真田丸 第三十回「黄昏」レビュー〈2〉介護大河。情報リーク。祝福が滅びへと導いていく…

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30回後半です。

秀吉がだんだん認知症的症状を見せるようになります。淡々と介護する信繁ですが、暗い見通しの中何もできず、苦悩が深まっていきます。

しかし、苦しむ信繁の前の霧が、これまで出会った人たちの言葉によって次第に晴れてきます。でも晴れた先は…

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落日

●老いの進む秀吉は、とうとう徘徊まで始めます。

「利休が話があるというてな、だが茶室の場所がわからん。城が広すぎるというのも考えもののだな」

庭石の上で小さくなりながら、すでに死んでしまった利休の名前を出す秀吉。辛い。もう見てて辛い。逃げ出したい。

●信繁は秀吉をおぶって大阪城の天守を登ります。

大坂城の天守は現在の復興天守で50m以上あったと思うんですけど、最初の豊臣天守でどれくらいだったんでしょうか。

現在のオフィスビルですと、天井高は普通2.8mくらいなので、50mの天守は18階建てのビルに相当します。

全部とは言わないけれど、ある程度の高さまで秀吉をおぶって登った(そして降りた)信繁は、秀次事件の時の驚きの東奔西走と同じく、驚きの身体能力で、さすがあの兄上の弟だなあと思いましたです。はい。

YAZAWAもあれですし、父上も頭脳労働者に見えてものっすごく強い系なんだろうなあ。

●で、秀吉はそこで信繁に自分が目指していたものが何だったのかを語ります。

「誰も見たことのない城を作り、その周りに活気あふれる街を作りたかった。思いは半分しか叶わなかった。天子様をお迎えしたかった。平清盛が成し遂げたことをわしはできなかった」

「拾さまが成してくださいますよ」

信繁優しいです><

上杉家の会津移封

●翌慶長3年。秀吉は上杉景勝を呼び、会津への加増移封を申し渡します。

前年の文禄4年に会津を領有していた蒲生氏郷が40歳で病死し、養子となった娘婿の動きが不穏だったことから蒲生家は減封されており、上杉景勝はその代りということになります。

120万石という莫大な領地加増ではありますが、代々越後に根を張ってきた上杉氏にとっては全くありがたくないお知らせです。

●その理由を石田治部は「伊達の監視ができるのは上杉どのだけ」と頼むのですが、蒲生氏郷の死後、会津を預かるべき武将がいないという豊臣の人材不足が辛すぎ。上杉って外様ですよね?

●それがよくわかっている秀吉は、座を降り、自らの足でヨロヨロしながら歩み寄り、「本当は徳川を監視してほしい。もし徳川が拾を攻めるようなことがあったら助けてやってほしい。この通りじゃ」伏して頼みます。

イラッ→唖然とする景勝公ですが、ここまで頼まれて断ることなどできるはずもなく(ていうか、最初からnoという選択肢はないが)、上杉家は会津にお引越しです。

直江さんの仕事がまたしても激増です。

醍醐の花見

●そして秀吉生前の最後の舞台となる醍醐の花見が開かれます。

醍醐の花見といえば、秀吉の晩年最大の催事、淀殿と京極竜子(やはり美女と伝わる秀吉お気に入りの側室)が、秀吉の杯を争ったと華やかに伝えられますが、今回はこのエピは不採用。

代わりに、ここで茶々の死神エピが追加されます。

●大名の奥方・侍女ら女人ばかり1200人余りが招待された華やかな花見の宴で、美しい女性たちに囲まれて上機嫌の秀吉(元気な秀吉を見て喜ぶ三成)。

そんな席でも、秀吉は阿茶を見つければ、拾のことを頼むと頭をさげます。

阿茶は「徳川内府より、よくよく、拾様のことはお任せあれ、太閤殿下は一切ご心配あそばされず、心安らかにお過ごしいただきたいとお伝えするよう申しつかっております」と立派に対応します。

阿茶様超有能。まちがいなく、その場で思いついたことをパッと言っただけだと思うんですけど、全然ボロが出ない。

●秀吉はますます機嫌が良くなります。そこに茶々が「若君が花咲か爺さんを見たいと仰せですよ」とニコニコやってきます。

え、ちょ、お前。花咲か爺さんてお前。

●寧、三成、信繁が慌てて止めますが、秀吉は聞く耳を持たず、桜の木にハシゴを立てかけさせて登り、「枯れ木に花を咲かせましょう〜!」とやっちゃいます。

茶々と秀吉だけ大喜びする中、当然のことですが、枝から足を踏み外す秀吉。受身が取れるはずもなく、腰を打った秀吉はそのまま寝付くことになります。

●茶々に悪気の自覚はないのかもしれないのですが、抑圧している怒りが大きすぎるために、普段から判断力がちょっとおかしいし、こういう時に変な後押しをしてしまうのだと思いますけど、ほんと死神っぷりが恐ろしかった。

哀れでもあるんですけどね。

リーク

●醍醐の花見以来本格的に弱ってしまった秀吉は、見るからに望みがなさそうです。

三成もそろそろ覚悟を決めておいた方が良いかもしれぬな、と秀吉死後に向けて助走に入ります。

●その頃、真田邸ではおこうさんに続き、稲姫も出産を終えています。

おこうさんが忠勝からの書状を両手できちんと差し出す仕草で、二人の妊婦さんたちの関係改善が伺えます。

そして稲姫は信幸に、父・忠勝から、というか本多正信から真田の内情を調べて知らせるよう指示を受けていることを打ち明けます。子供が生まれて、真田の嫁として生きて行く覚悟ができた、ということでしょう。

