真田丸 第十五回「秀吉」レビュー〈2〉秀吉、茶々、有働アナが超コワイ。豊臣政権崩壊へのフラグを詰め込むキラキラ鬱回。

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15回後半は秀吉のサイコパス的な恐ろしさが描かれます。

北条、徳川、上杉、織田、滝川といった武将達は、武士としての共通の流儀を備えていてそれに則った「会話のできる」人々でした。

具体的に言うと、本心がどうあれ、公式見解が「臣従、服従」であれば、命令に従っている限り、筋を通せば関係を維持することが出来た。

しかし秀吉は違います。

武士ではない彼は、建前とか公式見解で会話をすることができず、心の中を覗き込んで、自分に従うよう人を挫きます。

今回は景勝がその主な餌食となるのですが、

「秀吉」上杉景勝が膝を屈する時。
画像転載元:nhk公式サイト ダメな戦国武将の景勝さまが、いかに秀吉にズタズタに蹂躙されたか。 秀吉のサイコパスっぽい言動の恐ろしさと、ピュア勝のダ...

刃が個人に向く、そのスケールの小ささが逆にものすごく怖いです…

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大谷吉継による三成評

●三成、吉継、信繁の酒席が続く中、加藤清正が謝罪に訪問して来たとして、三成が席を外します。

信繁はちょうど良い機会とばかりに、大谷吉継に、三成が自分に対する態度を変えたことを聞く。すると大谷刑部が三成の価値観を種明かししてくれます。

曰く「最初はそなたを低く見ていた。しかし殿下のお気に入りになったことで、彼にとってもそなたは大切な人になった」

三成くんは全身全霊で秀吉公にお使えしているので、価値観や人物評の基準が「殿下がどう思っているか」「殿下のお役に立つか」になっているのですね。ひどい。

●しかし大谷刑部は「悪い男じゃない、そういうシンプルなところが自分は好ましいと思っている」と穏やかに語ります。

優しくてイケメンでイケボで物腰も優雅で柔和で、なにこの大谷吉継の有能&有能感。

●さらに大谷さんは、信繁に「殿下は才気ある若者は必ず自分のお傍に置きたがる。これからいろいろ面倒な事になるぞ」と笑いながら話します。

これから起こるだろう事を察して、さりげなく信繁に話しておき、準備をさせる大谷さん。

素敵すぎて、ものすごく辛いんですけど、これどうしたらいいですかね…

豊臣秀吉

●翌日、三度目にしてようやく上杉主従は豊臣秀吉に拝謁が叶います。

というか、三度目にしてようやく、叶う、という状態にさせられてしまいました。

秀吉は「会えて嬉しいぞ景勝」と呼び捨てにし、「関東を治めるのは関東管領であった上杉謙信の嫡男であったお主がふさわしい」と持ち上げ、「でも真田への肩入れは禁止。徳川に責めさせてお灸を据えるから」とたたき落とし、最後に「官位を推薦しておいた」と飴をその手に握らせる。

紛う事なきパワハラです。景勝さまの表情がどんどん消えて行きます。

景勝は、「真田は上杉と同盟関係なので、そんなわけには…」と一応抗弁するんですが、これは「あやつは幼なじみなので出来ません」と同じくらい、権力者にとってはまったく意味のない言葉でした。

ここでは視点を高くして、ギリギリの交渉しないといけないんですけど、実直な景勝さまにそんな腹芸はできんかった。

兼続はそのあたりの秀吉の腹を探り、すっぱり真田を切り捨てます。

●信繁は、兼続がびっくりするほど明るく「真田のことを話すのをすっかり失念しておったぁ」なんて言う、その真意に気がつきません。

信繁には、秀吉に気に入られたようだという自信があり、石田三成、大谷吉継という三成の側近中の側近達と親しくなったという安心感があり、景勝が「ただの騒がしい男であった」と評していることを真に受けており…

つまり信繁もまた気がつかないうちに秀吉に引っ掻き回されています。

●秀吉は景勝のもてなしに、千利休の茶を立てさせることにし、何故か信繁もその席に呼びつけます。

信繁は「茶の心得とかないんですけど」と慌てますが、三成には相手にしてもらえません。

●三成の指示できりが直垂を持って来て、明るく能天気に「利休様は天下の茶人じゃない、うらやましい、お茶くらい楽しんで来なさいよ!」信繁を送り出します。

きりちゃん頼もしい。和むわ。

(きりちゃん株爆上げ中にきりちゃんが不評と記事をかいちゃう某スポーツ紙さん恥ずかしい)

