真田丸 第二十二回「裁定」レビュー〈1〉所詮は茶番のリーガルハイ。全ては秀吉の掌の上。

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二十回「前兆」の推理ドラマテンプレ利用に続き、今回は法廷ドラマのパロディ回です。

現代劇や教養エンタメコンテンツのテンプレが、大河ドラマに使用されることについて反対する向きが今回は多かったように思うんですけども、私は逆に、所詮は「秀吉の掌の上の茶番」という皮肉の効きっぷりに、震える上がるような気持ちがしました。

「沼田を引き渡せば上洛する」という条件付けは、秀吉の権威を認めた上でしか成立しないのに、氏政は沼田の問題で最初から下手を打ってるんですよね。

裁定の管理者たちはそれを最初から承知していますが、当事者である北条と真田は全く気がつかず、目の前の裁定を必死に戦います。

法廷劇のテンプレで進行すればするほど、独特のスピード感でサクサク進めば進むほど、その皮肉は効果を上乗せしていきます。

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戦国リーガルハイ

●というわけで、前回のラストを受けて、北条と真田が秀吉の前に自らの主張を余すところなく述べ、沼田を所有するものは誰か、審判を仰ぐことになります。

●どう考えても創作なんですけれど、法廷劇のパロディとして徹底してまして、ホワイトボード的なものまで登場し、片桐且元さんと事務方のわかりやすい説明資料まで登場。

説明が長い、と怒られるところまで、プレゼン資料で苦労するビジネスパーソンの心までがっつりキャッチアップに来る製作陣です。

●法廷戦の方は、北条の外交僧・板部岡江雪斎が戦国乱世で他家との折衝という最前線の経験を生かして、真田代表の信繁をしのぎますが、信繁も必死で喰らいつきます。

板部岡「勝ち取ったのではない、だまし取ったのではないか!」→信繁「騙し取りかすめとり、勝ち取りました!」

信繁、いい開きなおりだ。

このやり取りを秀吉は楽しむのですが、あっという間に飽きてもきます。

秀吉からすると、戦争をしたくないという石田治部に付き合っているだけなんですよね。

それでもこんなに何度も治部の言い分に付き合ってくれるのは、一度切腹を申し付けちゃったことを少しは気にしているんでしょうか。

休憩時間イベント

●でも秀吉の思惑も、石田治部の必死の攻防も、ちっともわかっていない信繁。

休憩時間に納戸で父親と打ち合わせをして気合いの入れ直しをします。

とんでもない役目を信繁に丸投げする昌幸ですが、フォローを欠かさず、息子のメンタルを整えたり、自分こそ緊張で喉が乾くであろうところ、お水を我慢して息子にとっておいたりして、面白くていいお父さんです。

てゆーか、セコンドそのものでおかしくておかしくでw

●休憩時間イベントその2は、論敵・江雪斎からのプレスです。

この時に江雪斎は「我らがこうして戦えば、本当の戦を避けることができる。だから手加減しない、全力でいく」というようなことを告げる。

「沼田が北条のものにならなければ戦だけど、お前はわかってるのか」「だからどうなっても私を恨むなよ」というプレスなんですけども、残念ながら信繁に伝わったのは、血を流さずに論争で決着をつけるぜ? というところまででしたね…

●まだまだ続くよ休憩時間イベント。その3はきりちゃんのおにぎり格差問題です。

お弁当っぽい小さな行李を手にやってきたきりちゃん。

しかし、手にしたお弁当は信繁のものではなく、秀次と約束した差し入れでした。

信繁の分は、竹の皮に包んだ一口大の小さなおにぎりが2つだけ。

手渡す時もちらっと信繁を見るだけ。

あとはずーっと秀次に話しかけているきりちゃんに、無言になる信繁。

第三回のお土産(櫛)格差と、信繁が梅ちゃんときりちゃんにつけていた態度の差が、そのまま自分に帰ってきてしまったのですね。

こじれの原因は徳川

●休憩が終わり、沼田リーガルハイ第2部がスタート。

北条も真田も一歩も引きませんが、やり取りのうちに、この沼田問題の原因は「徳川が北条にも真田にも沼田をやると約束してしまったから」ということが明らかになってきます。

