変化する東アジア。AIIBの駆け引きが面白かったのでまとめてみる[4]

amayaeguizabal / Pixabay

前回]のつづきです。
AIIB参加を巡る各国のやりあいがドキドキハラハラ話4回目、これで最期です。
面白くて書きすぎちゃいました。長くてごめんなさい。

麻生副総理の弱気発言を受けて、中国はAIIB設立に参加なら上級副総裁の地位を用意すると提案します。さて日本は…

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人身売買という新しい表現

日本は中国からこの提案を引き出した後、韓国が参加表明をした翌日の3月27日付のワシントンポスト紙のインタビューに、またすごい記事が掲載されました。

安倍首相のインタビューなのですが、なにがすごいかというと、従軍慰安婦について「人身売買の犠牲者」とこれまでになかった表現をします。

これは韓国が言う「20万人の女性を日本軍が強制連行して性奴隷にした」説の否定であるため、韓国は「従軍慰安婦じゃなくて性奴隷だし、人身売買と言うのは、強制連行を否定する日本の歴史守勢主義だろ」と強く反発しますが、このあと4月になってから、驚いたことにアメリカが安倍首相のこの表現を、支持すると表明します。

日本とアメリカは、慰安婦問題はこの表現で手打ちにすることを表明したということになります。

中国と韓国が一番恐れているのはアメリカ。
アメリカが日本の後ろ盾になるのが嫌なので、日米離間をはかって歴史問題を言い立てるわけですが、その中国の戦術はもう見切ってるからな、と言いつつ、日米の連帯を強調する時間差パフォーマンス。

韓国の参加表明直後を狙ったということもすごくて、3/20の麻生発言から、読みに読んだ外交ゲームが展開されていたことが伺えます。
というか、かなりパンチを効かせたスルーで、これだけでもあまりのおもしろさにしびれました。

その後3月末日までに、ロシア、ブラジル、オーストラリア、ブラジル、スウェーデンが次々にAIIB設立に参加を表明しますが、日本は麻生副総理は3月31日時点での参加表明は見送る方針を発表しました。
アメリカは中国に「AIIBは世界銀行との連携を」と呼びかけ、設立を歓迎しました。
アメさんも日本も、内心は意外と焦っていたのではないかと思いますが、それをおくびにも出しません。実はちょっと怖かったです。。。

締め切り後の意外な展開

3月末日の時点でこの4カ国を評価するとこんな感じ。

中国:日本の参加は得られなかったけれど、韓国をアメリカ側から切り崩し、AIIB設立に57カ国の参加を取り付けるという外交的・経済的成果を上げた

韓国:アメリカにあまり怒られることなく、AIIBに参加できてラッキー(とこの時点では思っていただろう)。

日本:アメリカとの連携を深めることに成功。

アメリカ:今回一番やられちゃった国。日米韓がだめだと思って打ち出した新しい安全保障の枠組み、日米豪三角同盟の一角、オーストラリアもさくっとAIIBに参加してあっちゃー(なのではないか)。

しかしその後がまたすごかった

4月10日、アメリカーのカーター国務長官が訪韓します。
ちなみに、3月終わりには北朝鮮が核弾頭の小型化に成功したらしい、という観測が流れていましたし、当然THAADについての会談だろうと思われましたが、カーター長官は韓国メディアに対して「THAADの配備は議論する段階にない、THAADはまだ米国で生産中だから」と予想外のコメント。
THAADは生産中どころか、アメリカ本土には既に配備済みですから、THAADついての質問をされても答える事はなんもない、という意味ですね。

世界のジャイアン、アメリカがここまで引いた事で、この直後の日本ではアメリカの本格的なアジアでのプレゼンス低下を指摘する人が多かったのですが、次第に流れが変わり始めます。日米のAIIB不参加が明らかになり、中国が予想以上に下手に出始めたからです。

4月15日、中国の李克強首相の「AIIB日本参加なら歓迎」発言。
4月22日、パンドン会議で日中首脳会談。習近平主席、日本にAIIBの参加を促す。

アレ?って感じ。

日本と安倍首相が大嫌いな習近平主席が、笑顔を浮かべて会談する姿には、やればできるんじゃん、と冷静な突っ込みを入れざるを得ませんでした。
3月31日時点では、最も外交的勝ちポイントをあげたと見えた中国がこんなことに。

日米の協力が必要なのに、相手を屈服させるしか戦略がない、中国。

根本的戦略が間違っているので、長期戦になると勝てません。

そして安倍首相の訪米へ

3月末日以降は、西側諸国をAIIBに取り込んだはずの中国が一番オロオロするという意外な結果に。

そしてAIIBにあまりアメリカに起こられずになんとか滑り込んだ韓国も、4月終わりの安倍首相の訪米に合わせて胃けいれんすることになりました。

いやー、歴史って本当に面白いですね。

中国は韓国をアメリカから切り崩しましたが、そのことにより、中国が一番望まない「尖閣諸島」に有事があった際の米軍の関与が文書化されてしまうという、アメさんのストロングな反撃をくらうはめになりました。

韓国がアメリカの領分にいる限りは、竹島問題に飛び火することを考慮して多分文書化まではしなかったと思います。

尖閣諸島で紛争があっても中国を敵にまわしたくないアメリカは日本を助けない、ということにしたかった中国。

竹島に紛争が起こった場合、アメリカは日本じゃなくて韓国を助けると思いたかった韓国。

うーん…。

中国が世界の覇権を握る日は、まだまだ遠そうだな。

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