真田丸 第三十三回「動乱」レビュー〈2〉信繁の説得。昌幸の覚醒と輝きww 治部は義憤という正当性を得てしまう…

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後半も三成の悪手に次ぐ悪手、後手後手が続きます。

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決裂

●秀頼公から徳川討伐のお墨付きを得られず、虚しく伏見に戻ってきた石田治部。

信繁はすぐに加藤清正が来て居座っていることを報告します。

上杉毛利を味方につけることができず、寧には怒られているとなったら、三成の不首尾も予想できそうなもの。

それだったら清正に説得してもらえるよううまく前振りしとくとか、あるいは清正に味方してもらえるように治部に伝えるとかするべきだろう。

そんでみっちゃんも上杉や毛利の状況を確認してから清正と会えばいいのに、この二人にはそういう頭がまるでないので、もうあかんわってなりました。ふう。

三成はただイライラとした表情で、面倒臭そうに清正に会うだけです。

●清正の方がよっぽど状況を理解している上に、三成が情緒的に切れていることを見抜いています。

そんなのはお前らしくない、振り上げた拳をどうしたらいいかわからなくて困ってるんだろ、と説得する清正。なんとか距離を縮めようと腕相撲しよう、とまで言い出します。友達っていいものだな。三成。よかったね。。。

●しかし、二人はついに決裂に至ります(ちょおおお!)。主に石田三成が悪い。というか、考えなさすぎ。清正は危険を押して治部少丸に来たというのに、このバカ!大バカ!!

●清正が徳川邸に帰って行った後、上杉も毛利も味方にならないことを聞いた治部は、宇喜多秀家、小早川秀秋、そして信繁に当たり散らします。

石田治部がどれだけ豊臣家のことを思っているかを理解しているはずの彼らも、さすがにイラッとしますし、「そうだ、細川忠興がいた。あれを味方につけよう」という治部の言葉に、ドン引き(控えめに行っても状況が見えなすぎ)。

治部は自ら忠興の説得に向かいます。手土産に干し柿を持って。

細川忠興

●ところが細川忠興は石田治部に怒りを爆発させます。

「加藤清正も福島正則も太閤の身内というだけで出世してでかい顔をしている。儂はあいつらが大嫌い。だが、それ以上にお主に腹が立つ。干し柿程度で命を懸けろというのか、いい加減にしろ」

三成は細川忠興の本音をぶちまけられるは、口汚く罵られるわでびっくりします。

いやはや私もびっくりだよ。これから内大臣邸に奇襲かけたいんだけど味方が少ないから協力していますぐって時に、手土産が干し柿とは。

●細川忠興に「帰れ」と怒鳴られた石田治部は、今度は大谷邸に現れます。

大谷刑部

●病を押して鎧支度をする大谷刑部を見て、三成は味方になるべく準備してるのだと誤解します。涙目になって「持つべきものは友」「輿を用意させます」と喜ぶ三成。

しかし大谷刑部は「わしは行くのは徳川邸だ」とそれを否定。

●そして何度も三成に問うてきた「徳川内府を殺した後、どうするつもりだ」の問いを再度投げかけます。もうことここに至っては刑部も三成を問い詰めるしかありません。

「徳川内府を殺せば政治の要(を務めることができるもの)がいなくなる。お主がなるつもりか。できまい。お主に人はついてこぬ」

やってみなければわからない、という三成に「今夜、お主に味方するものはどれほど集まった? 徳川邸は大名たちで溢れておる」と現実をつきつける刑部。

辛い。これは辛い。治部も辛いが刑部も辛い。

治部はついに誰にも明かさないできた「家康を殺せ」という秀吉の遺言の件を刑部に明かします。治部的には伝家の宝刀というか、太閤殿下の死の間際の遺言の重みを刑部なら感じ取るだろうと思ったんでしょう。ところが大谷刑部は、

「死にかけた老人の世迷言に振り回されるな!!」と一喝します。

大切に抱えてきた、自分にだけ残された遺言。それをバッサリ切り捨てられた治部は「たとえ刑部殿といえど、その言葉は許せぬ」と刑部とも袂を分かってしまいます。

●刑部は治部の最大の理解者の一人であり、いつも治部を優しく導き、治部の意志に沿わないようなことはせず、気遣ってきましたが、ぶっちゃけあれは甘やかしだったと私は思います。

今まで甘やかしてきたツケを、このような局面で払うことになってしまって、刑部もしんどかったことでしょう。

しかし、そうなったらそうなったで鋼メンタルの大谷刑部が、容赦なく治部を粉砕するところは彼らしくて大変面白かったです。

●徳川邸に細川の旗が立ったのを見た信繁は、治部の説得が失敗したことを知り、一計を案じます。混沌を送り込むことにしたのです。

昌幸の気づき

●その頃昌幸は、お前楽隠居なんて嘘だろ、いつそんなもん作ったんだよ、と言わんばかりの詳細な伏見の地図を前にして、状況を佐助に確認しながら思索を練っていました。

●信繁は父に、徳川邸に入って欲しいと頼みます。

わしが徳川に味方して何が変わるのか? と言われて「石田様に諦らめさせることができます」と答える信繁。

信繁の策は、三成に対するショック療法以外の何もでもなかったのですが、昌幸はそこから違うものを引き出してしまいます。

昌幸は気がついてしまった。徳川に豊臣を弓引かせれば、乱世が再び生じるぞ、と。

信繁、痛恨のミス。父親を覚醒させてしまった…!

