真田丸 第三十一回「終焉」レビュー〈2〉主君大好きな家臣が最後に受け取ってしまった、効果抜群の呪い。

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人間はプロデュースされる側とプロデュースする側(したい側)の2種類に分かれますが、真田丸が面白いのは、プロデュースしたい側の情熱を割と当然のものと表現することです。

昌幸に輝いて欲しいと願うモンペ出浦。我が殿に天下を取らせたい本多サド・阿茶の局。秀吉を忠義以上の何かで敬慕する石田治部。

大阪編はプロデュースされる側、秀吉、茶々、氏政、秀次、つまり主君たちの物語でしたが、秀吉の死が近づくにつれ、プロデュースする側にライトが広がってきています。活躍する人が増える→ドタバタが増える。絶対面白いよな!!

というわけで、31回後半です。

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おこうの子の件

家康暗殺はいつでもレリゴーと昌幸に迫る出浦。

そこに本多平八郎が孫の百助の顔を見にやってきます。昌幸は気さくに本多忠勝に声をかけるのですが、本多殿、真田家に自由に出入りしとるんか…

(気をつけてみると、ここからカメラはさりげなく出浦さまを写しません。)

●すっかり夫婦らしくなった信幸・稲をよそに、おこうさんと彼女の産んだ仙千代は、まるで日陰者のように本多忠勝から隠れています。

なんと信幸は未だに舅に庶子のことを打ち明けていませんでした。むしろ稲ちゃんの方がおこうがかわいそうだから早く父上に話して!と若干お怒り気味。

兄上はしかしとにかく本多平八郎が恐ろしいので、なかなかはっきりものが言えません。

ここでパパ幸の今日の迷言「世の中、先延ばしにしていいことなど、一つもない」が来たー!

真田の嫁たちはその言葉にシ〜〜ンとしてしまうのですが、そこの稲ちゃんが入るようになったのは感慨深いなあ。武闘派として父の身体能力を受け継ぐであろう稲ちゃんは、真田家と相性バッチリなんだよな、多分。

確実に勝てる戦などない

●伏見城では、きりちゃんが「北政所さまから」と信繁に生煎餅を差し入れます。

リアリストのきりちゃんは大変冷静で、「同情なんかしちゃダメですよ、あの人のせいでどれだけ多くの人が酷い目にあったか」と秀吉をバッサリ評しますが、信繁は「今となってはそうも言えない」とすっかり殿下に魅入られてしまっている様子。

徳川家康が来たと聞いた信繁は、食べかけの生煎餅を置いて応対に出て行き、きりちゃんがそ〜っと信繁の食べかけに…のところは当然ながら吹いた w

●家康は先日の遺言書捏造の折、秀吉に手荒いまねをしたことを悔いてまして、今日は一人で改めてお見舞いに来たのでした。

心配そうに、申し訳なさそうに秀吉の寝顔を見つめる家康(超いい人)。

信繁は監視があからさまにならないよう、ロウソクの交換をしに部屋に入ります。しかし家康は信繁に気さくに話しかけて、本心を色々漏らします。

「生きのびられれば良いと思うているうちにここまで来た」「戦は大嫌いじゃ。確実に勝てる戦などない」「戦場で命からがら逃げ回るのはもうごめんじゃ」

それは三方ヶ原ですね。話を聞いてる男の父親ですね。そして20年後、今度は目の前の男に追いかけ回されるわけですね…フラグ、分かりやすいです。

●この会話から、信繁は家康公が秀吉の築いた平和に実は感謝しており、秀頼を害しはしないだろうということを知ります。

家康的には、信繁は少年の頃から知ってるし、北条氏政の説得の件でも頼りにしたことがあるし、割と気安い存在なのかもしれませんが、まあそれにしても大概人誑しです(苦笑)。

●そこに金吾中納言(小早川秀秋)がやってきます。金吾の呼びかけに意識を取り戻した秀吉と家康は最後の会話をすることができたのですが、信繁と家康がちょっと目を離したすきに、秀吉が自分の残りの命と例えるロウソクの火を、金吾がぶはっと吹き消したのには超笑いましたです w w

わかりやすい w w あと、い い テ ン ポ w w

家族、最後の対面

●その夜から秀吉は昏睡状態に入ります。いよいよ最後の時を迎えようとする秀吉。

信繁は淀殿と秀頼を秀吉に合わせたいと願い、今度は大蔵卿局の元へ。局は茶々の気持ちが鶴松の死以来大きく変わったこと、死をものすごく恐れるようになったことを話します。本当は弱いお方なのです、という大蔵卿局。

しかし淀殿は二人の前に現れると、秀頼の手を引いて秀吉の部屋に向かいます。

●死を恐れる淀殿は秀吉を前にすると急に臆しますが、「母上の代わりに父上に会う」という秀頼の聡明さに救われます。淀殿も、最後にはいつもの小悪魔めいた微笑を浮かべて悪戯っぽく「殿下♥」と声をかけることができました。

