真田丸 第二十六回「瓜売」レビュー〈2〉茶番に茶番を重ねるやつし比べ。出浦昌相。入れ替わっていく命、生と死。

sanadamaru_bnnr1

後半はタイトルの「瓜売」が登場します。

スポンサーリンク
ad

やつし比べ

●秀吉の「唐入り」は、李氏朝鮮の宗主国である明が援軍を送ったことで膠着状態となります。

思うようにならない知らせばかりで、せっかくまた茶々に子が生まれるのにつまらない、と秀吉はイライラ。何か面白いことはないかの〜!とぼやいたところで、思いついてしまいます。

「やつし比べ」の開催を。

つまり、大名たちに庶民の姿に身をやつさせ、その芸を競わせると。

●真田ももちろん参加を言い渡されますが、意外なことに親父世代は超のり気で、昌幸は楽しそうにほっかむりをかぶり、出浦昌相は透破スキルを生かして徳川の演目を探った上、昌幸に芸を授けます。

透破さんたちは仕事のために物売りなんかに化けたりする必要があるため、普段から修養してるんですね。

つまり、あんなにかっこいい出浦さまもやろうと思えばやれるんですよ! むしろ多分ものすごく手練ですよ。怖いww

●瓜売りに扮することになった昌幸は良いお声で「味良しの瓜、召され候え(美味しい瓜ですよ、お召し上がりください)」と唄いますが、長男は親父世代の悪ノリに、イマイチついていけません。世代間ギャップあるある。

●その頃、大阪では秀次の子が生まれ、数日後に夭折していました。

秀次は「息子が死んでくれてホッとした。不甲斐ない父を許してくれ」ときりちゃんに悲痛な胸のうちを晒します。

秀吉はなんのかの言ってもまだ冷静だし、名護屋城でも家康の話をちゃんと聞いて受け入れているのですが、秀次は自分の心に自分で傷をつけて、戻れなくなっていくんですね。

きりちゃんはそっと秀次を抱きしめます。

あれも戦、これも戦

●加藤清正が朝鮮半島で苦戦している、ちょうどその時、肥前名護屋城では秀吉主催のやつし比べがおこなわれていました。

唐入りという茶番がうまくいかなくなった時、秀吉が別の茶番を用意するという、皮肉の露わなこと。

●真田昌幸は「ここに真田ありと居並ぶ大名たちに見せつけてやるのよぉ!」通常営業中ですが、信幸はもうすっかり及び腰で、稽古も涙目です。またそんな信幸を、出浦昌相がものっすごく怖い顔で睨んでいるのが草。

出浦さまは少しずつ心のうちを見せてくれていましたが、要するにこの人は、うちの殿は誰よりも輝いていなければならない、というモンスターペアレント家臣でした。

時々「輝いている奥さんが好き」というタイプの旦那さんを、リアルで見かけることがありまして、私は単純に「いい旦那さん」と捉えてたんですけど、出浦さまを見てそうではないかもしれないと思い至りましたよ。

生まれ持ったプロデューサー性質をぶつけ得る対象を見つけて愛しちゃっただけなのかもしれないなと。

まあ、パッパ昌幸に全然不満がなく、むしろ楽しそうで良かった。うん。

瓜売

●しかし、ここでとんでもないことが発覚します。太閤殿下の演目が「瓜売」でパパと丸かぶりだったのです。しかも昌幸の方が明らかにお上手。

このままでは殿下が大名たちの面前で恥を書くと焦った信繁は、秀吉に演目を変えさせようと片桐さまに父の芸を見せ、信幸を通じて徳川家康から説得させようとし、最後には事前に父親の芸を秀吉に見せて諦めさせようと手管を講じますが、ことごとく失敗します。

ここまで大変成長してきた信繁なんですが、まだ秀吉をサポートするには足らないんですね。治部・刑部がいないと簡単に大局を見失ってしまう。

●結局昌幸が折れて、やつし比べを突然の病で欠席することになります。

このくだりはドラマでみると、ものすごく深刻な音楽が鳴りひびいたりして面白いのですが、要するに、茶番にもかかわらず過剰に秀吉に気を使う家臣たちと、そんな家臣たちに囲まれて孤独を深めていく秀吉が描かれています。

