花燃ゆ 第二十回「松蔭、復活!」感想

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今回は宮村優子脚本で、内容はともかく、見た目はそれなりに歴史ドラマになっていたので、一息つけましたね…。けなしてばっかりで申し訳ないのだが、大島脚本は、ドラマのテンポ、シーンの運びが歴史ドラマじゃないんですよね。ホームドラマとしてはなかなかきめ細かいところもあるんですけど。

というわけで、今回は休憩回で少しのんびり見ていきましょう。

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激動の幕末へダイブ

●突然ですが、殿様同席の藩議で、長井雅楽の「公武合体」を退け、久坂の唱える「破約攘夷」を藩是とすることが決定しました。

ここではこれまで穏健にタイミングを見計らってきた周布さまが男になります。失脚も辞さず、打って出た周布さま、かっこよかったね。久坂の謹慎も解かれます。

しかし、いつの間に長州の藩是が公武合体になっていたのか、公武合体論を選んだことでどのような利益と不利益があり、それが半の内部にどのような軋轢があったのかはほとんど描写されてこなかったので、政治パートは要するにつまみ食いです。

●高杉晋作が上海から帰国。文・敏三郎姉弟は雅に招かれて高杉邸へ。

晋作から文ちゃんへのお土産はスワトウのハンカチでした。西洋の刺繍を取り入れた中国人女性が、その技術とセンスで逆に西洋を屈服させたと後のシーンで伊之助によって語られるように、女性のしなやかさ・強さで、(夷狄に)文化的に打ち勝つこともできるという暗喩のための一品。

これが制作サイドが目指すところのこのドラマの目標ですね、わかります。。

●で、この能天気な席で「高杉晋作、無許可で軍艦お買い上げ事件」が発覚。

ここでも事件を高杉パパが泡食って倒れる程度の表現ですませ、長州藩の内部葛藤などはスルーというつまみ食いぶりを発揮。

メインディッシュは絶対に出さないぞという固い決意を感じました。まああれだ、予算がないんだからしょうがない。

●高杉嫁の雅さんは杉家とすっかり懇意になり、内職のお手伝いまでしています。

そこに寿が眼をきりりとつり上げて駆け込んできます。

小田村夫妻の長男の徳太郎が実家の杉家に潜り込んで、兄の書いた本を読みあさっているのです。実家なんだし、そんなに眼をつり上げなくてもいいと思うんですが、やっぱり寿さんとしては、兄の影響を子供が受けるというのは嫌なんでしょうかねえ。

あ、ところで小田村夫妻は三田尻から帰ってきてたんですね。

●高杉は京都に向かい、藩主・毛利敬親公に上海視察の報告をします。

いわく、列強に分割された上海はひどい有様で、このままでは日本もあのようになってしまいます。破約攘夷などと悠長なことを言っている場合ではありません、と。

●報告のあとの酒の席で、「破約攘夷」という自分の意見に難癖をつけられたと思った久坂玄瑞が高杉に食って掛かります。

この人もなんでこんなチンケな男に描かれれなきゃいけないんでしょうね。かわいそう。

伊之助は何者になってしまったのか

●藩をどのように導いていくか、トップとして悩み多き藩主のお殿様は、伊之助を茶室に呼び、膝を近くしていろいろ相談します。

殿様は、先が見えない時代の指導者として、折に触れて松蔭がいたら、松蔭にいろいろ聞いてみたいと考えるようになっていました。

その気持ちを素直に語る殿様に、伊之助は感激し、攘夷は民のためです、このままだと日本は立ち行かなくなり、そのとき一番被害を被るのは支配階級と富裕層じゃなくて庶民ですと、殿様の気持ちを代弁します。

殿様は、自分や松蔭と似た考えを持つ、伊之助の後押しが欲しかったのです。

自分の気持ちを察してくれる伊之助を、殿様は側近に起用しようとしますが、伊之助は支藩への派遣を希望します。

毛利家の支藩に赴いて、本家の「破約攘夷」を支持するよう徹底させます、というわけです。現実的ですばらしい。しかし、こんな八面六臂の大活躍をする男が後々県令止まりっていうのはおかしくね? と、いう気持ちがむくむくとわいてきますね…。

主人公の夫になるからって盛りすぎじゃない?

