「恋路」茶々とエウリュディケー。青髭について補足。

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未だに「恋路」が自分の中で終わりません😖

周回遅れですけど、レビューの方にも書いた青髭(童話)、エウリュディケー(ギリシャ神話のオルフェウス説話)について、少し丁寧に書いてみます。

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死者の国から帰れない娘。

「恋路」については最初は複雑すぎて、意味するところがわかったのは最近、放送から一週間以上経ってからです。

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19回のレビューのコメントのレスを書いてる時にだんだん考えが整理されてきまして、

茶々=エウリュディケー(類イザナミ)っていう線の方が、茶々の物語としては本筋だよね。

(弥四郎さん、気づかせてくれてありがとう!)

どうも、茶々については、梅ちゃん並みに説話のいろんな要素を組み合わせて彼女の結婚と運命的な部分を表現していたのではないかと。

「決戦」梅ちゃんまわりのエピについて。
(画像転載元:nhk公式サイト) 13回の梅ちゃんの死に至るまでの不自然なgdgdについて、受信しました。 きっかけはこちらのツイ↓ 鋭い解釈...

まず、母親のお市の方が好きだったという山吹の花ですが、これは黄泉に咲く花→茶々が未だに死者の国に住んでいることを表すもの。

山吹にまつわる万葉集の有名な和歌「山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなく」の通り、茶々を死者の国から引き上げるべき男は、黄泉への「道を知らない」、つまり女の側からすると、男が迎えに来ない。

ここが夫が死者の国まで迎えに来たイザナミやエウリュディケーと違う、茶々の本当に哀れなところです。

茶々は自分の男と出会う前に、魂が死者の国に墜ちてしまった娘なのです。

当時そういう娘はたくさんいたでしょう。そういう悲劇の娘の総体としての茶々ですね。

エウリュディケーとイザナミ

エウリュディケーというのは、ギリシャ神話のオルフェウスの説話に登場するオルフェの妻。

新婚まもなく蛇に噛まれて死んでしまい、夫であるオルフェが冥府に向かい、歌唱スキルと演奏スキルを駆使して冥府の王ハデスと妻のペルセポネから、死んだ妻を連れ帰る許しを得るものの、地上に着くまでは決して妻を振り返ってはならないという条件を守れずに、ついに地上に帰れなかった、という儚い女性像です。

日本神話のイザナミもまた、この話によく似た「死んだ妻を迎えに冥府に赴く夫の物語」を持っています。

だたイザナミの方はエウリュディケーと違って、死者の国の主として、大変恐ろしい女性像となっています。

夫のイザナギに崩れかけて蛆の湧いた自分の死体を見ることを禁じ、それが破られたことを怒り、復讐のために毎日イザナギの国の生者を1000人殺すと宣言する女。

エウリュディケーとイザナミは、茶々の薄幸そうな感じと、彼女に纏わる死の濃厚な匂いの二面を表すのだと思いますが、いやー、あまりありますね…

そして、「決して振り返ってはならないとか」「決して見てはならない」などの「見るなのタブー」を含むこの物語は、これまた強烈な「見るなのタブー」で有名な童話「青髭」を容易に連想させます。

迎えに来た男

青髭は、17〜18世紀の宮廷で親しまれていた童話の一つ。ひとくちに童話と言っても可愛らしかったりエロかったり、いろんなものがありますが、青髭は完全にホラー系

とある美しい娘が金持ちの貴族に求婚される。その男は紳士的だが、恐ろしげな青い髭を生やし、以前に結婚した男の妻は全て死んでいるという不吉な評判の人物。しかし娘は男の持つ財産に惹かれて結婚を決める。

ある時男は外出するが、新婚の妻に「どの部屋に入ってもいいが、いちばん小さな鍵の小部屋には入ってはいけない」と言って鍵の束を渡す。

妻は全ての部屋を開けて回り、いちばん小さな鍵の小部屋で、前妻の血みどろの死体を見つける。新妻は鍵を血だまりに落としてしまう。その血はいくら拭っても決して消えず、外出から戻った青髭に全てバレてしまう。

妻が殺害されそうになったその時、竜騎兵である妻の兄たちが駆けつけて青髭を倒す。

新妻は青髭の財産を受け継ぎ、兄たちと幸せに暮らす。

「見るなのタブー」は、前述のオルフェ、イザナギの黄泉下りから鶴の恩返しの「機織りしている部屋を覗くな」まで色々なバリエーションがあります。

だいたいタブーを破って不幸になるのがお約束なのですが、それにしても青髭のこの過去の罪を閉じ込めた血だまりの部屋のイメージは凄まじい。

妻が開けることを知りながら自分の罪を見せる→それを理由に妻を殺すことを繰り返してきただろう恐ろしさ。

青髭のモデルはジル・ド・レェ、あるいはヘンリー8世とされてますけども、この「紳士的で金持ちだが、大変恐ろしげな人物」像は、飄々と明るいのに恐ろしい天下人という秀吉の人物像と非常に近いです。

何が近いってみんな血みどろです。まあ秀吉の場合は茶々を迎えてからの方が血みどろなんですけども。

結局、茶々を迎えに来たのは、この青髭に近い男なんですよね。

しかし、茶々は青髭の手を取ることを自ら決意して、生者の国に帰還します。

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茶々が意志的に選びとった一時的な幸せ。何がすごかったかって、その儚さを象徴するような、竹内さんの美しさがすごかったと思います。

冥府の柘榴

しかし、彼女は信繁にも思いを残します。

茶々はイザナミのような恐ろしい一面も持つために、悲しいことにその思いは強烈な呪いになってしまいます。

そしてここで面白いのが、きりちゃんが山吹の押し花を食べちゃうことですね。

食べることによって、やはり有名なギリシャ神話の一つ、ペルセポネーを思い出させる。

冥府の王ハデスが、ペルセポネーに敢えて食べさせておいた柘榴を想起させ、山吹の花の栞が冥府の柘榴と同じ、死の国への帰り道の強制チケットであることが明らかになります。

また、「青髭」の最後に嵐のように颯爽と登場して青髭を倒す竜騎兵の兄のイメージが、信繁に仮託されているだろうことも興味深いです。

童話に時々登場する騎馬火兵は、むやみやたらに圧倒的でかっこいいのが面白いところですが、大坂の陣に現れた信繁は茶々にとってそんな風に見えたろう、というのも推測できるところ。

残念ながら、その竜騎兵は茶々を救うことはできないのですが。

というわけで、茶々周りエピの補完でした。

茶々がどれだけ力を入れて描写されたか、よくわかりますね。まごうことなき信繁の運命の女の一人としての茶々でした。

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夏休みの準備開始。

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