正信佐渡守 vs 大谷刑部

●さて徳川邸では、大谷刑部が来ると聞いて、徳川家康の目の色が変わっていますww

もう目もほとんど見えないと、苦しげな大谷刑部。無理を押してやってきたのは誰の目にも明らかです。

その刑部に擦り寄らんばかりに寄って行って両手を握り、「天下一の侍に来ていただいて心強うござる」とものすごく嬉しそうな家康ww

大谷刑部は顔なじみですし、智勇に優れた切れ者(信尹叔父上と同タイプ)で、家康くんのメッサ好み。どストライク。

しかも病を押して主君への忠義のためにやってきたとなったら、もうたまりません。どうにかしてこの男を家来に迎えたいとマッキー極太で家康の顔に書いてる状態。

●ここで正信が、「我が主のため、君側の奸を懲らしめてくださりませ」と刑部に言うのですが、媚びへつらうような声音とは裏腹に、「徳川に着くんだろ?何かいうことあるだろ?」という、完全な挑発をぶっ込みます。

●大谷刑部、ここで勝負に出ます。

「勘違いしてもらっては困る。太閤殿下の作られた太平の世を乱すものを倒すのが我が勤め。大谷刑部は秀頼公の家臣でござる」

徳川方についたのではない、豊臣家のためにここにきたのだ、太平の世を作られた太閤殿下のご恩を忘れるなと豊臣恩顧の大名たちに釘をさします。

「お言葉がすぎますぞ」と思わずイラっと本性を晒す正信。刑部の完勝です。

●すかさず家康がフォローします。

「まあ良いではないか」「さすがは豊臣家随一の忠臣。言葉の重みが違う」。

しかしそこに「真田安房守様ご到着」の声が…!

なんと混沌が自らやってきてしまった!!

レジェンド

●武装して現れた真田昌幸はニコニコ、キラキラした笑顔で家康に挨拶。こんな爽やかな真田安房守は見たことがないぞ…!

そして「内府殿は、某が神明をかけてお守りいたす」と言ったかと思えば、なんとさっさと軍議を開いてしまいます。

豊臣家の大物家臣である大谷刑部に声をかけ、徳川の婿である信幸を呼びつけてと流れるようにその場を制圧する真田安房守。

前回、三十郎に「ずいぶんくたびれちゃって大丈夫ですか」と言わせたり、本人に「(信濃に)帰りたい」とか月に向かって言わせてたの、あれは伏線だったんだな?そうだな? その詳細な徳川邸の絵図面はいつ作ってたんだ!?

……真田安房守、ものすごくかっこいいです…>_<… 私も父上に完敗です。

「なんで信濃の小国の領主程度が、わしら大名を仕切るんだよ」と清正が突っ掛かりますが、ちっとも慌てず、袖を振り払うように一蹴。何の威圧もなしに場を掌握する安房守は、まさに役者が違いました。

●一蹴されてからの清正も「お願します」と素直でかわいかった。なぜこの素直さを治部は受け入れられないじゃー(七転八倒)。

●「徳川の大軍を退けた」レジェンド安房守の軍議に、若手大名たちも何だか嬉しそうです。

秀吉の平和な10年の間に、世代交代が進み、戦の経験のあまりない若手が増えた、ということでしょうね。

説得

●その頃、上杉邸では景勝が直江と話をしています。ああ見えて目先の利益で動く男ではない(どう見えてんだよ?)、義のために命を捨てることのできる男ですと、直江は治部を高評価。

それを聞いた景勝は、ならばお主の目から見て、わしはどんな男だ? と謎かけをします。この答えによって、彼の行動は決まる。そして直江はそれにどう答えたのか。

●ここでカメラは徳川邸へ。

石田治部が襲ってこないので、本多忠勝はイライラしています。それを見た昌幸は、信幸にアイコンタクトして真田の旗、大谷刑部の旗を立てさせます。

これは石田治部への「来るんじゃないぞ」と言うけん制。それでいながら正面に守備の要を配したのは、信繁が建てた策に沿ったもので、万が一石田治部が本気で襲撃をかけてきた時には家康暗殺を成功させるため。

昌幸は石田治部を生き延びさせ、豊臣家臣を2分させて、大戦を起こすことを考えているのがこれでわかるようになっています。

●信幸が父親とついにツーカーになるのは、非常に良かったですね。

戦力差を見せつけて治部に思いとどまらせようとする策に乗り、「刺客を送った?なんてやつだ許せん。引っ捕えて首をはねてしまおう」としらばっくれる父親に多少顔色が芳しくないながらも「おう!」と音頭をとる時の表情、最高でした。

