真田丸 第二十七回「不信」レビュー〈1〉豊臣秀吉関連エピの中で最鬱、秀次事件。叔父と甥。それぞれの愛情と敬意。

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さて、豊臣秀吉関連エピの中で、最も鬱展開と言っていい秀次事件です。

これまでの大河では、あまり描写されてこなかった秀吉の甥たち、特に最も有力な後継者だった豊臣秀次を、真田丸では「愚鈍ではないが政権継承者としては力不足。しかし教養を備え、心優しい」魅力的な人物として描写してきました。

視聴者的には結末を知っているだけにいちいち阿鼻叫喚でしたけど。

27-28回はこの秀次事件をがっつり取り上げます。まず、拾誕生後、どんどん微妙になってきた秀吉と秀次の関係の危うさが描かれます。

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秀次の不安

●信繁は改めて関白付きとなることを、秀吉に申し渡されます。

「拾が生まれて、世間は自分が秀次を疎んじ始めたと思っている。正直、そんな気持ちがないわけはないが、孫七郎は可愛い甥っ子、なんとかしてやりてぇと思うんじゃわ」(名古屋弁表記難しいです)。

秀次は秀吉にとって数少ない親族、甥っ子として可愛い存在であることに変わりはない、というのは三谷秀吉の本音である、ということがまず始めに語られます。

●しかし、秀次の方は不安でいっぱい。

自分が叔父の機嫌を損ねていないか、疎まれていないか、確証が欲しくてあれこれ信繁に尋ねます。信繁は「そんなに心配なら、直接お話になった方が良いでしょう」と勧め、二人は大阪城にやってきます。

この時点での信繁は、つい最近まで秀吉のそばにいて、秀次への正直な気持ちを聞いていたこともあって、二人の関係をそんなには心配していません。話せばわかるだろうと思っています。

もどかしい心

●大阪城では寧がニコニコと秀次を出迎えます。秀次も「宇治十帖が手に入りましたから、そのうちお届けしますよ」と、気さくに応じます。この二人は馬が合うのですね。

●秀吉は寧、茶々、拾に囲まれてとてもしあわせそう。特にピントは合いませんが、寧と茶々の仲も睦まじい様子。これはやっぱり、鶴松が死んだ後のあれで、茶々は、寧に対しては心の壁を取っ払ったということでしょうか。

そんな秀吉の幸せな家族の会話の中に、秀次は入っていけないません。

隙を見つけて「自分の関白位は拾が成長するまでの中継ぎってことを、心得てますから安心してくださいね」となんとか秀吉に訴える秀次。切ない。

●秀吉はそれを聞いてスッと顔色を変え、縁側に秀次を連れ出します。

●そして、日本の行政区を5分割する計画を話し、そのうちの一つ、九州を拾にくれてやってほしいと頼みます。

関白になれば全部が拾のものですよ、という秀次に、そんな先の話をしているのではないと秀吉は言います。「拾がわしの言葉がわかるようになった時に言ってやりたいんじゃ」。

つまり、秀吉は自分はせいぜいそのくらいの歳までしか生きられないだろう、あとは秀次に託す、拾をよろしく頼むと言っているのですね。

●第三者である視聴者が客観的に見ている限りでは、秀吉は秀次を後継者として認めているのがよくわかるのですが、秀次には伝わりません。

秀次が聞きたいのはそんな言葉じゃないから。

見えている者には

●久しぶりに大阪城に来た信繁はきりちゃんに捕まります。

秀次に側室にならないかと申し込まれている、源次郎様のお気持ちを確かめてから返事をする、というきりに、

信繁「おめでとう」きり「真面目に」信繁「だから、おめでとう」

すれ違うww きりと信繁ww

●夜、信繁が真田屋敷に戻ると、叔父の信尹が上洛していました。

信尹は徳川家康の元を辞し、これからは諸国を回って見聞を広めると言います。有能はアーリーリタイアですね、わかります。

(史実では、信尹叔父上は会津を領有する豊臣の有力大名・蒲生氏郷に仕官します)

戦乱が遠くなり、自分のできることは無くなったという信尹は間違いなく戦国ネイティブですが、叔父上を見つめる信繁の目は、相変わらず憧れでキラキラ。私の目もキラキラ。

信尹叔父上が、次に信繁の人生に関わってくるのは作中時間22年後、大坂夏の陣の時って有働アナにお休み宣言されちゃいましたけど、信尹叔父上なら、治部・刑部あたりの豊臣の最高幹部と並べても遜色ないし、もういっそ豊臣家で召し抱えて…