●秀吉は最後に最愛の息子に会うことができ、淀殿も寧から「立派に秀頼を育ててくれてありがとう」とねぎらわれて幸せそうに微笑みます。

私たちから見ると少し奇妙な家族ですが、紛れもなくこれが秀吉の家族なのでした。

それにしても家族、少ない・・・

佐吉の受け取った呪いは

●こうして秀吉は幸せに死を迎えるかと思われたのですが、そうは問屋がおろさないのがこのドラマ。

夜半、秀吉は夢うつつに馬の蹄の音を聞き、信長の鎧が不気味に光るのを見、枕元に立つ人影に気がつきます。秀吉を恨めしげに見つめる血みどろの少年。

錯乱した秀吉は、石田治部に「佐吉、家康を殺せ」と最後の呪いを残してしまいます。

●秀吉が見た少年は、かつて秀吉が串刺しにした茶々の兄、万福丸でした。

秀吉は幼い後継者が敵対者に殺されずに済むことなどない、戦国の世の習いを思い出してしまったのですね。

と同時に、淀殿が恐れた「冷たさ、卑しさ」という秀吉のネガティブな部分が最後に一気に噴き出します。

●この言葉を受けた三成は、真田邸を訪ねて昌幸に家康暗殺を依頼します。さすが治部、シンプルなテクストで命令されると理解と行動が早い!

●昌幸は「この話は聞かなかったことにいたす」「お互いのためじゃ」と言いながら、暗に依頼を引き受けます。

最近のパパ幸は、コメディリリーフから突然牙を向くから困る。

成功しても、失敗しても、真田には一切関わりがないとか、ニヤリと笑う悪い顔とか、とってもかっこいいです><。

●治部が帰った後、昌幸は昌相を呼びます。「徳川内府に死んでもらう」。ギラギラかっこいい昌幸に、出浦さまも生き生き。やっとやるか、待っておったぞ、みたいな顔で暗殺を引き受けます…

暗殺

●徳川邸では、真田家の長男が人生相談中。その天井裏に透破が潜み、隙を窺っています。

ここはもう緊張と笑いが交錯する凄いところで、超クールな顔で標的から目を離さない出浦さまの下で、信幸が涙目で「私にはとても言えませぬ。何卒内府さまに舅殿の囮なしをお願いしたいのです」とか、家康が「稲を後家にするには忍びない」とか大真面目にやってるのがたまらんかったです。

「絶対に笑ってはいけない徳川家康暗殺事件」か。

と思っていたら、出浦さまが毒を入れた容器の蓋を口で開ける「ポンッ」という印象的な音が。これは昔、上田城の中庭で火遁の術を佐助に教えていた時のあの音ではないですか。

信幸もそのことに気がつきます。作中で10年前のさりげない(?)ギャグの回収がまさかこことは。

信幸以外の誰も、この音に気がつきません。知力体力精神力にすぐれ、耳もいい。真田家のロマンチックなチート一族っぷりがここでもさりげなく描かれます。

●この驚きのフラグ回収により、出浦さまは本多忠勝に気づかれてしまい、ついに1週間楽しみにしていた真田丸最強矛矛対決へ突入です。

●もうとにかくここがかっこよかった。

出浦昌相役の寺島さんの端正な殺陣の美しさもさりながら、

藤岡弘、さんの、槍さばき、足さばきの鋭さ。槍を折られて刀に持ち替えてからも、振りが早い早い!!

しかし、信幸と顔を合わせてしまったことで隙のできた出浦さまは、本多忠勝の一刀を背中に受けてしまいます。続けて腕、足と切られた出浦さまはもはやここまでと火力大の煙玉で決死の逃亡を図ります。

いやかっこよかったー。負けたけどかっこよかったー!

往きて還った昌相。秀吉の孤独の死。

●徳川邸に賊が押し入った話は信繁の耳にも入り、信繁は急いで帰宅して昌幸に報告します。しかしそれを聞く、父親の様子がおかしい。

「父上がやってくれた」という兄の言葉を聞き、信繁はすぐに全てを悟ります。

そこに、佐助が出浦を救出して戻ってきます。刀傷と火傷で瀕死の出浦昌相を抱えて、昌幸は我を忘れて泣き、それを見た信幸・信繁兄弟も呆然と立ち尽くすのでした。

●昌相(と昌幸)がおこした徳川邸での騒ぎのため、信繁は秀吉についていません。片桐さんは疲労がたたって眠りこんでいます。

そんな中、秀吉は孤独に息を引き取ります。おそらく秀頼が何気なしに転がしておいた、呼び出しのベルを手に取ろうと、ベッドから這い出して…

一代の英雄、豊臣秀吉。享年62歳。合掌。。。

まさすけまさすけまさすけ

秀吉のこと、みっちゃんの裸祭り2回目、全部ぶっ飛びましたです。はい。

ずーっと静的で、カメラが人物に近い回が続いてきて、それがふっと引いた。かと思ったら、本多忠勝と出浦昌相のドリームマッチをぶっこんで来た。ンモー!

あと、昌幸がドラマ中で初めて取り乱したことに引っ張られました💦
(大丈夫か昌幸)

寺島さんのインタビューによると、あまりにも出浦が昌幸に惚れ込んでしまったために信幸に(主君を)乗り換えるのが難しいということで、差し込まれたエピのようですね。

ここまでの感情的な積み重ねはちゃんとありましたから、それが回収されたということで、すごく満足感があります(と、今だから言える。放送終了後は私も昌幸に負けないくらい取り乱していたよ…)。

しかしこの事件で、刺客に気づき、足止めした信幸は、徳川陣営からますます信用されるし、武将としての評判も上がっちゃうということでしょうか。そこも美味しい。

信幸がこれまでの苦労を全て回収し始めた感がすごいですね。

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真田一族と家臣団のすべて (新人物文庫)

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