真田丸 第二十八回「受難」レビュー〈1〉奔走する信繁。運命は止められないのか…

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ついにこの日が来てしまった。

丁寧に描写され、造形されてきた、きれいな秀次の退場回です。

秀次本人にとっては終わりがどんどん近づいてきているのですが、視聴者から見ると最後の最後まで十分な希望があるように見える展開で、切なかった。

とりあえず前半のレビューをしてみましょう。周回遅れですし、サクサクと。

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大坂城で

●前回のラストで聚楽第を出奔した秀次は、きりの元(大坂城)に現れます。

「もう何もかも嫌になって気がついたらここに来ていた」という秀次をきりちゃんは匿い、「何やってるんですか!」ズケズケ怒ります。

あんまりズケズケと好き放題いうので、気の優しい秀次がとうとう「うるさい」「うっとおしい」なんて反論するように。

相手に思い切り言い返した経験がないのでしょうね。たどたどしい言い方で、秀吉がさらっと言う「うるさい」に、秀次がどれだけ傷ついてきたかわかってしまう。

●しかし、「ハイハイ、どうせ私はどこに行ってもうっとしがられる女ですよ。関白だろうと誰だろうと、言いたいことは言います。そういう性分なんです。殿下が心配だから申し上げているんです」とめげない、逞しいきりちゃん。

このシーンの演技が、松を連れ帰れず、死なせたと落ち込む信繁にズケズケとものを言い放った時とそっくり同じでした。心配して怒る、秀吉と同じなのに、なぜかきりの言葉は秀次の心に響くんだなあ。

●秀次はたまらなくなってきりを抱きしめます。

●聚楽第では、関白の側仕えたちが蒼白になっています。弟の金吾中納言もショックで崩れ落ちます。あれ、先週の「殿下はもうここにおられない」冷たく信繁たちに言い放った金吾はなんだったの?

●信繁は伏見に向かい、大谷刑部に事態の報告と相談をすることに。

官位を返上したい

●伏見城では、真田が普請に加わっています。

この時代の建設工事が実際の所どういう風に行われたのか、ドラマじゃなくていいので、ヒストリアあたりでいつか詳しくやってほしいところ。

●で、その伏見城では信幸が父親に「官位を返上したい」「源次郎の余計な情が嫌」とか、珍しく少し子供っぽいわがままを訴えています。

それを聞いた昌幸は、息子の出世を嬉しく思っている、父親のためにそんなことをしないでほしいと説得します。

「お前たちが官位を返上したら心から悲しむ者がおる。誰だかわかるか、儂じゃ(ドヤァ

これは通常の大河だったら父の愛に感動してむせび泣くシーンのはずが、真田丸だとすっかりギャグにw 草刈昌幸はこんなところでも笑いをぶっこんでくるな。

●父親を悲しませるなと直球を投げ込まれて、ハッとする信幸でしたが、隙を見せたもんだから「わかったら伏見城の普請はお前がやれ」と昌幸に仕事を押し付けられる羽目に。

「表向きはわしがやったことにしといて。じゃ頼んだぞ」と肩ポンする昌幸が、出浦さまと連れ立って向かった先は吉野太夫の元なのでした。

●父親が去った後、信繁が伏見城にやってきます。大谷刑部を訪ねてきたのですが、「加減が優れぬ」と帰宅した後でした。あああ心配です💦

大谷刑部の体調不良

●信繁は大谷刑部邸に向かいます。娘の春が対応して色々教えてくれますが、彼女の説明を聞くまでもなく、出てきた刑部は本当に具合が悪そう。

しかしそれでも横に臥せっている場合ではないからと聚楽第に出向き、秀次の不在がバレないようあれこれ取り仕切ってくれることになります。

この人の頼もしさときたら。

(そういえば「真田丸」では刑部の病気はハンセン病ではないものにするそうですが、朝鮮から戻って以来体調が悪いとのことなので、何らかの感染症にはなるのかな)

●信繁は、出奔した秀次が向かう先として、あたりをつけていた大坂城に向かいます。予想通り、秀次はきりにかくまわれていました。

京・真田邸へ

●発見→確保したはいいものの、秀次は「聚楽第には戻らない。豊臣に私の居場所はもうない」と頑なに帰城を拒みます。

そこに庭で遊ぶ茶々たち母子のキャッキャウフフの声が聞こえてくるんですが、それが、

茶々「殿下〜♥♡♥」
大蔵卿局「関白殿下〜♥」

※二人にとっての関白=拾

というキッツイもので(戯れなんですけど)、これを聞いた秀次は一気に精神を削られてしまいます。

大坂城にこれ以上隠れているといろんな意味でよくない。そう判断した信繁はなんと京の真田屋敷に秀次を連れ帰ることにします。

●真田家の家族に紹介された秀次は、豊臣から離されたせいかリラックスし、目に見えて機嫌が良くなります。

この時の秀次との会話の中で、薫マンマの出自詐称疑惑が発覚して、微妙な空気が流れるの、最高でしたね! 昌幸の正室:山手殿の出自は今もって謎であることを逆手に取ったメタネタですね。

●その席には稲も(侍女としておこうも)出ていまして、稲は薫の出自が公家というのは嘘という報告の書状を父・忠勝に書きます。そうじゃなくて、そこは京の真田屋敷に関白秀次がお忍びで滞在してますって書くところぉぉぉ!