でもここは北大路欣也さんの存在感と、大沢さんの堂々とした所作で、とてもいいシーンでした。質素なお茶室も良かったです。

●殿様は何かのときに松蔭の言葉を思い出している、という話は高杉嫁・雅によって杉家にもたらされ、雅は、松蔭先生の本を書写して殿様に献上しましょうよ、殿様の命令で明倫館にも本を仕入れてもらって、多くの人に本を呼んでもらいましょう、と無邪気に提案します。

文は「殿様の命令で寅兄の本を読んでもらうのはちょっと違う」とかなんとか浮かない顔。

この女はほんとに寅次郎のことになると面倒くさいです。

文ちゃんの理想が実現してた

●京都では久坂が、朝廷に影響力を持つ三条実美を取り込もうと接待中です。

何が気に入らないのか黙り込み、料理に箸もつけない三条に困り果てる久坂に、色っぽい芸者のお姐さんが「三条さんは口内炎」と助け舟を出します。

鈴木杏さんが妖艶でいいわあ! ここは正直、全然期待してなかったのですが、急にかぶりついてしまった。

●医者の久坂玄瑞は、梅干しと茄子のへたを食べさせて痛みをとってやり、それで三条のハートをキャッチ。天子さまへの書状のお取り次ぎもやぶさかではありませんえって、こっちの偉い人もお安い。

●周布様によって退けられた長井雅楽は、京都での本陣を退出する際、高杉と顔を合わせます。

この人の心情も複雑で、長井雅楽は松蔭を江戸に送ったことで塾生に恨まれていた、そのせいで失脚したと思いたいのね。自分の策が間違ってたり、時代遅れだったからではない、と。

高杉はそれを見抜いていて「お前たちは御家ごと破滅に向かう道を選んだんだぞ」という捨て台詞も無言でスルー。相手にしません。

だんだん高良高杉に風格がでてきました。いいわあ。

●伊之助は支藩まわりを始めますが、岩国では椋梨さまが先回りして、吉川家の殿様を守旧派に取り込んでいました。

にっこり笑う椋梨さまは、ちょっと前のまじめな小物っぷりはどこへやら、登場当時のような不敵っぷり。しびれる〜。

●伊之助は吉川家の家格を上げることを餌に、岩国藩を説得を成功させ、多分他の支藩も同じような調子で宥めたり脅したり、殿様を調略できなければ、一般下級武士の協力を取り付け、下からの圧力をかけます。

その際、役に立ったのが久坂玄瑞からの手紙だったという、とってつけたようなエピソードが差し込まれます。

●萩では、伊之助の長男・徳太郎が友人と村塾に通って、松蔭の本を書写するようになっていました。

子役ショーですが、ここはほんとにかわいいの。大人の演技よりずっと品があったよ。

やがて、松蔭の言葉を学びたいという人が塾に集うようになり、文ちゃんは待望のおにぎり配給係に復帰。村塾はシーズン2へ。

で、この村塾がみんなで大人しく松蔭の書を学ぶという、文ちゃんの理想郷なんですよ。

おにぎりの量も増え、もうなんか見るからに文ちゃんがウキウキ…

●塾のお世話が手一杯になってきた文ちゃんは、高杉雅に手伝いを頼みます。

「江戸の晋さまのおそばにいくんです、なんで私が塾の手伝いなんか」と機嫌の悪い雅を、「あなたが高杉の妻で、私が久坂の妻だからです(ドヤァ)」と説得する文ちゃん。調子が戻ってきたな!