でも昌幸の魂胆はひどい。本当ひどい。さすが安房守。

●ついに誰一人味方を得られなかった石田治部は単独での襲撃を決意します。まさに出陣というちょうどその時、大谷・真田の旗が立ったという報告を受け、三成は動揺してようやく信繁の顔をまともに見ます。

●ここから信繁、渾身の説得です。

いつぞや、秀次の娘を助けるために秀吉に対峙したように、ここしかないというタイミングで治部を止めます。

義の戦い

「もう勝ち目はない、兵を引きましょう、今ならまだ間に合います」という信繁。しかし石田治部は「どうせ腹を斬るのなら、徳川邸で討ち死にする飲み」と言い張り、信繁の言葉を聞き入れません。

●とうとう信繁は驚くような大声で「いけませぬ」と治部を押しとどめ、

「私はあなたが無私に徹して天下万民の為に働くのを見てきた。あなたにしか出来ぬことがある。それは私利私欲のために行動する徳川家康にはなしえぬこと。まだ死んではなりませぬ」

ずっと治部の働きをそばで見てきた、時には命をかけて秀吉を諌め、民のために戦を避けようと奔走する治部を見てきた。

そういう信繁だからだから、まだ死ぬな、生きろと言える。

来た。主人公の積み重ねがついにここで来ました。

長かった。下積み長かった。33回、作中15年の下積みですよ!!!

●しかし残念ながらこれでも説得には足りませんでした…花燃ゆだったらみっちゃんがここで掌返して改心するのに、みたにんはさすが甘くないな)。

●最終的に石田治部を止めたのは、治部少丸に突然現れた上杉景勝でした。

「義をないがしろにするものをわしは決して許さん。徳川内府はわしが倒す」「我らで対戦を仕掛けるのだ。義はこちらにある」「その時が必ず来る。今は命をつなぎ、時を待つのだ」

そして景勝公は石田治部抱きとめます。

●上杉景勝はここで石田三成の気持ちを義憤として承認してしまう。それによって治部はようやく自分を止めることができた。

しかし何度も書いてきたように、三成の義憤の前提である豊臣政権の正当性というのは、太閤秀吉の作った平和なのです。義のためにそれを破るのかという大きな矛盾を景勝と三成は抱えることになります。

●家康もまた、自身の身の安全という私利私欲と、自分が確実に平和をもたらすのだという大義の矛盾を抱えます。

こうしていびつな義と義がぶつかり合っていく…

●徳川邸から去る大名たちを見送りながら、家康は自分の一声でこんなに大名たちが集まるなんてと驚き、いけるかもしれないと天下取りの決意をします。

●少し遅れて立ち去る真田安房守が家康を見る顔は相変わらずニコニコで、それはまるで家康が天下取りに向けて歩み出すことを応援するかのような暖かな笑顔なのでした。

レビュー疲れたorz.

1万字近く書いたので、疲れました…。

しかし三谷脚本が、主要な登場人物たちにきっちり見せ場を用意するのがわかっているから、どんなにかわいそうな目にあっても「これ見せ場だから」っていう距離感で、目を背けずに済むっていう不思議な効果を催すよね。

とにかく、今回は疲れた。

昌幸の輝きの胡散臭さにも吸い取られました。

って思っているうちに、もう次回が来ちゃうのが真田丸です。

どこかで息継ぎさせてもらえないと死にそうです💦

人質みたいな、誰かがすごく慕わしい回ください。

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真田丸 完全版 第弐集 [Blu-ray]

映像特典ディスクがすごいことになるらしいですね。楽しみ!!

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コメント

  1. 軒しのぶ より:

    >混沌を送り込むことにしたのです。

    ここで噴き出しました。いや素晴らしい。あの親父はまさに「混沌」をもたらす者ですね。混沌の匂いを前に、もう絶好調で生き生きしている親父殿をみるのは楽しいです。
    そして親父殿の思考と行動の解説をありがとうございます。そういうことか、よくわかりました。しかし信繁、とんでもないものを覚醒させてしまいましたね。こういう親父だ、とわかっているのに…大坂にいる間に忘れましたか?
    この二人が一緒に第二次上田合戦を戦うはずなんですが、目指すものはまーったく異なっているのですね。
    今回は、上杉さん、徳川さん、とともに親父殿の覚醒の回でもあったのか。

    • アンチョビ より:

      >軒さま
      あんなに嬉しそうに家康の顔を見る昌幸は初めての描写でしたね(爆笑させていただきました。パパ、顔に出すぎ〜)。
      今の所、次男と父親は、お互いの目的のために上田合戦を共闘ということになりそうですが、犬伏のPR動画を見ると伝統的解釈もありそうかな、と思っています。見たくないような、見たいような

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