●それを受けて(だと思うんですけど)、信幸は再度信繁に話をします。

太閤殿下が亡くなれば必ず世は揺れる、絶対に揺れる。だとしたら徳川に乗ってみるのも手だ。徳川殿は殿下の本当の容態を知りたがっている。

信繁は、殿下が亡くなった後も豊臣の世は変わらず続く、続いて欲しいと思っているのですが、兄にそこを打ち崩されます。

●大谷吉継は、そんな信繁を「兄とか、わしとか、治部とかは関係ない。己の意思で決めて進め。お主が正しいと思う道を行け」と励まします。

これまで「わしのようにはなるな」と呪いばかりかけられてきた信繁に、ここで初めて祝福が与えられます。ものすごく厳しい局面ですし、短くてさりげないのですが、信繁はここでようやく自分の意思というものを考えます。

初めて、信繁の現実と思考が一致する。

多分、ここしばらくの信繁は、石田治部の「あってはならない」「あるべきだ」という強烈な思考に影響され、がんじがらめにされていたと思います。みっちゃん的にはただただ必死だったんだと思うけれど、信繁も他人の思考に支配されて辛かったと思います…

●信繁は兄に秀吉は回復の見込みがなく、そう長くは持たないと思われることを話します。

その席には、というか、その時縁側で昌幸が一人で碁を打ってるんですけれど、信繁が報告する相手は父ではなくて兄、という事実に真田家の世代交代が又しても伺われて…。

●信幸はその情報を舅の本多忠勝にリークします。

吉野太夫

●ところで、兄弟の父・昌幸はこの豊臣政権の最重要機密を、吉野太夫にあっさり漏らしてしまいます。

太夫は、以前から秀吉の容態について昌幸に探りを入れていましたが、昌幸はそれを昔の馴染み客だから、くらいに軽く考えていたのかな。

●部屋を出ようとする太夫を、ふすまの外で出浦様が待ち構えており、サクッと一撃で殺してしまいます。なんと昌幸に色仕掛けをかけていた吉野太夫は偽物で、昌幸に送り込まれた忍びだったのでした。

●そう言われてみれば、衣装や髪飾りも本物に比べればランクが落ちるものばかり、目つき・顔つきも違い、お琴もド下手で色仕掛けばっかりで、まんまと騙されましたね!

まあ視聴者が騙されるのはいい。視聴者はね。昌幸、お前はちょっと反省しろ。

●真田は出浦様の仕事が確かで助かりましたね!

●本多正信がぐぬぬぬとなっているのが、久しぶりに真田丸ダークサイドという感じでカッコよかったです。秀吉が耄碌し、昌幸がオールドタイプとなった今、こっちのサイドを受け持てるのは本多サドに。

誰ぞ彼

●秀吉は石田三成、片桐且元を枕元に呼び、形見分けとして金子を与えます。且元には金子15枚。三成には金子50枚+脇差。

しかし、直接自分を世話している信繁のことは記憶からこぼれています。信繁は形見をもらうことができませんでした。

秀吉を寝かしつけた後、信繁は(多分)少し泣き、それからウトウトします。

●いつの間にか日が陰り、寝室に西日が淡く差し込む頃、信繁は秀吉に起こされます。

足腰が立たないはずの秀吉は、信繁のところまで歩いてやってきて、「付き合え。これから面白いところに連れて行ってやる」「遅いの〜、市松は。佐吉に見つかってしまうではないか」と、最初の出会いをリピートします。

●信繁が、10年も前の出会いのセリフをなぞると、秀吉も全く同じセリフを返した後、あの時には言わなかった心の中を信繁に語ります。「わしは利発な若者が大好きでの。お前のことも一目見て気に入ったんじゃ」

●その言葉が信繁への形見になりました。

信繁は「利発」というあるがままの部分を秀吉に愛された。忘れられましたが、もう一度気に入ってもらえた。

天下を取った偉大な人物と出会い、息子のように愛された。

それが信繁にとってどれだけ掛け替えのない思い出になったか、言葉になりません(泣)。

●大坂に来たばかりの頃のことを、信繁は幸せに思い出し、秀吉を寝かしつけながら、「明日城の中を案内してもらえると嬉しいです。茶々様とカルタもしみていたですし、寧様は芋を茹でていらっしゃると聞きました」と、優しく語りかけるのでした(号泣)。

無理。

最後のシーンは、信繁のその時の感情の変化…秀吉に忘れられたこと、兄に病状をリークしたことの罰のように思ったろうなとか、でも秀吉が思い出そうとしたこと、もう一度出会い、気に入ってもらったこ…を考えると、今でも泣けてしまう。

レビュー書きながらも泣いてました。

信繁は苦しみますが、徳川に情報をリークすることで豊臣との連合政権とさせる見通しを選択し、同時に豊臣を決して見捨てないという誓いを自分に立てたように思います。

そこに行き着くまでは刑部、秀吉からの祝福が必要だったけれど、この二人は信繁が必要としている時に、ちゃんとそれを与えた。

そこも泣いてしまう。

ここまで視聴者を泣かせておいて、まだあと一回秀吉回が残っているという構成が恐ろしいです。真田丸は鬼。

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