〈こんな本を読んできた〉戦国時代の実相、村上隆さん、幕臣目線の明治維新。

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本好き向けSNSのシミルボンに、雑多な自分の読書歴の中から、印象の強い本の書評を書かせてもらってます。

こうやって改めて自分の好きな本を並べていくのは、自分の正体をばらすような恥ずかしさがありますね💦

今回は戦国時代の戦とその担い手である武士の実態、日本では不人気なアーティスト村上隆さんについてと、幕臣目線で見た明治維新とその後継政権について書いてみました。

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武士とは。武士の軍団とは。

真田丸の合戦考証を担当している、西股先生のご本。

著者はもともと城郭の研究者とのことで、
研究の手掛かりとするものが、具体的な人なのだろう。

軍事もまた、目的の設置とそこに至るまでの過程、そしてその結果が論理的で、
そして具体的なものだから、
丁寧だが明快な説明が著者の語り口と合致して、読んでいて気持ちが良い。

著者が記録から読み取る武士の実相は非常に具体的で、馬、甲冑、武器の戦に必要な武具を維持し、戦闘に必要な訓練をし、また軍団を編成するための郎党を多数抱えるために、武士には徴税権を持つ領地が絶対に必要と、土地と武士との関係を切れ味よく説明して分かりやすいです。そうなんだよねえええ。

戦国時代に興味がある人は是非一読plz。

生と死と楽天主義

アーティストの村上隆さんを、はっきり好き、という人は少ない。特に最近は。私もあまり好きではないのだけど、彼のアーティストとしての凄みには平伏している。というか平伏せざるを得ない。

ということを自分に理解できる範囲で書いてみた。

「いつ死ぬかわからないから思い切って生きよう」という
仏教的な無常観の健気で明るい表れ、それを、
村上隆氏は物へのフェティシズムとオタク・カルチャーという文脈で翻訳した。

造形的にあんまり優れていない感じの、
微妙でちょっと不快な像が、
50万ドル(5800万円)や1500万ドル(16億円)という
破格の値段で落札されたことは、確かに驚きなんだけれども、

作品そのものにではなく、
その意味するところ、

「未来への不安は現在への集中によって解消される」という
氏のインスピレーションに対してのもの、と考えれば
不思議でもなんでもないのである。

精度の高い未来予測は投資を呼び込むのだが、
実はその意味において、
アートと資本主義は相性が良い。

希少な尻尾を出さないタフな狸系アーティストである。

明治維新とイメージの力

幕末の外交交渉、つまり日米修好通商条約は不平等条約を結んだとして、当時の徳川政権が批判されることが多いが、果たしてそうだろうか。

というようなことは割と前々から知っていて、幕末・明治維新というものを考える時、自分には「西軍メガネ」がかかっているなということは思っていた。

なので、この本は非常に興味深く読みました。

明治維新を担ったのは、下級武士層だったが、
代々統治を担ってきた幕臣たちが様々なノウハウを持ち、
幕末の外交に大きな成果を残したことはもっと語られていい。

この本は、薩長史観を批判し、明治維新を神聖なものとして徳川幕府を無能扱いする官軍教育を弾劾する。

しかし、現在の歴史教育がさほど間違っているという印象は私にはなくて、問題はエンタテイメントの世界なんでないか、と思う。

厄介なのは、社会に受け継がれてきた「イメージ」の方で、
正確な歴史的知識や、歴史認識に興味のない人たちのそれを改められないうちに、
次々に作品が作られてイメージが補強されていく。

このイメージを利用したエンタメ作品を世に出す人々は
最新の知見を持っていないわけではなく、
ただビジネスとしてイメージを利用して作品を作っているから
なおさら厄介なのである。

と、これを書いた時は思っていたのだが、真田丸が一瞬で(これまでの社会的通俗的な)イメージを更新するのを何度も見てしまったので、要は気概なのではないか、と思ったり。

とにかく何かを更新していくって、習慣づけていないと大変だ。

著書は言いたいことが明快なので、思考にパンチを入れるのにとてもいい。

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