真田丸 第三十二回「応酬」レビュー〈2〉虎之助と佐吉のすれ違い。家康無双。

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32回、後半です。サクサクいきます〜!

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茶々と甕

●寧は徳川から謀略を仕掛けられて迷いますが、茶々は至極あっさりと「どっちだっていい」。茶々というか、淀殿には、もう秀頼以外に興味のあるものはない。

●信繁に頼んで、一緒に秀吉の遺骸を封じてある奥の蔵に甕を見に行く淀殿は、ジメジメして薄暗くて、殿下には相応しくない場所と笑います。

淀殿は、秀吉には手を合わせず、複雑な表情を浮かべて信繁の手をそっと握るのでした。

●茶々の傷だらけの心を理解するようになった信繁が、男女の愛情とは違うところでそれを受け入れるのがすごく良かったですね。

茶々は(秀吉に対して)憎悪一辺倒ではありません。しかし本心では秀吉にされたことを忘れることも許すこともできない。だから壊れていく…

宴、それぞれ

●信幸は、本多正信主催の徳川邸での宴会に出席します。

信幸は本多忠勝のことばかり気にしていますが、他の大勢の大名達にとっては誰が敵か、あるいは味方なのかを確かめる場です。

そして味方の中で、自分はどれくらいのポジションが取れるのか。

徳川方からすれば、才覚のあるものを見極める場に。

●で、そういう猿山ステージみたいな席で、さっと才覚を表す伊達政宗の腰の入った綱渡りっぷりが描写されます。

「それはそうとして、太閤殿下は亡くなっているんでしょ?」とぶちかました政宗は、家康の五男(本当は六男)を婿にゲットです。

●徳川邸での宴会、大名の取り込みを知った石田治部は、「負けておられぬ、我らもやろう!」張り合います。しかしこれは良くない手でした。

治部は豊臣の家臣として19万石を領有する大名でもありますが、豊臣家の能臣である以上の実績を持たない石田は、外様なの戦国大名達に比べれば格が一段下。大名達が治部の宴会に出席しなければならない積極的な理由がありません。

そんなわけで、石田治部の宴会に来たのは、宇喜多秀家、小早川秀秋、片桐且元。身内ばかり。遅れて細川忠興が来てくれますが、これだけ。

お膳も質素で寂しく、徳川邸の贅を尽くした楽しげな宴会とは悲しいくらい違う(ということも、石田治部は見てないからわかんないしね)。

しかも、席を中座してしまう。

自分が宴会の主人として客をもてなさなければならいのだ、ということが三成にはわかりません。

三成が一番秀吉の死を受け入れられていないのかも、というご意見をTLで見たのですが、そうかも。

みっつん、秀吉が生きていた頃とやり方を変えることができません。

●三成の宴会に出席してくれたただ一人の大名、細川忠興は、帰宅後、妻に「行って損をした」とその宴席を評します。

ちょうど、妻、細川ガラシャこと玉は、きりちゃんの入信相談を受けていたところでした。きりちゃん、死ぬほどの覚悟はまだないとのことで、入信はやっぱり諦めることに。

(自分でフラグを立てて、自分でへし折るきりちゃんです)。

加藤清正

●石田治部は予てからの計画通り、朝鮮からの撤兵の差配ために肥前名古屋城に向かいます。

●久しぶりに会った清正、虎之助に、秀吉の死を伝える石田治部、佐吉。

石田治部は要約すると「お主はできる男だ、一緒に秀頼様をお守りしていこう」とねぎらい、友情を伝えます。しかし要約しないと、なんかこう、チクチクした言葉になるのが、石田治部のかわいそうなところです…

「お前には言ってやりたいことが山ほどあるが、今は言わん。秀頼様を共にお支えしていこう」という清正の言葉は、ぐっとこらえた、大人の対応なのですが、それにさえ「だからそれは私が今言った」とかつっけんどんに言い返す治部。

私たちは可愛いなあ、清正には気安いんだなあと思うけど、思うけど…

●で、その晩三成の心づくしの宴会が開かれますが、これがまたお通夜みたいな席なわけです。

しかも主催のみっちゃんは仕事があるから中座。またか。いかん。中座はいかん。

清正は「俺たちとは飲めねえっていうのかよ、お前と飲みたいんだよ!」と一生懸命近づこうとするんですが、逆にみっちゃんのメンタルがこれで一気に限界に達し、「私は飲みたくない!」と清正を振り払います。