きたよ徳川に火の粉が。

●そこで、徳川がどっちの約束を優先するかが問われることになるのですが、江雪斎は「北条と徳川の盟約は国と国との約束なので、主君と家臣の約束である真田・徳川の盟約よりも優先される。格が違う」と主張します。

この正論で、江雪斎は止めておけばよかった。

しかし、信繁の「国と国との約束も、親と子の約束も、約束の軽重に変わりはない。先に真田と約束したんだから真田が優先。徳川様がそんな赤子にもわかる道理をわからないはずがありません」という言葉に噛みついてしまいます。

「真田殿の言葉は、徳川様が、赤子にもわかる道理すらわからない二枚舌と罵ったのも同じ」と言われて、信繁は完全にフリーズしてしまいます。

しかし、これを聞いた正信は、それまでののらりくらりとした態度を一変し、わざわざ徳川に向けて火を吹いてきた江雪斎を振り払います

「沼田は譲り渡したのではなく、奪うなら好きにせよと言ったにすぎない」

●様子見しながら耄碌ジジイを演じていた正信が、べったりと黒い腹のなかをちらっと見せて抜刀しただけでこの破壊力。

北条は徳川から正式に沼田を譲渡された、という点を基軸にしてロジックを組み立てていた江雪斎は、正信にその根本をつき崩されます。

●しかも、秀次からは「言葉の選び方からしても、北条は沼田を真田のものだと思ってるよね?」と突っ込まれ、江雪斎はここでブレイクダウン。

まあ実際のとこ、相模の西端小田原から上野の沼田は遠すぎで、帰属意識は低かったんでしょう。

江雪斎はこの裁定が茶番ということはある程度認識していたと思う。しかし、彼なりに氏政に誠実に最大の戦果を持ち帰ろうと奮戦したのですが、そこが仇になっちゃいましたね。

あ、秀吉はとっくにお捨を連れて退場済みです。

算段

●沼田裁定の論争は真田の勝利に見えました。

信繁は退出する正信を追い、最後に真田に味方してくれたことに礼を言います。

正信は、必死で戦っている若者を見て手を貸すのが老人というもの、と言うのですが、感動的なさわやかな音楽と裏腹の、相手の顔をほとんど見ないような腹黒演技。

この意味するところ明らかで、正信は徳川に向けられた火の粉を払い、北条とは敢えて距離を置き、現在徳川の与力大名である真田に恩を売った、なんですけども、信繁は全然そこらへんが読めないんですね。

私もだんだん、信繁初々しいな!と諦めが募ってきました。

信繁に政治脳があったら、真田幸村という英雄になんてなってない。

●昌幸は完全勝利、これで沼田は真田のものじゃ!と大喜びします。が、そこに石田治部が。

●予告を見て以来、一体どんな顔をして昌幸は治部に見つかるのかと楽しみで仕方がありませんでしたが、良い意味で捻りのない堂々とした普通さでした。決まり悪そうに屏風の陰から顔を出す昌幸が激kawaii。

●石田治部は、「沼田は最初から北条にくれてやるつもりだったのに、お主らが余計な頑張りをしたせいで算段が狂った」と真田父子に言い、今回の沼田裁定についての自分の腹の中を見せます。

北条を上洛させて戦を避けることが一番の目的という治部に、昌幸は「北条が攻めてくるなら望むところ」「まさか沼田ごときで全国を巻き込む大戦になるなんて」苦笑い

が、石田治部は「その沼田が火種となるのだ!」一喝。

そしてどうか沼田は北条に引き渡してくれ、と真摯に頭を下げます。

それを見た信繁が父親に「沼田を引き渡しましょう」と迫り、昌幸はしぶしぶながらもそれに同意します。

●しかし、治部が真田に譲ってもらったことに感謝し、目を潤ませているのに気づくと、すかさず「沼田のはずれにある名胡桃には代々の墓があるので、あそこだけは渡せません。それ以外は殿下の上意に従います」ぶっこむ安房守、まじ真田安房守。

●石田治部はそれを承諾して、名胡桃を含む沼田の西側を真田に残す形で決着をつけます。

もちろん名胡桃に先祖の墓があるというのは昌幸のとっさの出まかせ。

この名胡桃という、真田が沼田に残した爪が小田原征伐を引き寄せるトラップになります。ええ、石田治部も真田昌幸被害者の会に名乗りをあげるべきですね。

というわけで〈2〉に続きます。

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