※「関白」という文字が手紙にあったそうなので、秀次のことも知らせてたようです。稲ちゃんごめん。

しかも、稲の魂胆を見破ったおこうさんに手紙は破られてしまいます。

「徳川に真田の内情を報告するのが私の役目」という稲に、おこうは「あなた様を押しとどめ、真田のお家を守るのが私の役目」と真っ向から対立してみせます。

これが、あの病弱だったおこうさんか、と驚くほどの凛々しさ。おこうさんは、祖母おとり様から、真田家を守る役目を引き継いだんですね。

呼び出し

●刑部の手配で、秀次は流行病ということになり、諸々のスケジュールも延期されます。

本人も確保し、表向きのつじつま合わせもなんとかなり、さて次は、秀次の出奔をいつ秀吉に報告するかということが問題に。

弟の小早川秀俊(秀秋)は、いつまでも報告しないと私たちまでお咎めを受けるのでは、と心配します。それを信繁はもう1日だけ待って欲しいと説得するのですが、ちょうどその時、秀吉から信繁に呼び出しがかかります。

●聚楽第を退出しようとした信繁を、秀次の娘たかが呼び止めます。

まだ若いはずなのに、不思議な老成感のあるたかちゃん。彼女は父の出奔など、全てを察してまいました。「息災ならば良いのです」と、信繁を問い詰めたりはせず、父に渡して欲しいと小さな包みを託します。

●信繁は真田邸に戻り、秀次に呼び出しのことを報告。怯える秀次に「何としても穏便にことをすませるよう取り計います」と請け合い、そして、たかちゃんから預かった包みを渡します。

たかちゃんが父に送ったのはキリスト教の神父からもらったという、美しい聖画像の写しでした。

マリア像を見た秀次は、きりのことを思い出したんでしょうね、「側室の件はなかったことにすると伝えてほしい」と信繁に頼みます。この時から秀次の死の気配が濃厚に。

説教

●大阪に出向いた信繁ですが、顔がこわばってます。まあ最近滅多に表情が緩まず、ポーカーフェイスを維持してますけど、それでも明らかにこの場面では戦々恐々。

しかし、秀吉の用事は「お前に嫁を取らす」でした。相手は刑部の娘の春。

「お前をずっとそばに置きたい、わしが頼みにする大谷刑部の娘をもらってくれたらこんなに嬉しいことはない」

●ニコニコと機嫌の良い秀吉にホッとしたのもつかの間、三成が信繁に関白殿下のことを早く報告した方がいいと忠告します。自分の耳にまで入ったら、太閤殿下の耳に入るのもすぐだ、報告が遅くなればなるほど、お怒りも大きくなる、と。

信繁はなんとか1日程度の先延ばしを画策していましたが、三成の言葉に考えを改めます。

●ここのみっちゃんは言い方が妙に冷たくて嫌味っぽくて、改めてヤマコーさんすごいな、と思いました。言ってることはものすごく優しいのに、“人を苛立たせる何かを持っている”。

●で、信繁は秀吉に秀次の件を報告します。秀吉は怒りはするんですけど、「今すぐここに連れて来い、説教してやる!」くらいの怒り方。

秀次の「首を刎ねられる」という心配からは程遠い。

さらに茶々が割って入り、「あんまり追い詰めてはおかわいそうですよ」と秀次を庇い、寧もまた「孫七郎をそろそろ楽にしてやってほしいわ。器以上の仕事をやらされて苦しんでいるあの子を見るのは辛うございます」と、誰も全然秀次に厳しくないわけです。

●こう言う状態で何故秀次が壊れてしまったのか、不思議に思う人もいるかもしれません。

しかし、秀次は結構長いこと大きな感情の波にさらされていたんですよね。

劇中で5年以上前になりますが、茶々の最初の赤子である鶴松が生まれた時、秀次は、これで秀吉の跡目という重責から解放されると一度ホッとしてしまった。

その後鶴松が死に、今度は自分こそが叔父を支えなければと改めて決意し、そして自分こそが豊臣の血を繋いでいくものだと大きな自負を持ってしまった。

その直後、茶々の二度目の解任が発覚した時から、秀次は大きく壊れていきますが、私には罪悪感からの恐れに見えました。

秀次は心のどこかで鶴松の死を喜んだというか、幸運だったと思ったことがあったのかもしれません。

第三者からみれば、秀次の立場であれば仕方のないことと思うんですが、ただでさえ繊細な性格の上に、叔父の顔色を見て育ってきた秀次にとって、それはとてつもなく恐ろしいことだったのでしょう。

●秀吉は、もう豊臣家の成人男性は秀次しかいないために、関白から外すことはできないと言いますが、信繁に心の内を伝えてやってほしいと言われて承諾します。

これで全て穏便にすむかと思われたのですが、なんとびっくり。秀次は真田邸から逃げ出し、高野山に向かってしまったのでした。

ちょ、どーなんの!わかってるけど!!

と云うあたりで〈2〉につづく

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関白秀次の切腹

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コメント

  1. あかる より:

    いつもレビュー&ツイッターまとめ、楽しく拝見しております!

    ところで、稲の手紙ですが。
    手紙を書くシーン、「菊亭春季」の前に、一瞬「関白」と書いている様が映っていますので、稲は重要性の順序も踏まえて手紙に記していたと思われます。

    初めてのコメントがこんなものですみません…。
    毎週楽しみにしておりますので、お忙しい中かと思いますが、これからもよろしくお願い致します!

    • アンチョビ より:

      >あかるさま

      気がつきませんでした。ご指摘ありがとうございます。
      信幸の妻二人は、それなりに高い次元で戦っていたのですね。よかったw

  2. 三途川 より:

    はじめまして
    私も一瞬金吾の台詞に?と思いました
    でもよく考えると秀保の死の際の台詞は「もうここには戻ってこない」ではなく「多分ここにはおられない」という単なる現状報告にすぎなかったのではないかと
    虚ろな様子だったのは関白不在ではなく秀保の扱われ方に対する自失にすぎなかったのではないかと
    それなら「受難」回のリアクションもわかるんですよね

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