〈真田丸総評〉寄稿いただきました。「先がわからない中、全力で走り抜けた人々の奮闘」

みなさんの真田丸総評が読みたいなー、まとめも作りたいなー、と思いまして、

とお願いをしたところ、テキストでまとめてどどんといただきました。掲載させていただきますー!

スポンサーリンク
ad

直感は当たるが予想は外れる

おはようございます。普段は趣味で小説を書いているアカウント、刀綱一實(@toutuna11)と申します。今回文章で寄稿させていただきたいというワガママを聞いていただきありがとうございました。一人だけコワイよ、と思われるかも知れませんが少しおつきあいください。ロスが止まらないの。

私の直感は当たるが予想は外れる。
「今だって、愛と勇気の旗をかかげていいんだ」と聞いた瞬間、「うわあ脚本家だけ自己満足してる(何とは言わないが某もにゃもにゃ)ドラマぽい」と思った。
今回も予想は外れた。しかし嬉しい方向だった。

大河ドラマなぞほとんど見たこともない私が、そもそも真田丸を見始めたのは、ひとえに主演の堺さんが出ていたリーガル・ハイのファンだったからだ(余談だが、リーガル・ハイの公害訴訟の回は今でも日本のドラマ史に残ると勝手に思っている)。他の理由は一つもない。

が、一話を見終わった私の感想はこうである。

「パパ上一生ついて行きます」
「勝頼様おいたわしや」
「温水、毟るぞ」

堺雅人はどこへいったのか。いやすみません、ショタよりオッサン萌なんです聞いてないですかそうですか。

冗談はとにかく、それくらいキャラの造形が良かったのだ。勝頼さまは決して暗愚な二代目ではなく、能力があっても時流の流れに飲み込まれる人間の儚さを示し、パッパはそんな中でもしぶとく頭を働かせる強さを見せつける。温水の行動も人間誰しもが持っている弱さの表れだ。

そして最大の魅力は、「先を知ってそうな登場人物が一人も居ない」こと。下手な大河の最大の失敗は、「おいこいつ明らかにタイムマシン使いやがったな」と言いたくなるようなキャラがいることだ。
戦乱の時代なのにやけに平和を主張する(よっぽどアレな人でそういう逸話があるなら別だが)、何の前振りもないのにやたら主人公の将来性に期待する、今後没落していくであろう人の扱いが妙に悪い……などなど。

そりゃ今の時代に生きる私たちは、過去のことならおおかた知っている。戦国時代なら徳川の家の前で「お仕えします」と叫んで裏切らなければ良いし、幕末は維新を進めればいい。中国とロシアには勝てるがアメリカとの戦争はとっととやめとかないとひどいめにあうし、8月6日には広島にいてはいけない。
が、その当時に生きる人を描くにはそれをやってはダメなのだ。先がわからない中、全力で走り抜けた人々の奮闘を描くことで、現代人が何かを学ぶのだから。

真田丸は、それを承知してくれているように思えた。当初一話だけの視聴だったはずが、どんどん録画回数が増えていく。

勝頼様を見送った後は、パッパの「お前が言うか」発言を何度も聞き、ファンシー義兄に癒され、伊賀越えで腹を抱えて笑い転げ、織田信長の死亡シーン無し(後のナレ死)という新たな演出を学んだ。

きりちゃんのうざさにちょっと眉をしかめ、梅ちゃんのけなげさを見ながら「長生きできなそう」と勝手に心配し(結果当たった)、もっと長生きできなそうなおこうさんはいつ喀血するかと思っていた(結局主人公より長生きした)。

いつのまにか視聴回数は十回を超えた。信繁は成長し、兄上はストレスをためる(享年93)。徐々に上杉・北条といった大物大名も出てくるようになった。ここでも、人物ごとに異なる造形がさらに光る。

お人好しで、当時オレオレ詐欺があったら真っ先に引っかかりそうな御館様。無表情でクール、でも誰よりも忠実なチベスナセコム直江。剛胆さと武勇をあわせもちながらも、時代を読みきれない名門、北条。多彩な人物が毎回何かを残して去って行く。

そして、秀吉である。たいがいドラマではあっけらかんとした明るいキャラで描かれることが多いが、今回はそんな甘いものではなかった。なにせニコニコしているのに、回が進むに従って部下と一般市民がガンガン消されていくのだ。どうしようここはブラック企業TOYOTOMIです。

