#おんな城主直虎 総評3 キャスティング芸と経済と風俗のストーリーへの盛り込み方。

3本目。直虎のいいな、と思ったところを全部書いておきます。

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キャスティングという一種の芸

あと書いておきたいと思ったのが、キャスティングの妙ですね! 直虎のキャスティングには明確なパターンがあって、

  • 有名な歴史的人物には大物・名優枠をキャストし、わかりやすい人物造形+独自解釈で表現する
  • 主人公周辺・井伊谷関係者は反対に中堅〜フレッシュな顔触れで、細やかな人物描写を行う
  • ゲストは舞台系or新人のめっちゃイケメン、美女、美少女
  • 動物きゃわいい(違

例外もありましたが、だいたい上記のバランスを取っていたと思います。うん、これがとても良かったです。

大物枠では、浅丘ルリ子さんの寿桂尼、松平健さんの武田信玄、於大の方(栗原小巻さん)、織田信長(市川海老蔵さん)ですが、大物が大物を演じるって見ていて大変気持ちが良かった。

ここは自分の視聴態度を反省するところでもあるんですが、正直大物のシーンはキャーキャーできてひたすら楽しかったんですよね、特に信玄公のところ。

松平健さんと言えばやはり「貧乏旗本の三男坊兼徳川吉宗」ですけど、大河に出演した時は同じお着物劇ということでギャップが際立ち、毎回それが素晴らしいなって痺れてしまう。

「元禄繚乱」の上杉家の家老色部又四郎の時は、華やかな村上弘明の柳沢吉保に対して質素な木綿の羽織で高岡早紀の演じる女忍びと関係を持ってたりする貧乏+くたびれた大人の色気がすっごく良かったし、

義経では、忠臣ではあるけれどあまり頭の良くない男して表現される武蔵坊弁慶が新鮮で、上様のエスタブリッシュメント感と比較して役者すごいって思いましたし、

今回の信玄公も、欲望先行でスケールが大きくてえげつないのにチャーミング、そしていざ諏訪法性の兜を乗せたら「主役か」っていう迫力とオーラ。

ルリ子、小巻たち「レジェンドが演じる女傑」もそうでしたが、最強の戦国武将という我々の頭の中にあるイメージを映像にしてもらった喜びっていうのが確かにありました。

そしてこういうキャスティングと対照的な大物づかいが山本學さんの甚兵衛で、説得力のある直虎のサポーターという「機能を担う」っていうのもすごかったな、と。実力とオーラが必須で、身をやつしていてもダダ漏れる山本さんの気品と知性がなければ成立しない役だったと思います。

で、名優枠も素晴らしかったけど、フレッシュ枠もこれまた大変良かった。

代表的なのはユキロックだと思うんですが、ちっちゃくてマッチョで強いという美味しい役にチャーミングな矢本悠也さん、気立てが良くて力持ちというヒロイン枠にそのまんまな田中美央さん、というのは大変新鮮でした。

特に直虎役の柴咲コウさんと三人セットになった時が良かった。見たことがない可愛らしさと面白さがありました。

あ、直虎って三人セットで行動した時の面白さ、というのを考慮して構造化されていたし、キャスティングされていた気がします。

とわ・亀・鶴とか、直虎+ユキロックとか、政次・頭・方久とか、万千代・万福・ノブとか、榊原康政・万千代・万福ですとか、面白いセットがたくさんありましたし、センター1+脇2の三尊体制、源氏物語から続く日本の美しい伝統的三角関係展開、あるいは蛇蝦蟇蛞蝓の三すくみ体制など、バリエーションも豊富でしたNE!

そういう構造的な作劇の中、スマッシュなゲストに驚くほどのイケメン、イケオジ、美少女が配されるのも楽しかったw

配役も一種の芸である。私、これは花燃ゆでも(珍しく。あと前半だけでしたが)褒めた気がしますが、この大河ドラマであるから可能な「キャスティング芸」の精神は今後も守り続けて欲しいと思います。

経済と風俗描写でストーリーの隙間を埋める

解死人や逃散、人身売買など、当時の風俗慣習の描写も面白かったところです。ただ面白かったのではなく、かなり斬新だと思いましたし、さらにただ描写するのではなく、あくまでストーリーの中に盛り込まれていくというのが非常に興味深かった。

綿花栽培、林業、貿易、財政再建、徳政令など、経済面をきっちり描いて経営者としての直虎の成長を具体的に積み上げていったのもよかったんですけど、特に解死人という、死で許容を仲介する存在がすごかった。

一つの家を守るために生贄のようにたくさんの命が差し出される。その死の意義を解死人というか、命を贖うのは命のみ、という考え方が担保するわけですが、それが早くも2回で出てきたというのがね。

それが直虎の「誰が仇であるかは考えない」という復讐の連鎖の断絶に結実していき、最後に救えるものだけ知恵を尽くして救う、という形で直虎の人生を成就させる。

直虎の根底に流れる「太平の世とは何か」というテーゼを、当時の風俗描写と主人公の苦悩というボトムアップから順次導き出したのは本当にすごい。

決して誰にでもできることではないので、森下さんはこの才能を本当に大事にしてもらいたいと思うし、今後の大河ドラマのお手本として繋げていって欲しいなと思います。

以上、直虎の総評でした。

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