真田丸 第二十八回「受難」レビュー〈2〉信幸と秀次がもう少し早く出会っていたら。自死、そして秀吉の怒り。呂宋助左衛門。

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さて後半です。すっかり周回遅れですが、辛くて逃げていたわけではないです。いや辛いけど💦 我々の心の中の阿鼻叫喚は置いてけぼりに、ストーリーが淡々と進むんで行くのが、めちゃくちゃ辛いんですよね。

わたしもいろんな理由で精神を病んだことがあるので、壊れてしまった秀次さんにはいたたまれませんでした。

まあその辛さがいいというか、自分ごとだと気楽に堪能できない悲しみとか苦しみの感情を動かすのが、ドラマ視聴の醍醐味です。

実際は泣きながら見ていましたけど(思い出すんですよね💦 )

というわけで深く突っ込むのは辛いものがありますが、レビューしてみましょう。「受難」後半です。

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高野山

●京都の真田屋敷から高野山に向かってしまった秀次公。しかし、ここで信幸兄上がしっかりお供してくれていました。よ、よかった…

兄上、何か察するところがあったんでしょうね。

●高野山に着いた秀次公は、信幸に腹を割って自分のことを話します。

「ずっと叔父上に振り回されて生きてきた。順調な人生に見えるかもしれないが、もし生まれ変われるなら、もう二度と叔父上の甥にはなりたくない」。

これはあれだ、秀吉に可愛がられている信繁には言えない秀次の本音ですね。

つまりもう100%秀吉拒否。それが彼の本心なんです。

●それを聞いた兄上は、殿下と比べられるスケールじゃないけど、自分も似たような境遇なのでお辛さがわかります、と自分の家族の話をします。

偉大な父、自分の声だけ聞こえない祖母、病弱だかなんだかわからない最初の妻、自分に心を開こうとしない二度目の妻、そしてあまりに恐ろしい舅。

兄上ww そこで笑かさないでww

●秀次は信幸と話しているうちにだんだん気が晴れてきます。

以前、おばば様奪還に失敗した信繁が兄上と話しているだけでなんだか落ち着いちゃった、というエピがありましたが、秀次も京・大阪から離れ、誠実な信幸と話しているうちに落ち着いてくるんですね。

秀次は信幸に、官位を返上しないでほしい、あれは自分が関白として行った数少ない仕事だから、と頼みます。

秀次のこの「お前の官位授受は誠実に行われたものだ」という言葉が、信幸への祝福になります。ああ、もっと早く兄上と出会ったらいたら感がMAXで辛い。

でも秀次の言葉はすでに「関白として行った」と、過去形なんですよね…

仮性・謀反の疑い

●大阪では秀吉が石田治部から秀次が高野山に向かったとの報告を受けます。

秀吉は内々に済ませようと思ったのに、困ったやつだと苦虫を噛み潰したような顔をしますが、それでもやはりことが大きくならないよう取り計らいます。

秀次は謀反の疑いでわしに蟄居を命じられたことにせよ、1か月ほど謹慎させたら連れ戻す、とパッと決めた秀吉・治部。

優秀すぎるので、こういうのがパパパパっと決まって手配されちゃうんですけど、秀次はこう言うところについていけないんだよね。

そして秀吉と三成が瞬間的に決めたこの「謀反の疑い」が、後の惨事への道筋ともなっていきます。

●一方、徳川家では「秀次、謀反の疑い」を「面白くなってきたのう」と井戸端会議中。

ここで本多正信の嫡男・弥八郎正純、そして徳川家嫡男・秀忠公(源さん!)がお披露目。

一癖も二癖もありそうな主従がきました。

●秀忠公がおそらくこれまで真田丸では描かれてこなかった「父親に反抗する息子」であろうということは、なんとなく察していましが、実際、秀忠くんはかーなーり、癖のある子のようで父親に対していい子に振舞おうとしません。

家康はそれでも「お互い後継者がいて幸いだのう」と正信に言います。が、目が泳いでいます。それを見る正信の目がなんか妙に座ってるんですけど、大丈夫かコレ。

自死

●さて、京都で秀次再出奔を知った信繁が、弾丸のように高野山へ飛んできます。ここでGooglemapを見てみましょう。

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あれ、春日山城址〜上田城址(97km)の方が、聚楽第〜高野山(110)より近いのか。意外ですね。110kmだと、成人男性の足なら急いで二日〜二日半くらいでしょうか。

ちなみに、聚楽第跡→大阪城公園の距離は47km、聚楽第→伏見は13km弱。

つまり、28回の信繁くんの移動を考察すると、聚楽第→伏見→大阪城→聚楽第→大阪城→聚楽第→高野山で、移動距離がすごいことになってるんですが、さすが山育ちは健脚だな! で済ませていいのか、これ。

まあでも真田家の体力優位の遺伝子は理解した。

あと、こうやって追っていくと、朝、午後、夜が回って、ちゃんと距離を計算して表現しているのがわかりますね。

●こうして連日移動しまくりの信繁は本当にお疲れで、えらい。

彼は太閤殿下が決して関白を排除しようとしているわけではないと確信を持っていますから、叔父甥がちゃんと話せばことは丸くおさまると思って、頑張っている。

しかし、そのため、高野山で再会した秀次が「豊臣には戻りたくない。居場所がない」と訴えても、「なりません」などと割と強めに出てしまいます。

この態度で、秀次は信繁には自分の苦しみが理解されないことをはっきり悟ってしまいます。

秀次の望みは、秀吉の顔色を伺ったり、感情的に翻弄される生活(人生)から逃げ出したいということなんですが、彼自身もはっきりそうは言ってこなかったし(言えるわけがないし)、信繁がわからないのもしょうがないんですけど、秀次は生きている限り、天下人である叔父からは逃げられないことを次第に悟っていくのですね。

●その夜、真田家の長男次男は官位授受にまつわる喧嘩の件をちゃんと仲直りします。

●翌朝、福島正則が秀吉の使いでやってきます。

正則はなんというか、なんとも気のいい親戚のお兄ちゃんという風情で、いかにも親に反抗して家出した親戚の子を迎えに行くときに指名されちゃいそうな感じ。

多分、秀吉、そして石田治部がいろいろ配慮して豊臣家の親戚筋で、年の近い正則を派遣したんでしょうけど、秀次は「叔父上は私を油断させて捉える腹か」と疑心暗鬼です。

信幸が穏やかにそれを咎めると、「いつの間にか人を信じられぬようになってしまった」と秀次は苦笑します。

そして、娘のたかちゃんから贈られた聖画像を眺めているうちに、ふとキリストの磔刑図で目を留めるのでした。

畜生塚

●秀次は部屋から信幸を出し、その間に自死してしまいます。

信繁が福島正則に応対し、ちょうど二人で秀次に会おうとしていたその時、信幸も不在だった短い時間の間に、おそらく喉を突いて。

「孫七郎は優しすぎるんよ。わしは関白、ようやっておったと思うな」という市松(正則)の声が届く前に。

●駆けつけた正則、信繁、信幸の前に、血みどろの床が、そして穏やかな秀次の死に顔が目に入り、3人はそれぞれに呆然とします。

親戚の正則は、呆然と尻をつきます。

この不幸をどこか予感していたような顔の信幸と裏腹に、信繁は秀次の死に心底呆然とするのでした。

●しかし、一番激しい感情を見せたのは、叔父の秀吉でした。

秀吉は秀次の死に怒り、彼を恩知らずと泣きながら罵ります。寧は秀吉の悲しみ・苦しみを理解し、なだめようとしますが、秀吉は秀次の妻子の処刑を命じます。

「わしに逆らったらどうなるか、秀次に思い知らせてやる」

「あの子はもう死にました!」

ああ、こういう悲しみが怒りに転化しちゃう人、いるよね…そして、今までもそうやって秀次に思い知らせ、無理やり納得させてきたのね…

●こうして秀吉の命令で、秀次の首が三条河原にさらされ、幼い子供も含めた秀次の妻子38人がその前で惨殺され、まとめて穴に放り込まれるという陰惨な出来事が起こりますが、指揮をしたのは石田三成なのでした。

対決

●「秀吉様は関白殿下の存在した痕跡をすべて消してしまうおつもりか」と、片桐且元さえ嘆く事態になりました。

平野長泰は馬廻の任を解かれてクビに(彼はこの後、徳川家康に仕えます)。なぜか信繁を逆恨みして去っていく平野様、かわいい。

静まりかえった聚楽第で、信繁は、一人隠し部屋に酷んでいた秀次の娘たかを見つけます。

●彼女の命を救うために、信繁は秀吉と真正面から対峙します。

秀次と、その妻子の死後、惚けてしまったようにあられもなく泣く秀吉に、信繁はたかを側室に迎えたいと申し出るんですね。

秀吉の心の中では愛情を否定された激しい怒りと、秀次とその一族を殺してしまった深い後悔が激しく渦巻いていることを知っている信繁は、秀吉を恐れることなく「そこをなんとかお願いします」と、まさに命をかけて押し通すのでした。

この時の信繁はまさに真田の男。

今まで策を弄するばかりであんまり効果的に事態を収容してこれなかった信繁ですが、ここぞというときにはっきり決める力を持ち始めています。

黄金の日日

●許しを得たとはいえ、老いのせいでむらっ気が激しくなっている秀吉を知っている信繁は、たかを秀吉の手の届かないところに逃がすことにします。

ここで、黄金の日々から松本幸四郎の呂宋助左衛門がゲスト出演

助左衛門は、フィリピン・ルソン島に転がっている小便壺を持ち帰って大名たちに高値で売りつけ、暴利を得るという堺の武装商人の一人。

その利益を元に、権力者から虐げられるものたちを守るのが自分の戦だという彼は、「すべての弱きものたちの守り神」。

信繁は、男前オーラが眩しすぎる助左衛門にたかを託します。

●たかが側室となる件は、二人と関わりのあるきりちゃんにも事前に知らされます。

「追い打ちをかけるようで悪いが、嫁を娶ることになった。しかも正室と側室と同時に」とぶっこまれるきりちゃんは最高でした。

●そして、家を支える柱である親族の成人男子を、次々失ってしまった豊臣秀吉に、次第に死の影が迫り始めます…

疲れた…

予想はしてたんですけど、レビューの筆が進まなくて進まなくて、大変でした。かなり端折ったんだけど、密度がすごくてですね、多分前後編合わせて8000字くらいでしょうか。

でも、今回ドラマできちっと描かれ、多くの人に感想やレビューを書かれて、秀次公の供養がなされたのはすごくよかった。従来の歴史観で一般的にポンコツ扱いされてきた人が、ちゃんと語られることで歴史が更新されていく。

私はこの歴史が更新されていく感じがすごく好きなんです。

いやでも視聴しててても重いし、書いてても重いし、疲れましたけどね。

では29回分も頑張ります〜!

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コメント

  1. 風太郎 より:

    初めてコメント致します。いつもレヴューは楽しみにしております。
    本当に、秀次公の描き方が従来の大河ドラマの定番をものの見事に破壊してくれましたね。
    てっきり『人斬り関白』をやるのかと思っていたので、いい意味で裏切られました……。
    私もこの回は号泣しながら視聴していました。
    兄上を部屋から出したあとの、あの絶望へ落ちながらも救いを見つけた秀次公の表情にゾッとしましたね……!
    これからも読み応えのあるレヴューを心待ちにしております。
    それでは!

    • アンチョビ より:

      >風太郎さま

      新しい秀次公はすごく良かった。
      三成も秀次も、決して暗愚な人としては描かれず、描写や配役に愛を感じるのが嬉しい。
      新納さんの細やかな演技も。
      私も、あの最後のシーンは感動しつつも、あー・・・・となってしまいました。
      後、「なりません」と信繁にはねのけられた後にちょっと考えてニコッと笑うところ
      コメントありがとうございます! これからも頑張ります✨

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