勤皇芸者の辰路という女

●三条実美の件でヒントをくれた辰路にお礼をとお茶に誘い出した久坂は「うちの旦那さんになっておくれやす」とにっこり微笑まれてお茶を噴きます。

辰路さんは、この動乱の時代に参加して、男どもに協力して何事かを成し遂げ、芸者として一世一代の名を上げたいという野望を持つ女。
馴染みになってもらえれば、お座敷で得た情報を流しますよ、と久坂を色っぽく調略します。

●この辰路さんが今回はすごくよかったんですが、彼女は以前に亀太郎のことで泣く久坂のことを見ていまして、激情家で田舎者の久坂を与し易しと見て、こんなことを申し出たんですね。そして甲斐性がないと断る久坂を気迫で押し切ります。

で、実はほれた男は他にいて、その男のために久坂に情報を与えつつ、情報を引き出す二重スパイになります。

時代に関わって意志的に生きる女で、文ちゃんに決定的に欠けている「腹黒さ」「華やかさ」を肩代わりするファムファタル

「男はんは、ほんまに夢という言葉に弱おすなあ」と久坂を影で嘲笑する悪女属性がまたすてき。

松蔭の復権と母の涙、そして。

●伊之助の活躍により、長州藩の藩是は破約攘夷で統一されます。

喜んだ敬親公は褒美に伊之助の願いを聞き入れて、松蔭の復権と吉田家の再興をゆるすのでした。

●松蔭が正式に名誉を回復されたことを知らされ、杉家のお母さん、滝さんが、ただの母親にもどってむせび泣きます。

これまで妖怪のようにいつも高いテンションで家族を守ってきた滝さんが、憑き物がとれたように泣いているのは、計算だとわかっていてもわたしも泣いた。

世も末みたいな顔で打ち拉がれていた玉木の叔父上も鼻を赤くしてウルウルしちゃって、このときこの二人には何かが憑依していたね。

●江戸では、久坂と高杉が相変わらず衝突しています。

外国をみてきた高杉はすごく成長しており、それに久坂が嫉妬してるという構図。

リーダー二人は不仲ですが、時間は確実に進んでおり、ついに英国公使館焼き討ち事件です。

長州の攘夷の狼煙として、建設中の英国公使館を焼き払う、という計画に、久坂は反対し、一人不参加を表明します。

理由はほんと相変わらず子供っぽくて、高杉が気に入らないというだけ。

そんな久坂に、高杉は「お前がいなくて日本がひっくり返せるか!」と気迫をぶつけるんですが、久坂はハートがクローズ中なのでダメダメです。

高杉晋作が咲いてみせたのに、チンケな態度見せてるんじゃねーよ!

●長州藩士の間では、次第に吉田松陰の言葉が広まっており、普通の藩士たちも松蔭の書籍を読むようになってきます。

久坂は、高杉がリーダーシップを発揮しだしたことに拗ねて、腐っていたのですが、藩士の一人に「松陰先生はどんなお方じゃったのでしょうか?」と聞かれたことをきっかけに、自分の目的と言うか、目標というか、志を思い出し、英国公使館焼き討ちに駆けつけるのでした。

●男たちはテロリズムに走り出しますが、女たちはのんびり平和。

雅はすっかり子供塾となった松下村塾の手伝いをするうちに、子供って面白い!と楽しくなり、「もう江戸にいかない、ここで晋さまを待つ」と宣言。

高杉の妻と久坂の妻がならんで芋を食べているうちに、いろんな幕末のエピソードが飛ばされますが、気にしない。

いろいろひどいんだけど

それでも今回はドラマとして体をなしていたので、なんとか見られましたかね…

歴史的な描き込みがなんにもないことで、血気に逸る塾生たちのテロ思想がむき出しになっていて、これはこれで生々しい効果を生んでいると思いますが、ものすごく物足りない。こっちも作中人物と一緒にジリジリしたいんだよ!

主人公がおにぎり握って焼き芋食べてるだけなのはやっぱりちょっとねー。というわけで、アデュー!

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