真田丸 第五回「窮地」レビュー〈1〉限りあるリソースでヘタレ当主を守るには? 脳筋の論理は「押し通る」 コント神君伊賀越え。

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信長亡き後の、それも直後の混乱を主に描きつつ、信長と光秀について語る、スパイスはコント神君伊賀越えっていう、テクニカル且つトリッキーな回でした。

真田丸は密度が高くて、ちょっとの隙にも伏線と小ネタが思わせぶりに仕込まれてて油断できないわ。

「本放送見て、TLまとめを見て(小ネタなどを確認して)、土曜日にもっかい再放送を見る」というtweetを見たんですが、ほんとそれですわ。

毎回、落とした小ネタはないよね?とひやひやしながら編集しています。主に自分のために。

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京都で何事かあったらしい…

●ナレでさらっと触れるのみだった本能寺の変ですが、二条城で奮戦する信忠はその切腹まで重厚に描写されます。短いカットだったんだけど、これがとっても良かったです。

劣勢すぎて、御大将の信忠自ら刀を振るって押し寄せる雑兵と戦うのね。

これまでの合戦とはまったく違う描写で、下がって撮影する引きのカットがなく、夜襲なので緊迫感もすごかった。信忠はフル武装ですよ。かっこいい。

最期は、ただ織田家の当主として恥ずかしくない死に様をと、事務的といっていい態度で死んで行く信忠。

信忠の感情表現が役者さんの表情のみの、何を感じる暇もなかったろうあっという間の死なんですけど、それが却って悲壮感を高めていました。

気品があって声もよろしくて、玉置さんにはまた大河でお目にかかれそうな予感♥︎

●翌朝の安土。源次郎と三十郎、茂誠は、京都で何事かがあったことだけを察しています。

京都から逃げて来た人々の言葉だけでは何が起こったのかはまったくわからないのですが、ただ確実に何かが起こっており、安土には不穏な空気のみが流れる。

源次郎と三十郎は京都に騒ぎの真相を確認をしにいくことにします。

ここはおもしろいとこで、新参で弱小領主の真田には、他の人質の屋敷に聞きに行ったりするコネもないので、人質の弟が自ら京都にいかなければならない。

何事かがあったのはわかっているけれど、何が起こったのか具体的にわからない、という不安の描写はとても良かったし、確かめるために直接その場に行く、というのも昔の事らしくて良かった。

何より主人公が本能寺に居合わせたりしなくて良かったですね…というのは、長年の大河の主人公補正にげっそりしていた大河クラスタの総意に違いないです。

信繁の蚊帳の外感に安心を感じるとかどんだけ〜(ニガワラ

家康もそれを知り

●その一方で、堺観光をしていた家康の下には「本能寺で明智が信長を討った」という正確な知らせが届きます。

本田平八郎が金地に朱の丸が描かれたド派手な扇で顔を隠しながらそっと殿にご注進申し上げるのですが、なんであんなにハデな扇なんだろうかww

●家康たち一行は今後の行動を算段します。

というのも、明智が天下を狙うなら、少人数で行動中の家康は格好の獲物です。よしんば明智が家康を保護したとしても、相当力を削がれることは間違いない。

家康は明智の裏をかいて逃げるべきなのですが、基本がヘタレなのか、信長への恐怖が尋常じゃないのか、「やっぱり逃げない。京都に行って上様をお助けする。上様が生きていて、置いて逃げ帰ったことがばれたら、そっちの方がよっぽど怖い」とか言い出しちゃうww をいいいい

平八郎は冷静に「あの明智殿がそうと決めたら、万に一つも討ち漏らす事はないでしょう」と判断し、その言葉にその場にいた全員が納得します。

あの(ドMで公家みたいな)明智が…というのはもう既に書いたので割愛。

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明智の意表をつくしかない、というわけで、家康は険しい伊賀路を通って逃げることを選択します。

家康の苦難として名高い、神君伊賀越えですね。

本当は怖いガールズトーク

●真田の郷はまだ平和で、高梨内記が昌幸に娘の奉公を願い出ます。内記は真田家次男の源次郎に娘を嫁がせたいと考えてます。

●そのきりは、先日あんまりつき合うな、と言われた作右衛門さんちに今日も遊びに行ってます。

作右衛門は作右衛門で、妹を源次郎に添わせたいという考えのようで。

まあ打算もちょっとはあるんでしょうが…

そんな兄のすすめを迷惑がっている梅ちゃんを、きりちゃんは「あんたそれは嫌みよ〜」「源次郎さまは梅ちゃんを好きに決まってる。見てたらわかる。一緒になるならいろんな手だてがあるじゃない、私力になってあげようか?」と言うんですが、

身分違いで悩む梅ちゃんに、お前のそれも嫌みなのだが。

●帰宅したきりに、父親の内記は明日から真田のお屋敷に奉公にあがるよう申し付けます。そしてゆくゆくは源次郎と親しくなって、嫁いでくれたら、こんなに嬉しいことはない、と。

自分の気持ちとはまったく違う方向からなんですが、父親が応援してくれることにガッツポーズのきりちゃん…愛がないなら政略結婚でもいいとか。

幼さのために軽いガールズトークになってますけど、結構えげつないこと描いてます。

梅雪退場

●さて伊賀越えです。

必死で悪路というか、険しい山道を歩く家康です。さっきまで家康は輿に乗り、武将たちは騎馬だったのに、全部捨てて来たんでしょうかね…

穴山梅雪は「実は腰痛で、ご迷惑をかけてしまうかもしれませんので」と一行と別れることを申し出ます。

梅雪の手を握って別れを告げる家康は「いつかまたお会いできることもありましょう」ものすごく好い笑顔♥︎

自分が生き残ることに必死で、梅雪の思惑にまで気を回す余裕がまったくないありませんww

●うまく立ち回って家康のとばっちりを避けた穴山梅雪は、伊賀の山中にフェードアウトしていきます。

勝頼から家康へとすぱっと鮮やかに乗り換える姿が印象的だった、大物感溢れる穴山梅雪。

榎木孝明さんによって、老年の色気と黒い知性とにじませながらも、さらっと消えていった姿に、要領の良さだけでは決して生き残れない、戦国ゲームの闇の深さがあらわされています。

と同時に、梅雪とは対照的に、乗り換えにもなにかと勝負をかける真田の山師体質が浮き彫りに。家風が「乗るか反るか」だから仕方がない。

進路を見失ったパッパ

●薬売りネットワークの知らせで、京都の変事、信長の死を知った信幸と昌幸。その直後に明智の使者が真田の本城を訪れます。

真田のネットワークと、明智の準備の良さがすごいですね。

●パッパはその使者を拘束して、他の国衆に情報が漏れるのを防ぎます。織田だけでなく、明智も、真田を小県の代表として認めたという既成事実に利用する予定です。

パッパの謀略がナチュラルでこわいでうが、パッパはパッパで実はものすごくショックを受けてましした。内記に国衆を集めるよう命じ、退出させた後、我慢できなくなって長男を前にブチ切れ。

「ちくちょうめ!なんで死んでしまうかのう、信長めぇ!!」

ここはやけっぱちの草刈さんがかっこいいったらなかったですね。年を取って、怒ると怖いけど華もある、不思議な魅力を身につけられました。

それからこういうシーンで、声で画面のこっち側をシーンとさせられない俳優は武将をやってはいけないのだな、と改めて思わされ。

●信幸はパッパが信長に怒る、ということの意味を理解しきれなくて、パッパが明智に味方するんじゃないかと驚き、本心を正します。

「父上の本心をお聞かせください」

「はっきり言おう。全く分からん」

ひいいいww

わからないどころか、「どうしたらいいか、この父に教えてくれ、源三郎!」と子を問いつめて暴れ出す始末。呆然と父親を見つめる長男…これまでかっこ良いばかりだった父上の、ものすごく人間臭い姿に長男は驚きます。

父上もこんなになるんだ…と。

鬼半蔵が押して通るよ♥︎

●家康一行には伊賀出身の武将、服部半蔵が加わります。半蔵はハマカーンの人なんですが、忍者は芸人枠なんでしょうか。おもしろいねw

すでに配下に命じて、安全な退路を確保しているという半蔵に、目をウルウルさせて「良かった、頼りがいのある部下を持って」と感動する家康ww

●しかし、半蔵は非常時に主君に汗をかかせることをあんまり気に留めないタイプの男でして、ところどこで夜盗や落ち武者狩り、明智の軍勢とエンカウントするはめになります。

「夜盗がおるではないか。どうするんじゃ?半蔵」

「押し通ります。私が先頭に立ちますので」

半蔵、決断はやし。平八郎もあっさり続き、石川数正もつづいちゃって、家康は仕方なく「わああああ;;」と切り込みます。

三河武士たちの合理性よ。

●涙目で夜盗に切り掛かり、転んで泥だらけになってゼェハァする家康とか新鮮です。

大河での徳川家康は、狸としての完成型がイメージされ、エンドクレジットクラスの大物が演じることが多い。

北大路欣也さん、松方弘樹さん、寺尾聡さん…

そういった方達ではなく、まだミドルだけど主役クラスの実力者、花も実もある内野さんだからできるコミカルな家康です。

でも大物の人たちも、たくさんの役を演じてきたからこそ、演出のプランを理解しておもしろがって演技してくれそうな気もする(事務所的にはアレかもしれませんが)。

要は制作側の気概の問題よ。

大河のような放送期間の長い歴史ドラマって、自分の中の常識との戦いなのかもしれんね。

●で、「真田丸」では知的イケメン、内野聖陽が演じるので、びびりで弱腰の家康でも嫌悪感を抱かれないと。うまい。あざとい。家康あざとい。でも好きになっちゃう><

というあたりで〈2〉に続きます。

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コメント

  1. はるぺる より:

    忠勝の軍扇はTwitterでも話題になってますが、日輪と月の正しい軍扇なのであんな感じであります。
    開き方も作法通りです。

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