しかし、きりちゃんは、廊下で豊臣秀次とすれ違い、ちょっと気に入られるというとんでもフラグを立てられていました。

景勝の見捨て

●狭い茶室に通された景勝は、信繁を秀吉に紹介しようとし、すでに信繁が秀吉と会っていた事、そしてそれを自分に気を遣って隠していたことを知らされます。

というか、しれっと秀吉がばらします。

これが秀吉の揺さぶりで、上杉に真田の肩入れをするなと命じつつ、自分は信繁を連れ回してかわいがっていると周囲に思わせる。信繁には才気ある若者はお気に入りなんだと持ち上げる。

この秀吉は当然のように周囲をコントロールしようとするのがものすごく怖いです。

景勝は、直江兼続や部下たちに押し切られた、同意を得られなかった、というような形でこれまでは嫌な決断から逃げていられた(あくまでこのドラマ内ですよ!)。

ですが、秀吉は彼自身に真田を裏切る決断をせよと迫ります。

怖いです、超怖いです。

●景勝は、自分が裏切ろうとしている真田の家の次男坊の横で、利休の茶を差し出され、逡巡の末、穏やかな表情で飲み干します。

利休はそれを迷いを、振り切った、景勝公は間違いなく太閤殿下に従いますと説きます。

●景勝公は呆然としながら「生涯で一番苦い茶であった」と利休の茶を評します。

多分景勝公はあの短い時間に本当に自分の人生を振り返ったと思います。

こんなに可哀想な景勝公の姿を、あの虚空蔵山の猿芝居エピあたりではまったく想像もできませんでしたね…

そして信繁は茶室ではお茶の心得がないばかりに焦って、今は利休のお茶が飲めなかったということで頭がいっぱいで、やはり景勝の変化に気がつけていないのでした。

ここで信繁は人生を分けたと思います。といっても、他の道なんて選びようもなかったと思いますけれど。

豊臣の家族達

●最後の10分は、秀吉の人となりをさらに示すエピソード、そして今後のフラグ立てが詰め込まれます。

●信繁は評議の席に同席させられ、太閤検地の話を聞かされます。

物語序盤の遊郭のシーンで、酒好きの福島正則が大きな升で酒をあおっていたことから度量衡の統一を考えついたという秀吉の発想力、頭の回転の早さ、それに後継者である豊臣秀次がまったくついていけていないこと、秀吉の秀次に対する不満たっぷりな冷たい態度など。

●秀吉と茶々,茶々のお付きの女房と一緒に天正カルタをすることになる場面では、とろけそうな笑顔でニコニコと茶々と接する秀吉、茶々が若いイケメン小姓に送った視線を追って嫉妬で顔色を変える秀吉。

信繁は次第に秀吉の恐ろしさを感じ始めます。

●また茶々が怖い。

自分の美貌と秀吉の自分への執着を知っていて、にこやかに相手をするんですが、お気に入りの見目麗しい若者には秀吉の前で平気で目配せしたりします。

どこまでが天真爛漫なのか。どこまでが計算なのか。怖い。超怖い。

●最後に秀吉の家族が勢揃いして中庭で里芋を食べる。

それだけで、豪華な衣装を着てはいるけど、元々は素朴な人々ということがわかってしまう。

この素朴な人々の多くが失意のうちに悲惨な死を遂げることを、有働アナが容赦なく語って行く。小早川秀秋なんて、幼児ですよ。有働アナのせいじゃないのに、有働アナが怖い。

で、そこにちゃっかりきりちゃんも混ざっていて、秀吉のことを、どこにでもいる人じゃない、あんな普通の人が太閤殿下だなんて信じられないわね、的なことを信繁に言います。

ちょうど秀吉はデレデレと小寧さまに抱きついているところなんですが、信繁は無邪気なその姿にすら戦慄を覚えるのでした。

画面は明るく、キラキラしてたけど

いやー怖かったですね。秀吉。

そして15回は明るく平和に見えてものすごく重かったですね。

大坂編はキラキラしそう、と思ってたんですけど、予想してたキラキラと全然違いましたよ…

真田丸予習3。秀頼は中川大志! 豊臣家がキラキラしすぎて歴史に残りそう。
2016年の大河のキャスト発表、今度は主人公の真田信繁が人質に出されることになった、豊臣家を中心としたキャストです。 天下人:豊臣秀吉 写真転載...

予想と違っていたと言えば、14回で三成が信繁に冷たかった理由もかなり違っていましたが、そのときはそう思ったということで、訂正しないでおきますね。

ちょっと深読みしすぎでしたね💦

でもそういう深読みに足る、多層が折り重なった複雑なドラマなんですよね。

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