変化する東アジア。AIIBの駆け引きが面白かったのでまとめてみる[2]

前回]のつづきです。
AIIB参加を巡るアメリカと韓国のやりあいがドキドキハラハラという話の続きです。

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韓国の記念日の前日に

韓国では三一節にあたる3月1日の前々日の2月27日(時差の関係で韓国ではほぼ前日の2/28)に、アメリカ国防省のナンバー3・ウェンディ・シャーマン次官が「民族感情は悪用されかねず、政治指導者が過去の敵を非難し、安っぽい拍手を受けることは容易なことだが、そのような挑発は発展ではなく麻痺をもたらす」と講演しました。
これが北朝鮮批判に見せかけた韓国批判であることは、従軍慰安婦問題について、シャーマン次官が「ひどい人権侵害だ」としながらも、従軍慰安婦を、韓国が主張する「sex slave(性奴隷)」ではなく、「so-called comfort women(いわゆる従軍慰安婦)」と言った事からも明らかで、韓国では大騒ぎになりました。

三一節っていうのは、韓国では日本からの独立運動が始まったとされる、韓国にとっては建国に関わる大切な日です。
その記念日に韓国(と中国)にぶつけた、アメリカの外交的な挑発でした。

この時、アメリカは中韓という儒教国家が大切にする「メンツ」というものを踏みにじってみせたわけです。

そしてシャーマン発言から間もない3月5日、シャーマン発言に刺激された民族主義的な韓国人によるマーク・リッパート駐韓米大使の襲撃事件が起こります。

犯人は、2010年にイベント中の駐韓日本大使にコンクリートの塊を投げつけたのに、大した罪に問われなかったという曰く付きすぎの人物で、私にはこの一連の出来事がアメリカの自作自演なんではないかと思われて、なんというか、(おもしろすぎて)唖然としました。

その頃、周辺国家では

実は、三一節にあわせて、日本の方でも外交的挑発をしていました。
三一節の翌日の3月2日、外務省のHPの韓国に関する記述から「自由と民主主義など基本的価値観を共有する」という文章を削除したアレです。
韓国ではこれまた大騒ぎになります。
ということからもわかるように、リッパート大使襲撃事件は、三一節を挟んだ日米連携による韓国圧迫によって発生しました。

そんなわけなので、この大使襲撃事件、アメリカが韓国のAIIB参加を認めるかわりにTHAAD(サード。アメリカの構築するミサイル防衛網のこと)を受け入れさせるネタにする(ために仕組んだ)んじゃないかな、と思ったんですよ。
いくらアメリカも、自分とこの大使の命に関わるような仕込みはしないだろうと思いたいですが、意外とやってるかもね、と思えるのがアメさんクォリティです。

実際、韓国は、米国との関係の修繕を図るために、AIIB参加を取りやめるか、THAADを受け入れざるを得ないんじゃないの? という見方が広がりました。

これを受けて中国はどうしたのか。

これまで中国は、政府公式じゃないルートから、「THAADを受け入れたら韓国を敵国と見なして核ミサイルの照準をソウルに合わせちゃう事もあるかもよ?」とか、「朝貢再開したら?」とか、割と韓国に言いたい放題していました。
今カレの余裕ですね。
米大使襲撃事件後は、習近平主席が朴槿恵大統領に「THAADを受け入れない見返りに、韓国に経済的インセンティブ」と提案します。

しかしこの話の真に恐ろしいところは、そのように提案したよ、とアメリカのメディアがリークしたことです。
「俺はなんでも知ってるからな」という脅しをチラチラっとしてみせた。
中国もアレですが、アメリカもこわっ。韓国はどうするんでしょうか…。

これが外交ゲームか

アメリカのリークはさておき、韓国がTHAAD受け入れちゃうかもと懸念した中国は、強力な圧力を韓国にかけはじめました。
中国外相が中韓首脳会談を示唆したり、中国高官が訪韓して「THAAD受け入れへの懸念」と「AIIBへの参加」を直接伝えたり、第2次世界大戦70周年の戦勝式典に招待したり(ちな、中華人民共和国と大韓民国は、第二次世界大戦の戦勝国ではありません。念のため)。
同時に、「韓国がアメリカと仲良くするなら、こっちも北朝鮮と仲良くするからな」って脅しをかける。
その上に「経済的インセンティブ」ときたもんだから、韓国政府は米中の間でさらにフラフラに。

おもしろいことに、このフラフラっぷりを誰かが指摘すると、韓国政府はフラフラすることが戦略ですと強気に押し通します。
というか、もっと進んで「米中からのラブコールは韓国にとって祝福」とか言い出しちゃいます。
どう見てもモラハラDV彼氏の間でフラフラしてる感じですが、頭は大丈夫か。

ところで、中国の高官が訪韓してモラハラDVしていた3月16日に、元カレ:アメリカの高官も訪韓していました。
訪韓したラッセル国務次官補はリッパート大使のお見舞いにやってきたんですが、もちろんただの見舞いであるはずがなく、「(韓国)軍には北朝鮮の弾道弾の脅威に備えたシステムを考慮する責任がある。まだ配備されていないシステムについて、第3国(中国)があれこれ言うのはおかしな話」と中国に釘を刺します。
が、アメリカはTHAAD配備への韓国の説得にとどめ、強引に韓国にTHAAD配備を飲ませることはしませんでした。
というか、押したように見せかけて、一歩後ろに引きました。
これは意外なようで、それほど意外ではなかった。

なぜならば、ラッセル国務次官補訪韓のちょっと前の3月12日、アメリカ第一の友邦である英国が、突然シレっとAIIBに参加することを発表し、アメリカがこれに大ショックを受けていたから。

どうもこの件について、英国からアメリカに事前連絡がなかったらしいのです。そりゃびっくりだ。
しかも中国とアメリカが韓国に同時に高官を派遣した3月16日には、ドイツ、フランス、イタリアまでもがAIIB参加を表明という驚きの事態に。
いやほんと、この3月16日って日の事はしばらく忘れられないと思います。
歴史っておもしろすぎですわ。

またも終わらなかったので[つづき]ます。

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