#西郷どん 本当は怖い島津斉彬と西郷吉之助、という「篤姫」補完作(多分)。

だいぶこのドラマの見方がわかってきた気がします。

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裏-篤姫

西郷隆盛が主役、ナレーションが西田敏行さんということで、なんとなく「西郷どん」は「翔ぶが如く」のライト版かな? と思っていました、が。

四回まで見終わって、どっちかっていうと「翔ぶが如く」じゃなくて「篤姫」だな、と気がつきました。というか、「篤姫」で描かれなかった島津斉彬と西郷隆盛を描く大河なんじゃなかろうか。

2008年の大河ドラマ「篤姫」、クライマックスが江戸城無血開城であったにも関わらず、キー人物である西郷隆盛の描写が少なく、西郷が江戸城明け渡しを受け入れる感情面での理由づけが本当に平面的というか、いわゆる味噌汁案件という残念な描写に終わりました。

(味噌汁案件:展開的に4〜5月にフラグを立てておかなければならなかったのだが、様々な理由からそれが出来ておらず、12月になってから「いやーあの時飲んだ〇〇殿が作ってくれた味噌汁は最高に美味かった」と後付けで当該人物との過去の因縁を説明する羽目になる大河うっかりのこと)

この作品ではとにかく西郷隆盛と島津斉彬の深掘りというか、描写自体が足りなかった。高橋秀樹氏の斉彬は押し出しの強い大変な名君だったんですけど、残念ながら「幕末の名君」という記号にすぎませんでした。

これは篤姫の目線から見た斉彬ということなんでしょうけれど、どっちかっていうと時代劇的な、型にはまった人物造形に思いましたね。なんか水戸黄門とか暴れん坊将軍的なんですよ。

ただ、原作の「天璋院篤姫」では、斉彬が徳川家に取って代わって自分が将軍になることまで考えていた、という強烈なエピソードがあります。

斉彬の死後、その秘めた野望を知った篤姫は、徳川家に嫁いでいた自分は斉彬が生きていたらどうなっていただろうか、と冷や水をかけられたようにゾッとして、改めて嫁として徳川家に寄り添って生きることを心に誓い、これが慶喜の助命嘆願や、維新後の篤姫の生き方を規定する一因になる。

島津斉彬は現代の我々が思う名君の枠に収まるような人物ではなく、大名というのは幕末であっても怖いもの、我々から見ると不気味なものです。

このマキャベリストとしての斉彬、というのはこれまでの幕末大河で描かれたことはなく、私的には島津斉彬は歴代の大河ドラマが残してきた宿題、という気持ちが漠然とあったんですけど、「篤姫」から10年を経て、nhkが取り組んだとしたら、感慨深いなあ。

英雄として記号化しているところは西郷隆盛にも多分にありますので、この二人の闇の部分をがっつり書いてくれることを期待しています。

島津斉興

四回まで見て面白いなーと思ったのが実は島津斉興です。

TLでは斉興・調所擁護派がそれなりに多く、斉彬に期待する理由がわからない、とまで言われているのがちょっと不思議なんですけども、先の展望のない先細りするだけの政治というものがどれだけ一般庶民の生活や希望を削ぐものであったか。

もちろん俯瞰から見て斉興の財政再建という仕事を評価するのは後世の仕事ですから、斉興・調所のセットを悪と捉えるのはどうか、という意見はわかります。

ただこれはエンターテイメントですし、このドラマは吉之助視点で描写されますので、目の前の人に(その時は)100%コミットするのが一番の人間的魅力の、当時の一人の人間という低い視点から見て、島津斉興とその周辺を「悪」と判断するのは無理があるわけでも一方的なわけでもなんでもないです。

斉興の個人的な苦しみ、実は祖父の強権に苦しんだ人物であることは省略されたことは公平ではないかもしれませんが(しかし、そもドラマに公平を求めるのってどうなのか?)、でもキャストは鹿賀丈史さんですよ?

全く暗愚な描写はないし、低いところから見ると泣き落としにかかってきた斉彬に完勝する頭の良さ、高いところから見れば幕末の超低成長社会の果ての財政破綻をなんとかした決断力など、敬意を持って描写されていると思います。

人物造形としても、常に端然と座している姿とか、とにかく新しいことにお金を使うのが嫌いな姿から、思考力強め・実行力弱めのモラハラ気質ということまでよくわかります。

そしてそういう人が、品はないけれど、自分に正直で胆力のある由羅を気にいるのも、求める他者承認が社会的な地位の保証である「官位」であるのも、とっても面白いし、よく描けていると思いますよ。

ただまあ、元々の性質と生育環境の不幸もあいまって、感情の抑制が効かない老人になった父親が、息子と対立するという構図は見応えがありますけれども、「ありがち」ではあります。

でもそこをロシアンルーレットで表現したのは想定外に狂っててよかったですねー。振り切ってきた感がある。

新鮮さが足りない

そうなんですよ、なんかこう今の所西郷どんには「新鮮さ」みたいなものが足りないのですよ。

どなたかがツイートしてましたけれど、調所広郷の服毒自害と赤山靭負の堂々たる切腹は、主君を守るために全ての罪を引き被り名誉の死も拒んだ調所 vs 死を主君への支持と忠義の証として晴れやかに死ぬ赤山、という対比になっていてすごく面白い趣向でした。

あと根拠がないままに斉彬を熱烈支持する民衆(武士含む)の気分というものが、西南戦争で西郷隆盛を担ぎ上げるのだ、という恐ろしい暗示も、大きな枠組みとしてとても面白いと思います。

初回で提示された糸ちゃんビューの西郷隆盛というフレームも悪くないと思うんですが、なんかこう、趣向として差し出されるもののほとんどに既視感があってそこはとても残念ですね。

ストーリーが進んでいけばまた印象も変わってくると思いますので、大元にセットされているものが私が不安視してしまうような「ありがちな」ものでないことを祈りつつ、極貧だけどキラッキラな半次郎少年とか、肝練りサツマンルーレットなどの豪腕エピソードを楽しみたいと思います。

いや、意外と構造的に作ってることはわかるので、何か独自の輝くものが積み上がっていけば、良作・佳作くらいは十分狙える大河だと思います。真面目に。

個人的には経済史をちゃんと取り扱うのがこの大河にはあってる気がするなあ…実際に見ていると事前説明のように西郷隆盛の「モテ」をゆるふわ描写したいというわけじゃないみたいなので、ちょっと口頭でもいいので説明を少し増やしたらいいんじゃないか、と思います。

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まとめ職人の朝は早し

※西郷どんのレビューはnote上で行う予定です(2018年内は無料公開してますのでお気軽にフォローをどうぞ)。こちらのブログにも5回ごとに転載予定です。

2018大河 西郷どんレビュー

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