〈真田丸総評〉寄稿その3-3「徳川家康。“No Heros , But Survivors “」「視聴率について考える」

あかるさんの総評の続きです。今回は徳川家康。

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勝者:徳川家康

「敗者」という単語が出たところで、「勝者」家康についても述べておきたいと思う。

“No Heros , But Survivors “

吉川Pの講演で出た言葉だ。5話にて丁寧に描写された伊賀越え、そして描かれていないが恐らく三方ヶ原の恐怖を軸に、「生き延び」を狙う、臆病な家康。斬新な人物像だった。

主人公である信繁はもちろん、最終勝者である家康でさえ英雄としては描かれない。

結果としての勝者や敗者はいるが、人間としての勝者や敗者、英雄はいない。

勝者も敗者も懸命に生きた結果、ささやかな偶然、「機」を掴み取った否かであり、そこに優劣や大きな差はない。

「もうあの(伊賀越えの)ような思いはこりごりじゃ」と呟き、亡き秀吉に手を合わせる一面。

家臣や側室に叱咤されて生き延びるために天下を狙い、泰平の世を築き上げ、腹黒狸を演じる姿。

最終回では逃げ惑い、臆病な一面を再び覗かせつつも、わずかな機を逃さずに流れを変えた老練さ。

そして父を救援に来た息子に向けた愛情たっぷりの「遅い」。

家康は、まさに「家族」「愛」「絆」「勇気」、そして「最後まで望みを捨てなかった者に道は開ける」といったキーワードを体現した存在ではなかったろうか。それこそ、主人公の信繁以上に。

最終回については、まだ十分に咀嚼できていない。

信繁と家康2人の「愛と勇気の旗」のぶつかり合いによって『真田丸』は終わり、そして最後に流れるオープニングによって、真田の「愛と勇気の旗」および「家族」を引き継いだ信之によってもう1つの『真田丸』の物語が始まることが示される。

現時点ではそのように思っている。

「幸村」名乗りから始まる講談的世界への移行、最終回における家康と信繁の過剰なまでにドラマチックな対話。

そして最後に、本多正信と信之により、世界は現実へと返る。

「真田丸」乗組員は六文銭の思い出を握り締め、前を向いて各々の道を歩き出す。
演出も含め、本当に見事だった。こんなドラマに立ち会えた事を心から幸せに思う。

真田丸は「成功」したのか? ~視聴率から考える

さてここからは主に視聴率の点から、『真田丸』の成否を論じたい。

辛口に聞こえるかもしれないが、「何でこんなに面白い、大河ドラマの金字塔、中興の祖となるべき作品(だと個人的に思っている)が、視聴率取れないんだよ!!!」という叫びである。

『真田丸』製作発表は2014年5月。

主人公は昔から人気が高く、近年BASARA等で女子人気を上げている真田幸村。主演堺雅人、脚本三谷幸喜。

なお、この時期は、2013年7~9月に堺主演の怪物視聴率ドラマ「半沢直樹」放映、2013年末に「清洲会議」公開という状況に当る。

人気主人公、人気役者、人気脚本家。

心から期待する一方、「これでこけたら本気で後が無いが、大河ドラマ大丈夫か」というのが当時の感想だった。

また『新選組!』という、大河唯一のスピンオフを擁し、当時カルト的人気を博した、異色の大河を作った脚本家にそれを託したことも、不安ではあった。

吉川Pによれば三谷氏による「真田丸」構想は12年前、『新選組!』終了後に既にあったものだという。そして2012年、吉川Pがドラマ部に戻った直後に、『新選組!』の反省を生かし「大河ドラマの原点回帰」を目指して、企画が動き出したそうだ。

『新選組!』は、若年層の視聴者を多く獲得した一方、大河ドラマメイン視聴層である中高年男性の支持が得られず、視聴率は右肩下がりで苦戦した。

『真田丸』の視聴率は平均16.6%。ピークは2話の20.1%。その後は右肩下がりに推移、最終回も14.7%と取り返せなかった。

終盤のBS視聴率5%超えという驚異的高さや、総合視聴率平均20.2%(10月~)、直前の『花燃ゆ』から5%アップ、直近5年間で最高等、現時点では好意的報道が多い。

果たして、客観的に見てもそうなのだろうか?

近年テレビ視聴率が下がっているとは言え、同時期に放映され、真田丸と同じくSNSで人気を博した『逃げ恥』はうなぎ上りに視聴率を上げて最終回20%超。

先述の『半沢直樹』に至っては最終回40%超、歴代民放ドラマ2位という数字を叩き出した。
現代であっても視聴者に嵌れば、数字は取れるのだ。

また、大河ドラマで振り返れば、最高平均視聴率39.7%を誇る87年『独眼竜政宗』は、85年『春の波涛』18.2%→86年『いのち』29.3%と2年連続で10%超の飛躍的上昇を遂げた結果だ。

当時と同一には語れないのはもちろんだが、単純な視聴率から見れば『真田丸』が大成功とは言えないのではないだろうか。

何故『真田丸』は大成功を収められなかったのだろうか。

・・・・・・・・・・・

傑物でもあり、情け深い人物でもある徳川家康の描写は非常に印象的でした。同時に大変な健全な人間関係を周囲と築きあげ、次世代の人間もちゃんと育てていく。

豊臣家のキラキラのブラックさと対照的に健全な徳川家と家康の描写は、見ていてなるほどと自然に思う描写になってました。

ところで、視聴率についての気になるところで続きになってしまってすみません💦(だいたいの文字数で区切っていたらこんなことに)

次回はすぐアップしますので少々お待ちください。

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