真田丸 第九回「駆引」レビュー〈2〉裏切って、裏切って、裏切ったら、裏切られた。天正壬午の乱がおもしろすぎて。

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レビューを書いてみて、前半は信繁パートで割とまったりだったことに気がつきました。後半はエピソードを詰める詰める。カメラが動く動く。

編集するの大変だろうな。というわけで第九回、後半です。

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お前はなくてはならぬ人

●梅と話しているうちに、策とは命を損なわないために考え、実行するもの→梅を守るために策を労するのはOKと納得した源次郎。

その考えに至らせてくれた梅の得難さ、掛け替えのなさを実感した源次郎は、その夜梅ちゃんと結ばれます。

これまで梅の事を「あなた」と呼び、言葉遣いもですます調の丁寧なものだったのに、「お前」の命を守るために戦えば「良いのだな?」と急に親密な口調になっちゃって、膝の上の手もそっと握っちゃって。

いろいろと察した作兵衛さんが「そういえば若衆の寄り合いがあったの思い出しました」と外出してくれるのが和んだ。作兵衛さんいい人。

●夜遅く、自室にもどった源次郎は、身も心も愛する人と結ばれた幸福感でホワホワ…しかし、ふと横を見て、きりちゃんが投げつけたとおぼしき饅頭が、べちゃっとつぶれて棚にへばりついているのを発見してしまいます。

きり、嫉妬からの饅頭投げ!

きりちゃんに(自分を)諦めさせないと大変な事になるかもしまれんね、これは…

●真田は北条からの出陣命令を華麗にスルー。氏直がぶち切れて床几を蹴り倒す、おじさん狸にしてやられた小僧っこプレイ。これも和みますね^^

●昌幸は小県の国人領主(国衆たち)を集めて、これからは大名にケツ持ちを頼まず、みんなの寄り合い所帯で信濃を守ってやっていこうやと提案しますが、国衆たちはイマイチ反応が鈍い。

後ろ盾を頼まずにやっていける、という発想自体がないせいだ、と昌幸は考えます。うんまあそれが9割だけど、残り1割はパッパの変わり身の早さのせいじゃないかなあ(視聴者の声)

室賀さまは一人一人説得して廻ろうがんばろうと言いますが、昌幸は、もう国衆寄り合い統治へのモチベーションが消え失せちゃってます。

●源次郎は、庭で相手を一撃でしとめる組み打ちの稽古に励みます。藁人形とは言え、喉笛を掻き切ったり、急所を一撃したり、気合いが入るのは分かりますが、ちょっと張り切りすぎじゃね?w (と生暖かい目)

そこに室賀さまがやって来て、「昌幸の次男坊か」と声をかけてくれるんですけど、この室賀さまが親戚のおじさんみたいでした。ちょっと強面だけど、裏表のない明るい顔で。見ていて胸が痛んでしょーがなかった人は多いはず。

室賀さまは源次郎に「お前の父親の顔が好かない」「だが考えは実におもしろい。儂によう声を掛けてくれた(ここで目が潤み、キラキラする)」「お前の父はなかなかの男よ(にっこり)」

さんざん頭の固い小煩い田舎侍と思わせておいてこの仕打ち…

きっとこの室賀さまを思い出して泣いてしまう。てゆーか今もうすでにグワっと…

西村雅彦さんの計算通りでくやしい。ギリギリ。

信玄公の代わりになるのは…

●出浦さまは「しつこいかもしれんが、お主ではいかんのか。お主にはその力がある」と、昌幸に大名になるよう迫ります。「真田昌幸、腹をくくれ」

信幸は「父上の気持ちは(寄り合い統治で)固まっています」と断るんですけど、昌幸は「いやそうでもない」(えっ!?)

確かな後ろ盾がいないと安心できない国人領主たちに、合議でいろいろ決めろって言っても無理なことに昌幸も気がつきます。

●昌幸は真剣に、心の中の信玄公に問いかけます。「御屋形様、儂でよいのでしょうか。儂に信濃を治める力があるのでしょうか」。

武田信玄が死んで何年経っても、武田家が滅びても、昌幸の主君は信玄公ただ一人とわかるシーンで、偉大な人物って、死後も生きてる人を縛るんだな…

しかし、昌幸が己の問いかけに対し、「いや信玄公の代わりになる人間などいるわけがない」と結論づけた時、ふっと灯りが消え、軍馬のいななきが聞こえます。そしてあの鎧の音。

昌幸は信玄公の訪れを確信し、扉を開きます。しかし、そこにいたのは武田信玄の亡霊ではなく、自分の息子でした。

このシーンの意味合いについてはタグTLで、「後の信濃の支配者を暗示した演出」という分析があったんだけど、その通りだと思いました。

まだ本人は気づいてないのでしょうけれど、昌幸のお仕事は、彼に信濃を託すことです。

●で、その信幸は徳川家康からの書状を昌幸に届けますが、ここも意味深。信幸は徳川の下で松代藩13万石を治めるのですから。

ネゴ、そして約束

「手を組みたい」という家康の書状のおかげで、昌幸はいきなり元気に。昌幸に対応可能ないつもの「組んだり離れたり」のお誘いが、向こうからやって来たんですから、そりゃウキウキもしますよ。

ニヤニヤと「負けそうな方に手を貸すのがいいのよ、高く恩を売れる」と嬉しそうな昌幸に、出浦さまが「また始まったか」と呆れ顔をします。

しかし、昌幸はここで突然、「昌相(出浦さまのお名前)、儂は腹をくくったぞ。徳川を利用して大名になる」と、出浦さまの意見を入れて、決断したことを告げます。

ええー!

それを聞いた出浦様は、威儀を正し、これからは家臣として真田家に遣えると、臣下の礼を取ります(ス、ステキ)。昌幸は感動して、出浦さまの手を取り、じっと目を見つめるんですけど、その顔は間違いなく「タラシ」じゃった…

信幸に「父上、寄り合いは?」と突っ込まれて「うむ、諦めた」と返してるときも、出浦さまを見つめたままなのには盛大に吹きました。

草刈さんわざとやってるよねww

●昌幸は家康の下に、越後から戻ったばかりの信尹を派遣します。真田の参陣に、家康は喜び、信尹の手を取って感謝の言葉を述べます。

戦国のおじさんたちの感謝パフォーマンスは、相手の手を握ってまっすぐ見つめることのようで…

もちろん、そんなパフォーマンスなんてにっこりスルー、徳川に味方するからには望みがある、と条件を持ち出す叔父上有能。

●信尹が家康に交渉したのは、まず諏訪、そして甲斐に2000貫文相当の所領。さらに上野沼田

相手の弱みに付け込んで、もらえるだけもらう腹ですね。すごいすごい。

本多忠勝が真田の強欲に切れかけますが、家康はこの条件を丸呑みします。

●しかしまあ、全部が全部思うようにいくわけもなく、徳川からは人質の供出を求められます。

昌幸は、妻の薫に人質を頼むにあたり、色仕掛けで籠絡にかかるのですが、あっさり断られ、すごすごと引き下がるのでした。

大名すら手のひらでコロコロする昌幸も、嫁には勝てませんでしたw

色っぽく、思わせぶりな夫婦円満が非常に良かったです。なにより、このシーンでは草刈正雄さんの色気と魅力が炸裂してました。

薫ママすごいわ。私だったら「喜んで参ります」って言わされちゃってたわ。間違いない。

北条が切れた結果がひどかった

●北条氏政は、真田が裏切り、徳川についたことを知ってぶち切れします。

ただし、真田なんて雑魚が徳川についたって大したことないない、と笑顔で言いながら、おもむろに金平糖を鷲掴みにして口に押し込むという芸の細やかさです。いやこわいです。こわすぎです。

●真田の郷では、室賀さまが今度は徳川に着くことを、国衆たちに懸命にプレゼンしてます。

昌幸「(寄り合いを諦めた事は)もう少し、黙っとこうか」

というわけで、信濃の国衆達、真田一門は徳川の援軍に出陣します。

●軍議の席で、源次郎は北条の補給線を断ち、犠牲が多く出そうな北条本隊との戦いは徳川に任せることを提案します。

源次郎は「なるべく自分の兵士の命を損なわない」方法を考えることで、父親に反発していた自分をきれいに乗り越えてみせます。

矢沢の大叔父上、信幸の提案を退けるものだったんですけど、身内は信繁の成長を喜んで策を容れ、犠牲の少なそうな戦術という事も逢って、室賀様他の国衆達も賛成してくれます。

いやーここもうまくまとまってました。

だがしかし。

ここで省エネ作戦を取った事で、徳川への恩の売り方がちょっと足りなくなったかもしれない…という皮肉。

なぜならば、汁掛け金平糖というとんでもない狸が切れために、昌幸が予想もしてなかった事態になったからです。

●信濃の国衆が北条の補給路を断ってたった10日後。北条は徳川に和睦を持ちかけ、徳川がそれに乗り、この二大勢力の間に和平が成立してしまいます。

昌幸は唖然。

しかも、北条と徳川はあろうことか、信濃と上野を山分けにしようとします。

両方を裏切っちゃってて、信濃と上野に所領を持つ真田は、両方から敵視されること間違いなしで、この和睦により、いきなり一族存亡の危機に陥ってしまうのでした。

多分、授業だったら覚えられなかったかも

天正壬午の乱がすごくおもしろいです。

この争乱をこんなにわかりやすくまとめる三谷幸喜の筆力がすごすぎて、舌を巻くしかありません。授業で習っても多分全然頭に入らなかったと思います。ドラマの功ですね。

しかも、「真田丸」は全方面を裏切る真田の視点から描いてるわけですから、これを分かりやすくまとめてるのは尚のことすごい。

いいドラマが見れて幸せです! と、感想に書かねば。ではまた来週。アデュ〜。

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