真田丸 第十九回「恋路」レビュー〈2〉見るなの部屋を覗いたものは不幸を招く。豊臣家の終わりが始まる。

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前半に書き忘れたんですけど、真田家が徳川家とごちゃごちゃやってるのがすごく可愛かったので、「殿と気の置けない与力」って感じで、永遠にコントやってればいいのにって思いました。

というわけで、徳川・真田コントが終わって、後半は大坂城です。

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広がっていく噂

●信繁が茶々を蔵に連れ込んで、何やらけしからぬ振る舞いに及んだ、というような噂は日に日に大坂城に広がります。

とうとう、加藤清正まで平野長泰に確認に来る始末。

●しかも加藤清正は片桐且元に噂を伝え、且元はそれをとうとう秀吉に伝えてしまいます。小学生並みの大坂城が本当に心配ですね。

秀吉が信繁を呼び出して真面目に詰問するってところも、将来の滅亡の萌芽ですわ。

●信繁は「根も葉もない噂にすぎません。誰がそんなことを言い出したのか、連れてきてください」と堂々と対処します。

且元はなんとか信繁を茶々から遠ざけようと食い下がりますが、それが却って秀吉の怒りを招き「お前が茶々に惚れてるんじゃないのか?」とヤブヘビ。

且元は茶々への忠義からの行動だったんですけど、あまりにも考えがなさすぎでした。

秀吉(と治部)の苛烈さが、部下たちの行動を子供並みに退行させている感じ。

そしてそれが忠臣を遠ざけてしまうというデフレループみたいなものが既に始まっている。

●信繁は自分を茶々の近習から外してくれるよう、秀吉に願い出ます。

しかし、秀吉は、あれは寂しい女なのだ。話し相手になってやってくれと信繁の願いを許しません。むしろニヤリと笑ってて、何かを考えている風で…

山吹の花

●信繁は茶々に呼び出され、女子のおしゃべりに付き合わされます。

本当こういうところ見ると、茶々は女の子の友達を作ったほうがいいよ!!と思うんですけど、そういえば妹たちは登場しないのでしょうか。

「江」では、妹たちと一緒にいることで茶々は随分救われていて、秀吉はそれを見て江を嫁に出し、茶々を一人にしてしまうんですよね。

女子にとって仲の良い同性は絶対に必要なものなのに。

●茶々は中庭に咲くお花の話を一生懸命信繁にしますが、信繁からすると何の興味もないし、しかも物陰から加藤清正が見ているし。

しょうがないんだけども、信繁からはもう迷惑で迷惑でという気持ちがにじみ出てしまう…

●茶々は信繁の焦りを無視して、母・お市の方が好きだったという山吹の花の話をして、信繁の髪に山吹の花を挿します。

そこでなぜか急に信繁が文字通り開き直って、清正に向かって、腰に手を当ててドヤァと微笑むのは、真田の男としての挑戦なの? 血なの?

●そんな挑発をしておきながら、加藤清正の視線に並々ならぬ身の危険を覚えた信繁はきりちゃんに頼んで秀次に取り次いでもらい、清正をなんとかしてもらおうと考えます。

きりの頼みじゃ断れない、と出てきた秀次さまは、ニコニコと、「男女のことはわしに任せろ、惚れてない? それはお主に隙があったのじゃ。虎之助は一度思い込んだらもうダメ、わしじゃダメ。叔父上が一番いいけど、今病気なので治部に手紙を書いてやろう」と、親切に対処してくれます。