仕方ないんだけど、どうしてお前は、秀吉だったらこんな時どうしたか、をなぜ考えない…?? と言うように、石田治部はどんどんドツボにはまっていきます。

人を支えることの難しさ

●そんな折、京では、徳川家康が伊達政宗、福島正則と縁組しているという話が宇喜多秀家の耳に入ります。

勝手に大名同士で縁組を結んではいけないと太閤殿下のご遺言にあるのに、徳川が殿下のご遺言を無視して勝手なことをしている、と秀家は激昂。

それを聞き知った信繁は、兄のコネを使って徳川家康に会いに行き、秘密裏にそれを正そうとするのですが、家康は「まだ太閤殿下は死んでいない。だからご遺言も今はまだ効果がない」と思いっきりしらばっくれます。

●信繁など子ダヌキにも入らぬわ(諦め)。

●明けて正月、秀吉の死が世間に公表されます。時を同じくして、加藤清正が徳川家康の娘を嫁に迎えると、石田治部は激怒。確かに、秀吉の葬儀を清正のために伸ばしていたのに、その前に家康と縁組されたんじゃ、石田治部的には怒りもするでしょう。

しかしそれが、「わがまま勝手」かというとそれは違う。清正的には、徳川という有力大名と豊臣を結びつけるという意味合いも多分にあったはず。

以前の石田治部ならそのくらいの腹芸は理解したような気がするのですが、徳川家康への恐怖と警官感を秀吉からそっくりそのまま受け継ぐことになったみっちゃんは、思い込みでちょっとおかしくなっていて、視野が狭くなっています。

●刑部・信繁は、家康がいなくては豊臣政権は成り立たないのだ、と治部をたしなめますが、治部はそれを受け入れず、ついに刑部は治部の説得を諦めることに。

決して石田対徳川という図式にせず、他の大老から徳川を責めてもらうのだ、とアドバイスを与え、しかしそれでも荷が勝ちすぎると信繁のコネを使って上杉景勝に援助を乞う書状まで書く大谷刑部ですが、その体は一層病に侵されているのでした。

●「石田殿が徳川殿を支えるではダメなのか?」「誰もがそれを望んでいます」という真田兄弟の会話が前半に挿入されましたが、誰よりもそれを望み、豊臣と石田治部の安泰を望んでいるのは刑部と信繁。

しかし、石田治部に最も親しいこの二人でも説き伏せることはできません。だって治部本人がそれを全く望んでいないから。

人を支えるって難しいですね。

家康無双

●信繁は上杉邸に向かい、景勝公に状況を話して助力を請います。根回し根回し!

●景勝は家康の糾弾を任せろ、と調子よく引き受けてくれますが、直江山城さんの表情は芳しくありません。

ていうか、景勝公→直江さんの顔色を見るところで吹いちゃう w w

●評定の前、三成は家康の勝手な行いを述べ、彼を問いただすよう家康を除く大老に要請します。上杉、前田、毛利、宇喜多の五大老は皆三成に同意し、場合によっては家康を大老から外すことにも了解を与えます。

1:9。圧倒的三成有利。…かと思われましたが、徳川家康は宇喜多、上杉の糾弾を、すっとぼけの横綱相撲で退けます。強い。家康強い。

喧嘩が始まる前、正信が「バカどもめ」とでも言うようにフっとほくそ笑むのですが、頭の回転の速さとメンタルの強さ、プレゼンのうまさが段違いでした。

容易に突き崩されない論理をパッと立ててしまう上に、話がうまい。

思えば、他の大老たちは2代目。しかし家康はただ一人初代なんですね。

戦国ネイティブの最年少世代である家康に対抗しうる苛烈な狸親父たちは死に絶えるから、棺桶に片足を突っ込んでいる。

家康はタヌキとしての自分を解放し、全力でやりたい放題です。

真面目に突っ込んできた石田治部は念入りに、「君側の奸」と血祭りにあげます。合議をコントロールしようとした石田治部への痛烈な批判で、しかも間違ってないから痛い。

私利私欲ではない、純粋な忠義に基づいたものではありますが、合議をコントロールしようとしたみっちゃん。家康の指摘は実はその通りなのでした。

●精神的に追い込まれた三成は、家康に対して夜討ちをかける決意をします。

あれだけ頭の良い男が、どうした、みっちゃん・・・

もし今、昌幸があの席にいたら

家康無双を見ながら、第四回、信長に会いに行った回を何度も思い出しました。ここに昌幸がいたら。あの完全アウェーの中でも臆することのない胆力と、家康に対抗できる知力を持った昌幸がいたら。

すごく面白いことになってたろうなー。くそー。

しかし、こうしてレビューしてみると、石田治部は決してコミュ症ではないですな。

問題は彼が冷静さを失っていること、思い込みに支配され、自分がやるべきことがわからず、後手後手に回っていることだと思いました。

「家康を殺せ」という恐ろしい呪いを解くことが、誰かにできるのでしょうか。

…………は。左近!?

(というわけで、新たなイケオジに期待を寄せる)

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