歴史が解明されるということは、こういう影の面も明らかにされるということなのだな、と思い知らされた秀吉像であった。確かに彼は人使いの天才ではあるが、権力を持ってしまった人間が陥りがちな罠にガンガン両足をつっこんでいく。それにしても目がこええよ秀吉。

話が進むと秀次公が亡くなり、絶大な権力を誇った秀吉も老いていく。ますます城内が混乱し、ラスボスであるはずの徳川が癒し枠というまさかの事態に発展。もうつらいから秀吉を早くナレ死でなんとかしてあげてと正直思った。

ようやくお亡くなりになったと思えば、今度は後継者争い。真面目で愛すべき治部のコミュ障っぷりが全国二千万(推定)の同胞の胸に突き刺さったのが記憶に新しい。しかし不器用ながらも、病気の刑部と手を取り合う彼の姿がなんともほほえましく、結末を知っているだけに悲しい。「別ルートに入れるのなら課金する」「いくさは嫌でこざいます」とTLが荒ぶったのも当然だ。

そして関ヶ原を控えたここでようやく、大物たちに翻弄されていた真田兄弟に光が当たる。犬伏だ。

もうこの回について語り出したらひたすら文字数が増えていくだけなので割愛する。が、「AにつくかBにつくか」という単純な二択ではなく「Aに兄が、Bに弟がつく。どちらが勝っても負けた方の兄弟を救うために全力を尽くす」と決め、偉大な父さえ越えたお兄ちゃんの選択の神々しさに泣いた。今まで、与えられた二択のどちらかを選ばざるをえなかった人たちの悲哀を見た後だけに、余計にこたえた。

運命を乗り越えろ。道は異なっても、兄弟の心は常に共にある。数十話をついやしてもなお、このドラマの屋台骨が死んでいないことが身にしみてわかった。ここまで見続けたかいがあった、応援してきてよかったと心底思えた。

それからはラストまでもう翻弄されっぱなし。真田丸が完成したときはテレビの前でいい大人が立ち上がったくらいである。敵の方が遥かに強く合理的で先が見えていて、破滅が待っている(主に大蔵卿局のせい)と知っても目が離せない、希有な物語だった。

そして先週、惜しまれつつ物語は幕を閉じる。信繁もお兄ちゃんも完璧ではなかったが、父を失っても最後まで自分の魂のために戦いきった。天国のばばさまもさぞかし本望であろう。

今、私を始め多くの人が満足しつつも、寂しい気持ちをもてあましているかもしれない。ツイッターを通じて多くの人の感想を読む時間は本当に楽しかった。自分では得られない歴史の知識を得て唸り、丸絵の完成度の高さに驚き、毎週のtogetterまとめを心待ちにした。その勢いは衰えず、とうとう公式への追い風となり、地元長野を大いに賑わした。ドラマ館の入場者数は、大台の百万人に届く勢いだ(行きたいよ休みと金をください)。

テレビが盛り上がらない。若者のドラマ離れ。最近こういう話をよく聞くが、そんなものは良い作品を作ればきっと乗り越えられるのだ。同じ創作を志すモノとして、一年かけて貴重な体験をさせていただいた。三谷氏、スタッフの皆様、歴史公証の先生方にお礼を申し上げたい。
真田丸を産んでくださってありがとうございました。また良い作品を見せてくださいますように。

※追記
個人的に不満はほとんどないのだが、信繁の回想シーンでの兄上の扱いがちょっとアレだったことはひっかかっている。だってさあ。みんなかっこよかったりかわいいのに兄上だけ「俺はいっぱいいっぱいなのだ」はなかろう……。なあ……。

ありがとうありがとう。

刀綱さん、3000字もありがとうございました!

拝読しているうちに、真田丸の計算され尽くした巻き込み力を思い出しましたね。見ている時は単純に面白かったのだけれど、むしろ怜悧ですよねえ・・

そして、先がわからない中全力で駆け抜けた、のは登場人物だけでなく、スタッフさんたちも同じだったろうと思いました。


真田丸総評テキストはしばらく募集していますので、ツイでは書ききれない!という方は、「真田丸総評ポスト」のコメント欄に投稿してください。

#真田丸総評のツイもたくさん投稿して下ってありがとうございます。全部拝見しています。まとめは12/26以降に作成していきますので、まだまだ投稿お待ちしています。

あ、テキストは1/7まで受け付けております。

どちらもよろしくお願いします。

スポンサーリンク
ad

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
ad