真田丸 第十八回「上洛」レビュー〈1〉上洛を決意する昌幸。兼続まで来ちゃったらしょうがないけど、偉大すぎた信玄公が重い。

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パッパとパッパクラスタの試練回でした。

大名でもないのに大名たちと、っていうか、複数国を領有する国主たちとと渡り合ってきた謀将・真田昌幸が、時代に置いていかれる悲しい姿が描かれます。

一方で、昌幸ら国衆たちがどうにも捨てられない豊臣家への違和感が、実は正しいこともうっすらと表現される。

政権の正当性という意味では、織田家の成果を簒奪した豊臣家はやっぱりちょっと弱く、それは多くの人が感じていたことでしょう。

とはいえ、秀吉が世にも稀な傑物であることは変わりない。

時代の移行期を、地方豪族から大名に移行する途上のパッパは、耐え忍ぶことになります。

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大名か、死か

●真田家に信繁からの書状が届きます。喜ぶ信幸。

ようやく信繁は、石田様が認証してくれそうな、いいことしか書いてない手紙を出して、大坂に父親を呼び寄せるしかないことに気がついたようで、よかったよかった。

しかし、昌幸は「太閤殿下は真田を大名にとりたてるっておっしゃってるから安心して。早く上洛して」なんて手紙に逆にイラッとします。

天正壬午の乱の時の切れっ切れの昌幸ならば、裏の裏を読んだでしょうに、イライラで終わってしまう。

この昌幸の判断の劣化について、例によって脚本は多くを語りません。

単純な慢心であったり、長い北条と徳川との冷戦・紛争にお疲れであったりするのでしょうが、そもそもパッパの人生プランの中に、自分の生きている間に、武田信玄以外の誰かに天下が統一されるなんてことが想定されてなかったんだろうなあ。

それどころか、あってはならない事くらいに思っていたに違いない。

●上洛を渋り続ける昌幸の元に、なんと越後から直江兼続が説得にやってきます。

兼続は「豊臣認定の大名になるか、逆らって死を選ぶか、二つに一つだ。うちの御屋形様が真田のために頭を下げてるというのに、お前は何をやってるんだ」と、かなり直接的にパッパに物言いし、さらに嫡男の信幸にも言い含めて、旅装も解かずにさっさと帰っていきます。

ツイートもしましたけど、ここでは登場しない景勝公の成長がしっかり描かれていましたね。

否と言えないええかっこしいだった景勝さまが、真田への援軍をきっぱり断る。肩入れを禁じた秀吉にはしたが否たら、真田の主家として臣下の許しを請う。

昌幸のケツを叩いて上洛させるのに、重臣・兼続を遣わして、これが上杉に取っても放っておいけない重大な事態であること、それと同時に自分が真田家を決して見捨ててはいないことも伝える。

信繁の幸福は、上杉の人質となって自分の元にいることじゃなくて、真田家の安堵だということに気がついた……もちろんそれだけじゃないでしょうが、いろんなことに納得したんでしょうね。手の打ち方が大変的確で、別人のようです。

サイコパス的な秀吉の苛烈さが、人に甘えを捨てさせ、最短距離でゴールにたどり着くよう迫るんですね(頭の良い人あるある)。

●しかし、景勝・兼続ラインの説得にも納得できない昌幸は、母親にこの件を相談します。

なぜ武田家に縁もゆかりもない豊臣に使えなければならないんだ、と駄々っ子みたいなことをいう壮年の息子を、母のおとりさまは「嘘でもいいから頭を下げなさい」と説得します。

おとり様は息子の重い腰を上げさせるために「豊臣に陰りが見えたら寝首をかく。真田はそうやって生き残ってきたんです」とまで言わざるを得ません。

天正壬午の乱の折は、おばば様に相談することなく自分で何もかも決断していたのにね。

●翌日、昌幸は家臣たちを集めて、上洛し、豊臣に従うことを告げます。

ここで昌幸は、秀吉に従いはするけれども、魂までは渡さないから安心せい、みたいなことを言います。これは家臣ではなく自分への言葉ですね。

小県の国衆たちを家臣にし、天守を備えた城を持ち(徳川のおかげだけど)、畳の間で上座に座って主君として振る舞う昌幸は、正直上洛して「たかが国衆」扱いされるのは嫌だったでしょう。

豊臣家から見た真田は「One of them」に過ぎないのですが。

矢沢の叔父上は「沼田はどうなるんじゃ!嫌じゃ嫌じゃ!」と泣きながら評議の席を立ってしまいます。この大叔父上の姿が昌幸の本音なのですね。

太政大臣

●信繁は、阿国一座の踊り子・藤の香り袋を見て、やはり彼女は姉の松であろうと確信します。

お藤の方はしつこく話しかけてくる信繁に逆に迫ったりなんかして、本当に記憶がない。

阿国に、松を引き取れないだろうかと掛け合うと、意外にも「あんなに踊れない子も初めて。足手まといだったんで、むしろ助かります」とあっさり譲ってもらえることになります。

お藤は「私は阿国さまの次に踊りが上手で人気があるのよ!」と言ってたんですけどww

●しかし、引き取ってはきたものの、未だに石田さまのおうちにご厄介になっている身では一緒に暮らすわけにもいかず、きりに頼んで松を北政所の侍女とすることにします。

で、きりちゃんがお願いすると寧さまはあっさり引き受けてくれて、松は記憶がないものの、なんと北政所にコネをつけることに。きりちゃん有能ですわ。

●そこに秀吉が駆け込んできて、寧に「太政大臣に任命された!」と抱きつきます。「信長公もなれなかった太政大臣に自分が」と大喜びの秀吉。

●しかしすぐに場面が切り替わって、茶々に「ちっとも嬉しくない」とクールに振舞う秀吉。

わしの望みは信長公の意志を継ぐことだけじゃ…なんてローなテンションの秀吉は茶々を口説きにかかっているのかな、と思いました。

まあどちらも秀吉の本音だろうとは思いますが。

●そんな秀吉に、茶々は「真田はどうするの?滅ぼすの?」とさらっと聞いたりします。信繁は冷静に努めようとぐっと何かを飲み込みますが、茶々が攻めてきてる、さりげなく攻めてきてるよ…

●上洛前夜、昌幸は出浦と酒を酌み交わします。

「わしが明智光秀になってやってもいいぞ」と言う出浦さまを「面白いのう」といなす昌幸。

一人になった昌幸は、手の中で弄んでいた胡桃を割り、覚悟を固めます。

昌幸と出浦さまの、幼馴染で、悪友で、親友で、お互いよくわかってます感がすごい。

昌幸は家族にも領民にも支えられているけど、リーダーとして孤独なところも当然ある。

その背中を出浦さまが、「信用」が信条の自身の全霊をかけて支える。

いや私も多少腐ってるし、何かと深読みしすぎだとはおもいますけども、でも友情萌えって普遍的且つ魅力的なものだから逆らえないんですよ!

信繁くんは調教済み

●というわけで、真田安房守ご一行がついに上洛します。

久しぶりの家族の再会に、ほっぺたをペチペチ叩き合って喜ぶ真田兄弟ですが、宿として用意されたのは大阪城から離れた古寺で、信幸は大変憤慨します。

信幸は「どうにかならないのか、徳川や上杉と比べてちょっとひどくないか」と信繁に訴えますが、信繁は「真田を徳川や上杉と比べらるのは見当違いでは」という言葉を飲み込みます。

●久々の父親との対面も、最初は喜んだものの、父親の「大坂城をお前ならどう攻める?」という言葉に含まれる不穏な気配に冷水を浴びせられた状態に。

豊臣仕様に調教されてしまった次男は、「大阪城は難攻不落でございます」という硬直した言葉しか返せないのでした。

●信繁はきりちゃんに真田上洛のことを伝え、松のことを相談します。

「父上は太閤殿下にお会いすることで頭がいっぱいだし、姉上のことは後で話すよ」「父上が心配だ」とか、信繁が自分の気持ちを安心して話すことができるのは、この時点できりちゃんだけになっているというミラクル

ここ、以前は三十郎のポジションでした。

きりちゃんは梅ちゃんの後釜じゃなく、三十郎を引き継いだんですねえ。楽しい。

●と思っていたら、きりちゃんは信繁に干し柿を半分分けてあげ、ほっぺに付いた粉をとってあげ、手を握って「頑張ってね!」と励まします。

きりちゃんに、信繁がものすごく微妙な顔でいいようにされてるのが可愛いシーンでした。この二人がこんなに可愛くなってしまうとは、全く三谷幸喜にはしてやられたよ!!これで何度目だよ!!

信繁くんの苦労は続く

●信濃では薫マンマが、上京するなら自分も連れて行くと約束したのに、置いていかれたと憤慨しています。

マンマは草津温泉に遊びに行っている間に置いていかれたので、完全に昌幸の策ですね。

で、妻を置いてきた昌幸・信幸は、信繁の手配で遊郭に遊びに行きます。

薫を草津にまで遠ざけて置いてきた昌幸の心中は、いろいろ複雑だったと思いますが、ここは深く突っ込まずに笑っておくところでしょう。でも遊郭のシーンはすごく面白かったです。

まず、信幸のポカン顔が最高でした。美しい吉野太夫に、開いた口が閉じないww

●信繁が、吉野太夫に腰を低くして、請求書はくれぐれも石田さまに送らないで、私に送ってくださいね、とこっそりお願いするのも面白かった。

信繁は「石田さまの奢りです」と言って父兄を案内したのですが、実は石田治部に真田の宿換えを願い出て、けんもほろろに扱われて宿換えがならなかったことのフォローとして設定した苦肉の策でした。嗚呼。

しかし吉野太夫は優しく「一度でも来ていただいた方は、私どもにとって大切なお客様です」と微笑んでくれます。

このちょっと前に昌幸が「あなたも一緒に一杯どうですか?」とイケメンにお酒に誘い、太夫が戸惑うというシーンがあったんですが、ここも面白かったですね。

田舎者なのでこう言う場所での遊び方がわかっていないとも言えるし、豊臣政権の、というか織田政権時代からでしょうけども、戦国武将が遊郭の女性相手に礼儀正しく接したとも思えないので、田舎者と侮った昌幸の意外な品行方正さに驚いたということもあったでしょう。

秀吉からして、いかに吉野太夫を口説くかしか考えてないですしね。

●信幸が信繁に、「もう戦で大暴れできないのか」「我らは生まれてくるのがちと遅すぎたな」と語ったりもします。

真面目で常識的で、次世代仕様に育てられている兄上ですが、意外と武闘派です。

対して、信繁にこう言う述懐は全くありません。

というあたりで〈2〉に続く。前半で4000文字を超えてしまった……

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