真田丸 第七回「奪回」レビュー〈2〉ばば様に爽快な佐々木幸隆の影を見る。パッパ、今度は上杉景勝様に毒。

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第七回は、ばば様こと、昌幸の実母おとり様の強さ、美しさ、凛々しさが大変印象的でした。

多くの人がその背後に「風林火山」の真田幸隆・忍芽夫妻を感じたと思います。

現実・史実はともかくとして、日本人の心の中の真田一族っつーのは、佐々木幸隆が体現したような、強くて爽やか、武勇にすぐれ、しかも賢くて情け深い、というものなんだよねー

盛りすぎにも思われるかもしれない。でも、一介の国衆にすぎないという程よい貧しさ・寄る辺無さがバランスをとり、自分の所領への強い愛着という人間くささがまたいい味を出すのよ。

ばば様のおかげで、面白くてうさん臭くさてかっこいい草刈昌幸で上書きされかけていた真田のいろんなことを思い出しました。ありがとう(涙)。

「真田丸」は「真田太平記」「風林火山」などの過去大河へのリスペクトと共に、過去作品の世界観を滲ませて作品世界を豊かにする手法を取っていますが、工夫・手法の効果とコスパのがすばらしいです。

どうしてこれまでの大河はこの手を使ってこなかったんだろうか。

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常に希望を持ち続けることこそが知性

●滝川一益が木曽義昌に信濃の国衆たちからとった人質を譲り渡したため、源次郎たちは木曽福島城に移されることになります。

義昌は信濃侵略を企画してもいるので、人質に対して圧迫してかかってきます。

さらに悪い事に、武田家に最後まで仕えた真田は、勝頼に人質を殺されている義昌に恨まれているであろう立場。

源次郎たちは大変な不安を抱えます。

●しかしそんな中、ただ一人毅然とした態度を失わない、草笛光子さんのばば様は素晴らしかった。

ばば様は「なんとかなります。望みを捨てなければ」「大事なのは思うようにいかぬ時、どのように振る舞うか」と源次郎ときり、三十郎に示します。

というのは、ばば様は木曽義昌の子供の頃をよく知ってまして、ばば様的には滝川の人質でいるよりも木曽の人質である方が、状況のコントロールが効きそうなんです。

ということを、ばば様は木曽の人質になるかもしれないと聞いたときに考えるけれど、それをおくびにも出しません。ただ義昌が自分に気がつくように振る舞うことで義昌を自分の前に呼びつけます。

昌幸の母、幸隆の妻としての面目躍如であります。

宗太郎くんとおとり様

●で、まあ、木曽義昌こそ幼名宗太郎くんは、おとり様の前ではまるっきり小さな少年に戻ってw 尻尾をブンブン振ってww 再会を喜びます。

ここもまたおとり様のかつての強さ、美しさを想像させて感慨深いです。

つまり宗太郎くんは年上美女に弱いタイプ、しかも一生かつての美女を慕い続けるタイプという解釈でよいな?

●そんな宗太郎くんに対して、ばば様は信玄公への大恩を忘れおってといきなりビンタ。信玄公の前でお漏らししちゃった恥ずかしい過去をみんなの前でばらすプレイ。

マウンティングに成功したばば様は、自分以外の人質を戻すよう義昌に掛け合います。

助けられるはずのばば様が、助けに来たはずの孫たちを逆に救うっていうね。

ばば様の「大事なのは望みを捨てないこと」っていう教えは、すごく実践的な意味を持っていたこと。

望みがないように見えても、次につなげる努力を続けて行けば、いつか活路が開かれることもあるっていう、これ以上ない事例は、最後まで源次郎たちに受け継がれるのでしょう。

●真田に帰れると喜んだきりちゃんは、浮かれるあまり、「どうせなら別所温泉に寄って行こう♥︎」とか言って源次郎に更にうっとうしがられます。

うーん、きりちゃんは好意を抱く相手がネガティブな反応をすればするほど安心できるタイプってことなんですかね。喪女? 喪女なの?

三十郎に対して発した「はぁ!?」の破壊力もすごかったです…

相模の北条、越後の上杉

●室賀が北条に臣従したことで、信濃の他の国衆も北条につくことを予想するパッパ昌幸。

昌幸はみんな大好きクールな忍者マスター・出浦昌相さまに、ひとまず北条についてもらい、情報を送ってくれるよう頼みます。そして自分は敢えて上杉につくことを話します。

●真田に戻って来た源次郎は、源三郎に愚痴ります。

が、源三郎は初めての城代にいっぱいいっぱいで、源次郎に気の利いた事を言ってあげられないと、ほんとにいっぱいいっぱいの顔で言うんですね w w

そんな源三郎の顔を見ているうちに、源次郎はほっとします。

●その頃、パッパは上杉景勝に接見し、真田は上杉につくと宣言します。

遠藤憲一さんの真面目で清廉で気高い上杉景勝がすばらしいんですけれど、昌幸はこういうタイプに毒気を当てるのがうまくて、

「真田を守って欲しいとはいいません。真田、上杉ともに力を合わせて我らの領土を守ってまいりましょう」

なんて言って、うまく上杉をその気にさせて意気投合してしまいます。

直江兼続が唖然とする顔がよかったネw

●しかし、この時期の、太平洋と日本海を繋ぐような動きっておもしろいなあ。

私は昔の北条の所領に住んでる人間ですが、隣県である山梨(甲斐)はともかく、長野・新潟にはすごく距離感を感じるんですよ。旅行でいくとこっていうか。

だから信濃の昌幸が、北条、上杉と沼田(群馬)を巡ってどーのこーのってやってるのを見ると感心してしまいます。

信尹の叔父上も、上杉に北条にと南北歩き回ってフットワークが超軽い。

不便だった昔の方がアクティブだし、スケールが大きいっていうね。

乱世を生きる親子

●源三郎と逢ってちょっと浮上した源次郎。まあでも父親には怒られる訳でw 昌幸は「ばかもの!」と失敗続きの源次郎を叱責し、問題を指摘します。

パッパによると源次郎は「勘に頼りすぎ」。

源三郎は勘に頼らない分、失敗が少ないが面白くない。源次郎は失敗するが面白い。

面白くなければ人はついてこない、お前の長所は失わず、経験を積んで失敗を減らせ、とパッパは自分の身上と重ね合わせて源次郎に説きます。

●ここは前にも書いたけど、パッパが源次郎の教育に着手した感じがすごく良く出てましたね。

「奪回」真田信繁という乱世最後のトリックスターとして開花するために。源次郎の長い下積みが始まる。
日本人の大好きな、真田信繁(幸村)というロマンチックな人物について。 人気者の条件 以前にもちょっと書きましたが、真田幸村というのは、源義経、楠木正...

多分信幸の時にもパッパは手間ひまを惜しまず嫡男教育をしたのでしょう。

ただ、そのときは武田の家臣の跡取りとして、まっすぐ、誠実であるように育てたんじゃないでしょうか。

織田の侵攻によって、パッパの方に変なスイッチが入って変節した(あるいは本来の地が強烈な形で出て来た)のじゃないかな、ということもちょびっと思いました。

真田が嵐の海に自ら乗り出して行った時期に、武将としてのアイデンティティを得た信繁が太平を前に滅び、一人の主君にまっすぐ忠義を尽くすよう教育された信幸が江戸時代まで生き残る。この兄弟の運命にはそれなりの前提があったと見ることができます。

●厳しい叱責の後、昌幸は「だがまた仕事を頼みたい」と源次郎をきちんと一人前として扱います。しかも叔父・信尹の春日信達を調略の手伝いという重要任務でした。

昌幸はただ北条に臣従しては他の国衆たちと同レベル、有力国衆の寝返りを手みやげに自身も上杉から寝返って一歩抜きん出てやるのだと源次郎に説明します。

●父親の謀略に思わずどん引きする源次郎に、高梨内記は「殿は本気になられたのです」とフォローを入れるのでした。

パッパの本気

出陣じゃー! と盛り上げながら、戦国ホームドラマに終始した今回でしたが、でもやっぱり面白かったですね♥︎

先走って事態を自ら悪化させてしまうパッパと、ちょろそうでちょろくない滝川さまのやり取りを決して忘れることはないでしょう(思い出扱い)

しかしパッパの失敗を失敗と終わらせず、矢継ぎ早に手を打っていく疾走感。

信尹、出浦様、矢沢の叔父上のこれからの活躍も楽しみで仕方がありません。

第一次上田合戦まであと5回くらいですよみなさま。アデュー!

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