●昌幸は「また近いうちに世は乱れるぞ」と不敵に笑い、信尹も「いつでも呼んでくだされ」応じます。

信繁は「父上の思うようにはいかないかと」とやんわり昌幸の読みを否定しますが、昌幸はただニヤニヤするばかり…

秀吉との距離

●秀次の秀吉への不信は日に日に募り、秀保・秀秋兄弟や信繁が何をいくら言っても届かなくなってきます。

これまでの大河では、豊臣の後継者として秀次が慢心し、それに対して秀吉が不信を抱くという展開が多かったんですが、真田丸ではそれが逆転。

秀次が、秀吉の信頼と愛情を信じられずに自滅の縁に手をかけています。

●きりが、寧の使いで秀次の収集した源氏物語・宇治十帖を受け取りに行くと、応対した娘のたかは「父は弱いお人なのです。悪い人ではないのですが、波がありますから」と、きりの側室入りにやんわり反対します。

●秀次は「弱いお人」というたかの言葉通り、熱海に湯治に出てしまっています。多分心労で。しかも2か月も。

●秀吉も、秀次と心が通っていないことは自覚しています。

そこで秀次の娘を拾に縁付かせ、自分が決して秀次を疎んじていないことを知らせようとするのですが、湯治先の熱海で書状を読んだ秀次は「なんでこんな大事なことを勝手に決めるのか」と今度は怒りだします。

秀次は、すでに秀吉に関わる何もかもが嫌になりつつあります。

周囲は、秀吉と秀次の距離を縮めさせようとするけれど、それは間違いで、多分秀次に必要なのは叔父との適切な距離と、改めて叔父を受け入れるための時間でした。

●でもまあそんなことは当の秀次にもわかりません。

なんとか叔父との距離を縮めたいと、秀秋の勧めに従って、宇喜多秀家にお能を習うことにします。

共通の話題を見つけよう!作戦ですね。

豊臣家の松岡修造

●で、この宇喜多秀家がですね、松岡修造的な優れた脳筋であり、無駄に悩まないという意味で賢人であるわけです。

●能の稽古も、脳筋スポーツ臭漂う熱さと厳しさ。音楽も戦闘シーンの音楽だよねコレw

●秀家ヘッドコーチは、豊臣家の中で自分の居場所について悩む秀次、そして兄の苦悩に巻き込まれて自分を見失っている秀保・秀秋兄弟に、ビシっと、

「血は繋がっていないが、それがしも殿下を父と仰ぐ者。殿下が死ねというなら死ぬ。殿下のために生き、殿下のために死に、殿下のために舞うのみ!」

と、武家の子らしいというか、武家の子の中でもこんな竹を割ったみたいな子は少ないと思うけれども、自分の鬼メンタルを語ります。

ちなみに秀家くんは、謀殺と裏切りのスペシャリスト・宇喜多直家の子。ベクトルは違っちゃったけど確実に父のメンタルを受け継いでいますね。

●秀家コーチの説得に気を取り直し、改めて叔父のために能を舞うことを決めた秀次。

しかし、金吾中納言(秀秋)が小早川に養子に出されることを、甥たちの厄介払いが始まったのだ、と感じた秀次の心は、すでに修復できない域に差し掛かりつつあります。

吉野の花見の宴で

●秀家ヘッドコーチの元で稽古を積んだ甥っ子チームは、花見の宴で成果を披露することに。しかし、秀保が控え室で昏倒してしまいます。この兄弟はみんな体が弱いんだなあ。

●しょうがないので、代役は信繁に。信繁の下手くそな謡に、寧は思わず笑ってしまいますが、茶々はまず秀吉の顔色を伺います。この辺、細かいですね。

秀吉はだんだん機嫌を悪くし、明らかに怒り始めます。

●甥たちが舞台から下がって、面前に並んだ時、秀吉の怒りは爆発。

「お前たちは揃いも揃って何をやっているんだ、こんなものを見せられるために、お前を関白にしたのではないわ」

ハイトーンの早口でまくしたてる秀吉は、武士としての貫禄は何もありませんが、まさに爆発としか言いようのない怒りようで、トラウマになるくらい怖かったです…

●秀吉に気に入られようと必死だった秀次は、むしろ秀吉を怒らせてしまったことに、塩でも打たれたかのようなへこみます。

寧が心配して話をしにやってきてくれます。

秀次はお国ことばで寧にすがり、「何をしやぁええんですか、叔母上、放り出さんでちょー」とか、うわああかわいいいいいい。

●寧は「あの人は孫七郎に、堂々としてくれておったらそれでええの。取り繕うことなんて何もいらん。ありのままの自分を見せりゃあええの」

まさかのレリゴー案件でしたが、名古屋弁が可愛かったので。

取り繕うことなんてしなくていいというセリフと、二人の名古屋弁が見事に呼応していましたね。これで秀次はちょっとだけ浮上します。

…というあたりで〈2〉へ続きます。

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