やつし比べで、秀吉は優勝できなくても全然構わなかったろうし、治部刑部がいたら事前にそういう形で根回ししたでしょう。殿下のアウェー感がすごかった。

で、秀吉はそういう中で、非常に冷静に、自分を持ち上げる大名たちの異様な空気や、士気の駄々下がりを見ているんですね。

●信繁も大名たちのおかしなから騒ぎに異様なものを感じます。が、そこに上田からばばさま危篤の一方がもたらされます。

真田一徳斎の妻

●戦が終わったら一度上田に親子共々返して欲しいと願い出る信繁に、秀吉は明日にでも立て、急いで帰ってやれ、自分は母親の死に目に間に合わなかったから気持ちはわかるぞ、と戦線離脱を許します。

秀吉が、言いにくいことがあってもドンとぶつかってくる信繁を可愛がるの、わかりますね。

●ちなみに、肥前名護屋城跡から上田城跡まで、Google map調べで1031km。1日に30kmで進んだとしても34日です。

スクリーンショット 2016-07-10 14.28.15

しかしなんとか真田親子はおばば様の最後には間に合います。「えっ」とか言わない。ドラマだから。これドラマだから。

●おばばさまの枕元には家族が集い、信繁も梅ちゃんの忘れ形見の一人娘と再会します。

すえちゃんは信繁に怯えてしまうのですが、松や茂誠さまはすえちゃんを可愛がってくれている様子が伺えましたね。

●信尹叔父上もちゃっかりきていまして、まあこの人なら主人の意向関係なく、来たかったら絶対来るだろうと思われるところが恐ろしいですが。

●信幸の現在の正妻・稲姫も顔を出します(おこうさんと信幸は複雑な顔)。

●おばばさまは最後に有働ナレを「ちと早すぎた」キャンセルし、自ら立ち上がって信幸・信繁を連れて櫓に上がります。

ばばさまは、「先のことはわからない。生まれるのに遅いも早いもない。人間は持って生まれた宿命に気がつけるかどうかだ」と語り、若い方の真田兄弟に真田家の未来を託します。

ちなみに、若くない方の真田兄弟の方にはもう言い残すことはないそうです。息子たちはすでに育て上げた自信があるということでしょう。

信幸・信繁はばばさまの男前な祝福に励まされます。ばばさまに、父親には言えない本音を漏らす信幸と信繁が可愛かったですね。

●武田信玄も一目置いた真田一徳斎(いわゆる真田幸隆)の妻。

櫓から領地を見下ろし、風に吹かれて、まるでこれから物見に出向かんとする武将のように勇ましく、美しいばばさまの最期でした。

いや実際はこの後布団に寝付いて亡くなったんだと思いますけど、大女優の演じる女傑の死をこんな風に圧倒的に描いた祝祭性がとっても良かったと思います。

私の目には「風林火山」のひたすらカコイイ佐々木蔵之助幸隆さまと忍芽さまがおばばさまの背後に見えましたことよ。

(あースピンオフで色々見てえ!)

運命の子

●おばばさまが亡くなった二日後、信繁にとっての運命の子、豊臣秀頼となる男児を茶々が出産します。

産屋に敷かれた白い布団、茶々とおつきの女たちの真っ白い衣が、まるで死装束のような不吉さを讃える出産でした。

入れ替わっていく命

秀次事件に向けての溜め回でしたね。こうしてレビューに書いてみると、

しかし、秀吉と秀次がともにアウェー感でいっぱいなのに連帯できない問題とか、

豊臣政権下で、大名たちが交流していく様とか、

最初の唐入りはどうも茶番ぽいなとか、

己の宿命を全うして死んでいく命が祝福され、新しく生まれてくる命が歓迎されないという皮肉とか、

このたくさんの伏線を繋げて物語にするのには、脚本も演出も相当苦労しただろうなと思わせました。でもすごく工夫してくれてたと思います。

さて、そろそろ秀次殿のサヨナラ公演、そして秀吉、関ヶ原…8−9月は怒涛の予感です!!

〔スポンサーリンク〕

真田三代 (PHP新書)

時代考証の平山先生の、真田好きに向けての一般書。

昌幸に一番ページが割かれていますが、父親の幸綱(幸隆)についても詳しいですよ。

スポンサーリンク
ad
スポンサーリンク
ad

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA