真田丸 第十七回「再会」レビュー〈1〉真田攻めは秀吉の罠。踏みとどまる家康と、時代に取り残される昌幸。

sanadamaru_bnnr1

徳川の真田攻めを秀吉が許可した、と聞いた信繁の前に現れた茶々…という引きで、視聴者をドキドキさせた前回のラスト。いや、ほんと変な汗出ましたわ。

さてそのホラーからどうつながったのかというと、どうやら信繁は茶々という死亡フラグを踏むことは避けたようです。

スポンサーリンク
ad

徳川の真田攻め

●信濃の昌幸のところに、徳川家康に仕えるようになった信尹から、ついに家康が真田に侵攻するという知らせが届きます。

昌幸は徳川を迎え撃つよう指示を出します。

信幸は大坂の源次郎からは何も知らせがないことを不安に思います。信幸からも手紙は何通も送っているのに、一向に返事がない。

この手紙エピソードはちょっとした伏線になっています。

●浜松では秀吉の名代としてやってきた片桐且元が、徳川家康に真田攻めの許可を与える書状を読み上げます。

この許可が「自分に変わって真田を討つべし」というかなり上から目線のもので、家康は密かにイラっw

正信も書状の内容を聞いて、いつにも増してしらーっとした顔になるんですが、ライダー忠勝が「賤ヶ岳七本槍の一槍である豪傑に直にお会いできて光栄です」なんていうので、ほのぼのしますww

内容はともかく、真田攻めの許可が出たことで、徳川勢は盛り上がります。

●で、また場面が変わって今度は大坂。

このままでは真田が滅ぼされてしまう…と馬廻り衆オフィスで憔悴する信繁にカメラが写ります。結局、彼は茶々というジョーカーは使用しなかったようですね。

死亡フラグが確実に立つ割に、効果は不確定ですから、無理もありません。

●信繁はお傍使えの担当が廻って来たときに、秀吉に直訴します。

しかし、「殿下が真田攻めを許したというのはまことですか?」と詰め寄っても、「まことだよ(軽っ)」と、まともに取りあってもらえません。

それでもなんやかや言う信繁を「うるさい!」と一喝する秀吉。表情をまったく変えず、というか笑ったままなのがこれまた超コワイ…

出雲の阿国

●信繁を怒鳴りつけたといっても、秀吉は大して機嫌を損ねたわけでもありません(というのがまた怖い)。

信繁を呼び、お気に入りの芸人の舞台の見物に同席させ、三成から真田攻めにまつわる自身の謀略を説明させます。

それは、家康が秀吉の顔を立てて私闘の許可を求めて来たので、一度は許可する。しかしすぐに差し止めの命を出す、というものでした。

詳しく説明されてはいませんけれど、この差し止め命令に従わずに徳川が真田を攻めれば、逆に徳川が法令違反となり、豊臣政権側に徳川攻めの大義名分ができるという罠なんですね。汚い、さすが秀吉、汚い。

●ほっとする信繁ですが、秀吉からよりにもよって茶々の側仕えを命じられてしまいます。

「お前のような顔は茶々の好み」「お前は頭がいい、権三と違う」「悪い虫がつかないよう見張ってくれ」

怖い。ものすごく怖いです。そして権三はやはり…

●って、すっかり忘れていましたが、このシーンでは歌舞伎の創始者と伝わる出雲の阿国一座のレビューと一緒に進行します。

秀吉は踊り子たちから目を離さず、ニヤニヤと酒を飲みながら茶々の件を信繁に命じるので、一層怖さが増す、という演出になっています。うまいなあ。

Okuni_kabuki_byobu-zu_cropped_and_enhanced

wikipediaから。阿国ちゃん。

ちなみに、阿国の歌舞伎踊りがどういうものだったか、資料はほとんど残っていません。

数少ない資料によると「男装した女優と女装した男優がお茶屋で戯れるのを上手に演じた」そうなので、決してお行儀の良いものではなかったと思われます。

字面だけみると、歌舞伎町のショーみたいな。

真田丸では宝塚のレビューみたいになってましたね。

●で、この一座の踊り子の中に、信繁は姉・松とそっくりな女を見つけます。

徳川家康 vs 豊臣秀吉の知略戦

●夜明け前の浜松。片桐且元の部屋の廻りを、武装した武者がガチャガチャと取り囲む音が響きます。

障子を明けたのは本多正信。

正信はただ事ではない様子で「主が片桐様をお呼びしております」と片桐様を起こします。

●何が起こったかというと、まさに出陣ギリギリのタイミングで、真田攻めを止める秀吉の早馬が到着したんですね。

家康は片桐さまにどういうことかと迫り、怒りのあまり怒声を上げます。これが本当にあのヘタレな家康なの?というくらいの荒らぶりですが、床几を蹴っ飛ばしたりしないところが家康さまのお品のよろしいところ。さすがです。

