〈こんな本を読んできた〉現代という恐るべき過渡期、など。

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ブキッシュ・ピーポー向けSNS、シミルボンに書かせてもらっている書評のご紹介です。文章が硬くて舞い上がりっぷりが恥ずかしいのですが、まあこれはこれで。

今回は歴史と関係ありそうで、実はあまり関係ない感じの三冊を。

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恐るべき過渡期

2004年、小林秀雄賞を受賞しているので、一種のエッセイ。

宗教学者で、多摩美の教授でもある中沢新一さんという人が一体何をしているのか、私にはよくわからなかったんだけれど、ようやくこの本で理解したんではないかな、と思っている。

私たちは「革命の成果がで尽くし」てしまいそうで、そして次の革命が未だ来ぬ世界、過渡期を生きている。中沢新一氏は「革命の成果」を分析することで、「次の革命」がどのようなものであるかを探り、見通しを立てる。

その魅力的な探索の旅が本書である。

というわけで、中沢さんのお仕事は、現在私たちがいろいろ苦労したりしなかったりしている現代がどういう過渡期で、次に訪れる革命がどのようなものになるかを考察したり、説明したりすること。

世界中で語り継がれる「シンデレラ」物語の異文を比較するという魅力的なツカミだけでも是非どうぞ。

多摩美の講義の記録ということで、こんな素晴らしい授業を受けられた学生は本当に幸せだと思う。

壮大な入れ子構造に酔う

この物語は文学から文学を作るという手法で書かれている。ジョイスの「ユリシーズ」のように、その原点が古典であればあるほど、引用される作品とする作品の落差は大きくなり、物語の魅力は増す。

古川日出男さんのこの作品での趣向は、それを逆にする。

ゲームやラノベ(の原型)のような現代のポップカルチャーによくある設定を引用し、引用され、新たに生み出される作品の方が壮大で叙情的問いう趣向に、びっくりする。

ナポレオンのエジプト侵攻を背景にした、イスラムの軍人奴隷の物語という切り口もキャッチーで魅力的でオススメです。

装丁が華麗な単行本の方が好き。

でもものっすごく分厚いので、手軽さでは文庫本が圧勝である💦

後鳥羽院という濃ゆい上皇

日本史上屈指の大歌人である後鳥羽院の和歌を分析し、その魅力を丹念な考察で明らかにする本…という体裁をとりながら、著者の丸谷才一先生が力を入れてるのはゴシップ。

つまり、この本は和歌とゴシップという筆で描き出した後鳥羽院の伝記なのですが、多くの和歌が引用されるさまは華麗なアンソロジーの体もなしていて、正しくは丸谷才一の作品の一つとして読むべきなのかもしれない。

白眉は、

おのがつま恋ひつつ鳴くやさ月やみ神なび山のやまほととぎず

という後鳥羽院の詠が、読み人知らずとして新古今和歌集に差し込まれた経緯。

このぶっきらぼうな読みっぷりの和歌を得るために、定家ら当代一流の歌人が3首ずつ参考和歌を詠みあげ、それを参考に後鳥羽院が3首を読んだというのだから、恐れ入ります。

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