真田丸 第八回「調略」レビュー〈2〉真田昌幸の知謀と悪辣。源次郎の子供時代の無理矢理の終わり。

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後半はパッパと信尹叔父上の悪党っぷりが存分に描かれます。

でも春日信達もまたただのピュアな男じゃなく、北条にコネが作れるならそれもまた可という打算が見え隠れする戦国武将であり、だからこそ信尹は押せば落ちると判断するんですけどね。

しかし、信達の悲痛な愚痴(武田さえ滅びなければ…とか)を聞き、美しいお姿を見ていると信尹叔父上の気持ちがわかってくるというか、

「こいつは落とせる」「必ず落とす」

的な気持ちに視聴者もなってきちゃうのがすごいです(なるよね? ね??)。

磔にされた時の美しさといい、まさにヒロイン。敗者達が魅力的に描かれすぎて辛い。いやほんとに。

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草津の湯でも治せない黒さ

●パッパ昌幸は北条の本陣に挨拶に出向きます。

先に北条に帰属していた室賀正武が出迎え、昌幸に「出しゃばるな」「大人しくしておれ」的なことを忠告します。室賀さまが誰よりも昌幸のことを理解してるのは間違いない。

●北条の現当主である氏直は、遅れて来た昌幸にご立腹。居並ぶ家臣・国衆たちの前で昌幸を罵倒します。しかも、父・氏政の物まねで…いやけっこう似ててですね、それがまた痛々しさを一層マシマシしています。

まあ氏直くんは舐められないよう肩肘はってるだけなんですけども、見るからに昌幸の餌食になりやすいタイプで哀れみ深いです。しかもいっぱいいっぱいにテンパっててちょろそう。

当然、昌幸はちっとも動じず、手みやげである春日信達調略を持ち出します。が、それが却って氏直の怒りに火を注いでしまいます。

「お前が余計な事をせずとも北条の軍は充分強い」と怒鳴りつける氏直。だれか、この子をどうにか助けてやって…!

この時、裏でこっそりやりとりを聞いていたらしいご隠居様こと北条氏政が割って入ります。

●氏政は氏直とは逆に、上杉の家臣を調略して来た昌幸を持ち上げます。

「さすが武田にその人ありと謳われた真田安房守殿、さ、近う近う」くらい言ってましたけど、さすが、これっぽっちも心がこもってません。ていうか、一皮むいたらべったり真っ黒そうなご隠居様で、笑えば笑うほどコワイ。

しかし、昌幸は氏政の思惑をすぐに察し、春日宛に、海津城を与える旨、一筆書いてもらえないかと頼みます。

ここは狸同士なので話が早いです。

●氏直は「戦は私に任せていただけるはずでは…」と不服そうですが、「兵を失わずに勝てるならそれに越した事はない」と氏政はばっさり。

板部岡江雪斎には「氏直の手綱を締めたまでよ」「安房守なんざ知らん」なんて言ってた氏政ですが、いやお前そんなはずはないだろう(呆れ顔

この後、氏政は草津に行ってのんびりそうですが、家臣にも腹の底を見せない腹黒のせいで、お湯が真っ黒に染まりそうですね…

兄弟の絆

●昌幸が北条についたとの知らせは、すぐに上杉にもたらされます。

景勝に呼び出された、信尹、信繁(信晴)は、昌幸には呆れた、見限ることにすると心にもない返答をして時間を稼ぎます。

ここもすごくうまいところで、前もって打ち合わせたシーンを省いてさくさく会話を進める事で、却って昌幸・信尹兄弟の絆の深さを感じさせてくれます。

●信尹は、春日信達の調略を一層進めます。信尹は利で(北条からもう一筆もらってますし)、信繁は情で攻める二面作戦なんですけども、まだ年若い信繁の懸命の説得に次第に信達の心が傾いて行きます。

「武田さえ滅びていなければ」「信玄公がいかに大きかったか」「9年前、信玄公が亡くなった時、儂ら家臣の心も死んだ」

信繁もここぞとばかりにポエムを返します。

「父昌幸は死にもの狂いで沼田・岩櫃の城を取り戻しました」(えっ!?)

「春日殿が北条の下で海津城を手に入れる事こそ武田への忠義。信玄公の御孫の下で再び共に戦いましょう」「武田武田武田武田」

●春日がなびいたと聞いた昌幸は、即座に北条の起請文を信尹に届けます。それを受け取った信尹は、源次郎に「これだけは言っておく。儂のようにはなるな」と静かに忠告するのでした。

この言葉の意味するところはもう少し後で明らかになります。

謀将 真田昌幸

●昌幸は佐助に命じて、北条に偽情報を掴ませます。

佐助は土地の漁師に化けて、上杉が1万では効かない兵を集めている、多分2〜3万、自分は川中島の合戦の時に何度も上杉軍を見た、間違いない…と氏直に吹き込むことに成功します。

●動揺する氏直の下に、さらに春日信達が磔にされているとの知らせが。さらに動揺する氏直。

どういうことかと問いつめられた昌幸はしれっと「こりゃあうちの計略がバレたなあ」「でもこうなったら思い切って戦をした方がいいですよ、戦力差あるし、北条なら余裕余裕」と呷ります。