これだけ怒り狂っても判断力を失わず、家康は(秀吉に)やめろと言われたらやめる他ない、と踏みとどまります。

●正信は怒りの収まらない家康を自室に連れ出し、今後のことを話します。

正信的には、これで「真田の件は片がついた」となるようで、この参謀は切り替えの早さが尋常じゃないですね…

家康と正信は「次は上洛せよと言われるだろう」と予測します。

色あせていく真田家

●一方、真田には信尹から「真田攻め中止」の知らせが届きます。にわかには信じ難い知らせですが「信尹がそういうなら間違いはない」と昌幸は断じます。

「正直ホッとしたわ」という昌幸と、「楽しみにしてたのに残念」なんて調子の内記。昌幸は冒頭、徳川に備えて「新たな策を討つ」ようなことを信幸に言ってたんですけど、実際には無策でした。

昌幸は自分が時代の変化に対応できなくなってきていることに気がつきません。

それでも昌幸は「どうせ誰かの下に着かねばならないなら、真田の値打ちを引き上げるだけ引き上げてやる」と意欲を燃やします。

どうがんばっても国人領主の値など上がらない時代になっていきているのにも気がつかず…

信濃編では強かな国人領主として闊達自在に大名達の間を泳ぎ回ったかっこいいパパ上が、だんだん色褪せてきます。

●ちなみに、このへんの史実はめっちゃおもしろくて、時代考証の丸島先生のツイートによりますが、

  • 史実ではこの時点で真田は既に豊臣に従っている。
  • 北条と徳川の間に結ばれた、反豊臣同盟は生きている。
  • 徳川は北条を裏切って豊臣に下ったので、せめて沼田だけでも北条に渡したい、という切実な状況。
  • 真田家は、沼田問題のせいで徳川から豊臣に乗り換えたのに、豊臣によって徳川の配下に組み入れられてしまったため、沼田領有問題が振り出しに戻る。
  • そのため、真田は豊臣の命令にも従えなくなってグダグダする→真田攻め。
  • 結局上杉が嘆願して直前で真田攻め取りやめ。

という流れだそうで、史実の上杉も真田を守る✨大天使✨でした

しかしこれは飽くまで戦略上の決断であり、ご本人は真田に対して割とご立腹だったらしく、天正壬午の乱の頃、矢沢の叔父上に「お前の甥はなんなんだ」と送った書状が残っているそうです。いやー無理もありませんね。

このあたりの事情を、ドラマではパッパが時代に取り残されていく流れに、うまくアレンジしているんですね。

丸島先生のご本はこちら。[スポンサーリンク]

真田一族と家臣団のすべて (新人物文庫) 真田信繁 幸村と呼ばれた男の真実 (角川選書) 図説 真田一族

先生のTwitterのお陰で、真田丸を一層楽しめています。

●一人、時代の変化に気がつき始めていた信幸は、父親世代がその流れに乗れていないことに言い知れぬ不安を感じます。

妻のおこうは信幸の不安を払うような言葉を見つけられないんですけど、そっと寄り添います。ええ夫婦や…。

会見のための人質を

●真田侵攻取り止めには従ったものの、徳川は一向に上洛に応じません。

ドラマ上ではっきり語られてはいないのですが、家康は豊臣のだまし討ちを警戒しているんですね。

秀吉の方はそんなことはまったく考えてなくて(いや、チラっとは考えているかもしれませんけど、というか考えてない訳はないと思いますけど、多分あえてその選択をしない)、実妹の旭姫をすでに人質に出しているのになんでや状態。

そこで三成と秀吉は、家康の上洛中、さらに重要な人質を徳川方に預けることを考えます。

実妹よりも重要人物となると、それはもう母親しかいません。ギリギリの駆け引きです。

●秀吉は御年74才の大政所さまを人質に出すよう、本人と家族に了承を求めます。

小寧さま、秀長は反対しますが、秀次だけは、家康が上洛して無事国元に帰るまでの期間:1月程度だから、物見遊山と思って行って来たら、徳川さまも大事にしてくれると思いますし、と後押しします。

●大政所は、この年で息子の役に立つなら喜んで人質でもなんでもやるよ、と了承します。

〈2〉に続きます。

スポンサーリンク
ad
スポンサーリンク
ad

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA