具たちが、使われ、日の光を浴びて誰かの役に立っている、私がその横にたって笑っている、そんな夢を見るそうで、やっぱり彼女は、道具についた付喪神の親玉の化身みたいな感じなんでしょうか。

そしてお城移りへ…

●その頃、京都では辰路が久坂玄瑞の子を出産していました。鈴木杏さんはふっくら健康的になり、母親の幸せを満喫し、文に対しても「この子につながる人がいると思うと心強いような、懐かしいような気がする。今頃どうしているのか」と思いを馳せます。幾松の雛形あきこさんがすごく綺麗。

●美和さんは鞠ちゃんと売り払えそうな道具をリスト化し、都美姫さま・銀姫さまに国島様の策を献策します。主人に断りなく道具を得る賛成をするとか、やはり国島様は長州を守る妖怪の親玉か何かのようで、国島が賛成したと言うだけで、都美姫まで衝撃を受けます。

美和ちゃんはここぞとばかりに「十分な手当をすることでリストラされた者たちも毛利家への忠誠心を失わないでしょう。いざという時それが毛利家を守ります。至誠を尽くせば人の心は動きます」と、松蔭の言葉を使いながら説得。

この台詞は割と良かったと思います。

これまでの美和ちゃんの説得術は、相手の気にしていることをうまくフォローしたり、配慮して説得したりするもので、どうも嫌らしかったんですけど、その感じが消えて、真っ正面から都美姫さまたちを説得していました。

美和さんによる、毛利家が恨まれず、リストラされた女たちも安心というwin-winな提案を、銀姫がまず受け入れます。自分の女中の中には江戸から下がって来たことを不満に思うものもいるし、そういう女を下がらせて新しい道を開いてやりましょう、と。都美姫も、自分の女中も応じてこのリストラ騒ぎは大団円となりました。

●しかし、山口に移動してみると、なんとリストラの目的は銀姫の旦那・元徳さまの新しい側室を迎え入れるためだった、ということが明らかになります。

左右にひかえた侍女がふすまを空けると、きんきらきんのポリエステル製の着物に身を包んで居並ぶ、乃木坂46のセンターの皆さんが!!

こ、こんなシュールな場面のための起用だったのか。

●銀姫さまはぶち切れて去り、銀姫様付きの美和ちゃんは、十福神を背景に、しばし無言で椋梨様と対峙します(言うまでもないがシュールすぎて吹いた)。

都美姫さまは、殿様に毛利家を頼むと頼まれた事で、一日も早くお世継ぎを上げて毛利家を守ると思いつめているようです。それに都美姫様はお世継ぎを生んでないってのがまたひどいよね。

それにいくら母親が焦っていても、いきなり側室が10人じゃ、元徳くんも大変だと思うよ…

ポリフォニック・インフェルノ

長州征討をバックグラウンドにした奥のリストラ騒動でしたが、こうしてまとめてみると意外とおもしろかったです。

・藩議の中心に返り咲くために悪魔に魂を売ったかのような椋梨様のドヤ顔薄ら笑い
・どう見ても妖怪変化の国島さま
・突然歌舞伎演出になった周布さまの最期
・ヤンキー正室という時代劇の新たなジャンルを築きそうな銀姫
・忍者部隊が長州で発見されたぞ!

というカオスな中で、美和さんが自分の目的を明確にもって正面から取り組んでいく。ドラマの内容はびっくりするほど薄いんですけど、その薄さとどうでもいい各方面のカオスがうまい具合にマッチングしていました。

周布さまの最後もまた、このポリフォニーの中で描かれることになりましたが、個人的には柿渋の質素な着物で飲んだくれ、心が折れたように一人静かにお腹を召される周布さまには燃えました。

さんざん別記事で愚痴ったせいか、もう自分の中で諦めがついたのも、割と楽しく見られた要因かも。人間、諦めと開き直りが肝心ですよね…。

東出昌大さん、井上真央さんはこの体験を肥やしに。「花燃ゆ」前半の感想まとめ。

と思ったら次回は、「お世継ぎ騒動!」か…来週は、十福神のお嬢さん方も台詞が与えられるんでしょうか? いやそうじゃないと引っ張れないよね。次々と見る者に試練を課してくるのが「花燃ゆ」の恐ろしいところです。では! アデュー!

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