出浦様も「予定を変えるのはあんまり良くない。このまま攻めましょう」と昌幸を支援。

もくろみが違ったと内心あたふたしている若造など、パッパと出浦様の敵ではありません。

●ぷつんと切れた氏直くんは、昌幸に殿を押しつけ、甲斐に侵攻してしまいます。室賀さまも嬉しそうに「せいぜい懸命に殿を勤めろ」と言い捨てて、氏直と共に席を立ちます。

昌幸「計画通り」

突然北条に攻められることになった徳川家康は呆然。正信「迎え撃つしかありません」。戦国武将の苦労が偲ばれる…

●そして、上杉軍から逃げて来たであろう信繁が、川中島の対岸から上杉の陣を見つめてつぶやきます。「私はあの人たちが恐ろしい」。そして、どのようにして春日が磔されるまでに至ったのか、回想します…

ことの次第

●北条からの起請文を手にして喜ぶ信達を、信尹はさくっとだまし討ちにします。叔父上見事としか言い様がない冷徹で確実なお仕事履行で、春日どの、即死。

源次郎が信尹の行動に驚く暇もないくらいのあっという間の出来事でした。

呆然とする源次郎ですが、信尹に叱咤されて、春日の死体に脇差しを握らせる小細工を施します。

●信尹は上杉景勝と直江兼続に知らせ、検分を受けます。

「怪しい人影を引き入れていたので問いつめたところ、いきなり切り掛かって来ました」と北条の起請文を見せ、春日の裏切りを捏造する信尹。

景勝さまは失望にげっそりした顔で、春日信達の死体を見せしめに磔にするよう命じます。死体を磔にする、つまりすでに死んだ人間にさらに鞭打つ過酷な仕打ちですが、直江兼続が信尹を見る目がそれ以上にコワイ…

信尹は直江は調略に気がついたもの、と判断して先に信繁を逃します。

逃亡途上の信繁は、春日信達の死体の前で足を止め、思わず手を合わせてしまいます。そこにちょうど影渇が現れ「人の心は分からぬ」とぼやくのでした…

●という顛末の回想が差し挟まれ、最初から春日をだまし討ちすることが狙いだったこと、まだ少年の信繁の懸命の説得が春日を落とすのに有効だろうという、昌幸の計算ずくが明らかにされます。しかもこれ、信尹も最初こそいぶかるものの、兄の指図だからとあっさり乗るとこがひどい。

信繁は「調略とはどういうものか教えて欲しい」と言った自分の言葉を、後味最悪の形で回収することになります。

パッパ的には、一度しか使えない息子の純情(?)を、ここぞとばかりのとっておきの調略で利用して、大成功です。このド畜生め^^

とりあえずエピローグ的に

●真田の郷に信幸と信繁が戻ってきました。昌幸は息子達と久々に語り合えるとウキウキ。一風呂あびてさっぱりしてきた、と浴衣姿で息子達に酒を進めます。

父と子の温度差がすごいことになってますが、あんなからくりを見せられた直後なので、視聴者は完全息子目線でパッパのセクスィなリラックス姿を眺め、しかし、北条・上杉・徳川をうまく信濃から追い出したパッパの知謀に舌を巻く事になります。

「いま信濃は誰のものでもない」「大名なんかいらん」「信濃はわしら国衆のもんだ」

信幸は、国衆たちによる領邦国家を夢見る昌幸の言葉に、ちょっとロマンを感じてしまいます。

でもパッパは本当は「大名になりたい」んだけどね。そしていずれ「大名になる」つもりなんだけどね。

●父親への無邪気な依存を、その父親によって容赦なく捨てさせられた源次郎は、以前のような尊敬に満ちた目で父親を見る事はもうできません。

その顔は、信幸と同じように、はっきり青年の顔になっていました。

パッパがそういう息子達の成長にいちいち頓着しないところがおもしろくもあり、悲しくもあり…

●北条の甲斐攻めが昌幸の策謀の結果であることを、徳川家康がただ一人が見抜きます。いやほんと徳川はとばっちりですが、武田に手を出しちゃったからしょーがない。がんばれ。

シャレにならない悪辣だが

今回の昌幸・信幸兄弟の悪辣ぶりと、前回の婆様の毅然とした爽やかさとの落差が、ほんとにひどい有様で、三谷幸喜にしてやられた感がいっぱいです。

でもまあ不思議と爽やかなのは、この親世代の真田兄弟が悪びれもしないし、正当化もせず、淡々と行動しているからでしょうかね。

しかし、滝川、上杉、北条へのパッパのぬる〜〜い態度(しかも田舎侍をわざと気取っているかのような)と比べて、勝頼さまへの態度が如何に真摯なものであったか。どんどん顔が悪党になってきてるし…

さて、まだまだ続く天正壬午の回。来週は源次郎の反抗期でしょうか。まあパッパも少し息子のことで苦労したらいいと思うよ、ってところでアデュー!

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