まあ治部に手紙を書くのが親切かというと微妙なところですが…

●ところが治部さまは「お主に隙があったんじゃ」と厳しく叱責しつつも、信繁を助けるために骨を折ってくれることに。

加藤清正に九州征伐を命じるから、お前に構っている暇はなくなるだろうという対応に、信繁は感謝します。

●話を聞いていた刑部は「虎之介の九州行きは前から決まっていたことだからそんなに感謝しなくてもいい」とネタバラシ。

信繁にも「お主の人懐こさが問題だ」と指摘します。

この人はこうやって全てにおいてバランスをとる人なんですね。尊いなあ。

秀吉のプロポーズ

●聚楽第が完成し、新しいお屋敷に移った茶々は、秀吉の前で「蔵ですって。また一緒に観に行きましょうね」と口を滑らしてしまいます。

茶々はうっかりというか、天然というか。あんまり考えのないあどけない少女ゆえに死神っていうか…

さっきまでニコニコと茶々とおしゃべりしていた秀吉の目の色が変わる瞬間がものすごく怖買った。凍りつく空気。怯える茶々←もっと気をつけようね。

秀吉は大蔵卿局を下がらせ(治部はその前に自ら退場)、信繁にどういうことかと詰問します。信繁はすぐに秀吉を欺いていたことを認め、許しを請います。

今にも信繁をひねり潰しそうな怒気をたたえる秀吉でしたが、しかし、秀吉は二人が覗いたのが「武具の蔵」と知り、茶々が信繁をひっぱりこんだであろうことを察します。

●そしてなぜ武具の蔵に近づくことを禁じたのか、茶々に語ります。

幼い頃から人の死の中で育った茶々に、これからは美しいもの、楽しいものだけを見て生きていって欲しいと。それが自分の茶々に対する償いだと。

そして、茶々に側室になってくれとプロポーズ。

茶々には天下人の妻として暮らし、死ぬ時には「日本一幸せな女だったと言って欲しい」。わしが言わせてみせる………大告白です。

●というのを、秀吉は信繁を下がらせずに茶々に言います。ひどい脅迫ですが、それくらい秀吉は茶々に対して自信がないのですね。

●結局、茶々は秀吉の側室になることを承諾します。

秀吉は大喜びで寧に報告するのですが、寧の顔は不安に曇ります。この時はこの表情の意味をすごく単純に、若い側室が入ることに対する古女房の寂しさ・嫉妬・不安なんかだと思っていたんですよね…

●秀吉のプロポーズを背中で聞かされる信繁の表情は苦渋に満ちていました。

自分に好意を寄せていた女を目の前で奪われる悔しさだったのか。生死の分かれ目に立たされた緊張だったのか。

きりちゃんww

●信繁は茶々になびかなかったことに、「カッコ悪い」とちょっとだけ嫌味を言われてしまいますが、近習の役目を解かれることになります。

ホッとする信繁。

しかし、茶々は信繁に「離れ離れになってもいつかあなたは戻ってくる。そして私たちは同じ日に死ぬの」という強力な呪いとともに、母・お市の方がよく作っていたという山吹の花の押し花の栞を渡すのでした。

●実況タグで多くの人が指摘・考察していた通り、山吹の花は万葉集に収められた高市皇子の「汲めにいかめど、道の知らなく」。「死んでしまったあなたに会いたい」と云う悲しい歌をほのめかすもの。

それを押し花にして、生きている信繁に渡すというのは、「あなたを死んだものと思い、会いに行く道を探したりはしませんが、いつまでも思っていますよ」の意味なのでしょう。

押し花にされ、生気を凍結された山吹の花は、二人が再会した時にきっと息を吹き返すとの茶々の思いがこもっているのだと思います。

しかし、二人の最後を知っている視聴者にとっては、死の象徴に他なりません。

第一次上田合戦に続き、運命の神が現れて、信繁の運命を定めました。

●しかし、茶々に命を救われた信繁は、今度ばかりは拒絶せず、「遠い先であることを祈っております」と茶々の言葉を受け入れます。

●しかし、山吹の押し花は、こういう呪いアイテムに敏感なきりちゃんによって、胃袋で処分されてしまいますww

●雷鳴が轟く嵐の日、茶々は秀吉のもとに側室として輿入れします。

石田三成は茶々の輿入れを見守りながら、「殿下はこれからどこへ行くのか」と不安を呟くのでした。

死の国の娘

今回は青髭をうまくアレンジした回だったのかなって思いました。

あの、グリム童話の中でも奇妙に気持ちの悪いお話は、秀吉と茶々にぴったりでした。

見るなの部屋=近づいてはならない蔵に、先妻の死体の代わりに血を吸った数々の武具があり、この部屋を覗いたことを信繁と茶々は隠し通さなければならない。

主人公を救うはずの竜騎兵と一緒に蔵を覗いてしまった茶々は、結局救われず青髭の嫁に。

そして青髭の死後は財産を相続して、滅びへの道を歩いていくのですね。

「見るなのタブー」を破ったものは不幸を招くのです。

しかし、そんな茶々が渾身の思いで伝えた想いまで、山吹の花とともに死の呪いになってしまうのは実に悲しかった。

茶々が何をしても死の匂いしかしない。死の国にいすぎた娘なんですね。

生の国に戻れない茶々は、見るなのタブーから、エウリュディケーを連想させます。

そういえば、「死の呪い」を遠い先の約束に変える信繁と、呪いアイテムを食べちゃうきりちゃんのエピは、「王女は15歳で紡錘に突かれて死ぬ」→「死なずに100年間眠り続ける」と、呪いを変更して躱した、「眠れる森の美女」のようだなって思いました。

有名な童話や説話を、暗い未来の暗示に使うお見事な趣向。

おかげですごい緊張感でした。いや、ほんと今年の大河には神が降りてるわ。

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コメント

  1. 弥四郎 より:

    初めまして。
    豊臣家と童話・神話の類似性について興味深く読ませていただきました。

    放映後、茶々さまはイザナミのようだと思っていたのですが、エウリュディケも同じタイプの物語だったと膝を打つ思いでした。
    愛が呪いや不幸な結末に変わってしまうのは、悲しいことですね……

    • アンチョビ より:

      >弥四郎さま

      コメントありがとうございます。

      私も最初、伊邪那美命と思いました。
      山吹の花→黄泉路というリードもわかりやすいですよね。
      ただ、現実の層での茶々がなんともかわいそうで、より儚げなエウリディケとしました。

      神話や童話をうまく使う脚本ですよねえとしみじみ思います。

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